IT業界特集 「ニコニコ動画」開発者に聞く 映像コンテンツ配信がよくわかる βversion

2006年12月の仮オープン以来、再生される動画に合わせて自分のコメントが流れるように表示される視覚効果が話題を呼んで爆発的にユーザー数を増やしてきた『ニコニコ動画』。現在(2007年6月末時点)、120万人を超える会員を持つ巨大サービスに成長したこの『ニコニコ動画』の開発秘話を、開発に携わったドワンゴの鈴木慎之介氏と戀塚昭彦氏に聞いた。




「『ニコニコ動画』を開発するプロジェクトはもともと、『パケラジ』など社内のほかのプロジェクトの派生案として、いろいろな人がアイデアを断片的に出すなかで見えてきたものです」(鈴木氏)

その断片を拾い集めてサービスのプロトタイプを開発したのが戀塚氏だった。

「具体的な仕様が決まっていたわけでもありませんし、そもそも面白いサービスかどうかも頭で考えているだけでは実感が持てなかった。だからこそ、実際に絵が動くシステムを一刻も早く組み上げてしまいたかったんです」(戀塚氏)

プロトタイプの開発にかかった期間はたった1週間。スピードがものをいうWeb業界でも突出した開発ペースだといえるだろう。

「そのプロトタイプに若干の改良を加え、まずは仮オープンとして2006年12月にひっそりと『ニコニコ動画』がスタートしました。最初は運営会社も明かさず、個人が趣味でやっているかのようにカモフラージュしていたんですよ(笑)」

サイトオープン時には一切の広報活動を行わなかったものの、『2ちゃんねる』管理人のひろゆき氏がブログで紹介したのを機に多くのメディアに取り上げられ、一挙にユーザー数が増加。

「仮オープン当初は誰でも動画を閲覧できる仕様でしたが、サイトへのアクセス数が増えすぎてサーバーがトラフィックを処理しきれなくなるほど。ユーザーIDの登録制に切り替えたのは、その負荷を軽減するためでもあったんです」(鈴木氏)

順調なサービス展開に思えた『ニコニコ動画』だが、思わぬ危機も経験した。



当初、『ニコニコ動画』は『YouTube』が配信する動画ファイルを利用してサービスを展開していた。ところが、動画をサイト間でリンクするうえでは『YouTube』が提供するAPIを正式採用していたにもかかわらず、2007年2月に突然、『YouTube』側で『ニコニコ動画』からのアクセスを拒否する設定が施されたことが発覚。同時期にDOSサーバのクラッキングにも遭遇し、サービスの継続ができない状況に追い込まれる




「2週間ほどでしょうか、本当にサービスを停止していた期間がありました。しかし、その事件を機に、動画配信インフラも自社内で提供する方法に切り替えたんです」

そこで、ちょうど開発が進められていたドワンゴの動画配信サービス『SMILEVIDEO』から動画ファイルを提供する方式に切り替えてサービスを再開。その後、同じく動画配信サービスとして知られるサイバーエージェントの『AmebaVision』、ウノウの『フォト蔵』からも動画ファイルを提供する話を持ちかけられ、今ではその3サービスから提供される動画からサービスを展開している。



「2007年6月18日から、『ニコニコプレミアム』と称する有料会員サービスを導入しました。今後はサイト内に広告を表示するなど、ビジネスとしても広がりを持たせていければと思います」(鈴木氏)

動画はあくまでドワンゴが提供するサービスの一媒体に過ぎないかもしれない。しかし、一般家庭へのブロードバンド回線の普及でリッチメディア事業を大々的に展開できるようになった今、動画配信は今後の隆盛が見込める領域といえるのではないだろうか。技術者としてWebの領域で活躍するなら、「動画配信のプロフェッショナルになる」という選択はおおいにアリだといえそうだ。


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