キャリア5?7年、30歳を迎えるITエンジニア。この節目でスキルと年収のバランスを考える人も多いだろう。 果たして、転職でそのバランスを変えることができるのか? 専門家2人による業界動向を通して解説しよう。 |
野々村 正仁 氏
Masahito Nonomura 株式会社アイテック
代表取締役社長 アイテックは、1983年に設立された情報処理技術者向けの教育・研修事業を行う企業を前身とする法人。現在もIT業界で活躍するエンジニア向けのセミナーなどを提供している
有山義也 氏
Yoshiya Ariyama ワークス・アンド・アソシエイツ株式会社
キャリアコンサルティング事業部 シニアコンサルタント 大学卒業後、アメリカ・ロサンゼルスで日系企業向けの人材紹介を手がける。ハイテク企業を対象としたリサーチ会社などを経て2003年にワークス・アンド・アソシエイツに入社
ITエンジニアには多種多様な職種が含まれるが、その大半を占めていると言われているのが広義のSEだ。企業の「経営戦略=IT戦略」という図式が定着しつつある今、職種を問わずITエンジニアの役割は、企業内でより重要度を増していると指摘するのは、アイテック代表取締役社長の野々村正仁氏だ。
「ここ数年間で、あらゆる製品・サービス・情報を提供する手段としてITが普及、浸透しました。そんななか、特に一般事業会社にとって自社システムを十分に活用していかなければ、経営課題の解決をはじめ継続的な成長を実現できないと考えています」 これまでシステム開発は大半が外部委託。設計・開発から運用・保守もアウトソーシングしているケースが多かった。しかし、海外が主要マーケットになるなど、グローバルでスピーディな経営判断が必要な今、自社システムだからこそ自社で構築し活用することが必須の前提条件となっているのだ。「IT戦略を立案する側、発注する側、受注する側といった立場の違いに関わらず、業界で働くエンジニアはまず“変化に即応する能力”こそが必要だということを知ってほしい」とワークス・アンド・アソシエイツの有山義也氏は指摘する。 では、現在30歳のエンジニアはスキルと年収のバランスをどう考えるべきか? まず自分自身の市場価値を知ってスキルアップに必要な行動を起こすべきと野々村氏。 「どんな仕事でも問われることですが、まずは自分が“基本スキル”を身につけているかどうか、原点に戻ってチェックをしてほしいですね。意外とできていないことに気づくはずです」 有山氏も同様のアドバイスをする。 「各種アンケートの結果を見ればわかるとおり『今の年収に満足している』という人は少ない。では顧客企業はエンジニアに何を求めているのか? 専門分野以外にも目を向けてみてどんなスキルが必要なのかを客観的に知ることがキャリアアップの第一歩です」 また野々村氏は、雇用する側はキャリア5?7年のエンジニアにふさわしい資質と能力を期待していると話す。 「専門分野に関する知識・技術を有していることは当然で、プラスαとして周辺分野にも関心があってチームをまとめてプロジェクトを遂行していけるかといったリーダーシップ力も問われます」 IT業界はエンジニアに対する環境整備を進め、以前の「3K(=きつい、帰れない、給料安い)」から「3T(=楽しい、定時あがり、高い給料)」へと変わっていこうとしている。業界全体が大きな変革期にある今、年収アップを実現する転職のためには、慎重かつ十分な情報収集とスキルアップのための努力が欠かせないといえるだろう。 |
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