留学するなら今がチャンス?!
MBA留学最新動向 |
第4次MBAブームといわれる昨今。米国トップ10校を始め、国内MBAコースなどへ私費で留学する人も増え、MBAは大衆化時代を迎えている。では、どうすれば留学に成功するのか? 賢い留学法から最新留学術を聞いた。 《2004年8月号より抜粋》 |
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最新留学事情 MBA大衆化時代。箔付けだけでは失敗する! |
世界トップ10校への最近の日本人留学動向は? MBA留学というと、バブル以前の主流は米国トップ校への企業派遣だったが、昨今では企業派遣は激減している。しかしその一方で、最近は外資系金融やコンサルティングファームの人気から、「私費でMBA留学をしたい」というニーズも高まっている。 世界各国のトップMBA54校の公式MBA組織を母体とするグローバルタスクフォース(GTF)の山中英嗣氏は、「ある米国のトップ校は、5年前と比べ2倍以上の日本人受験者を集めている。しかし、日本人枠は変わらないため難易度は高まっている」と語る。たとえばハーバード(HBS)で見ると、バブル時代の日本人枠は約20人だったが、昨年は13人。減った分は中国人となっている。 このようにトップ校への入学は難関になっている一方で、世界のMBAプログラムは増え続け、今日約3000ものコースがあるという。 「現在、GTFのコミュニティであるトップ54校の日本人卒業生数は約1万人弱。その他のコースも含めれば、日本人MBAは数万人規模。今やMBAは大衆化、デフレ化している」(山中氏) かつて希少性も価値だったMBAだが、今ではMBAだけでは差別化は難しいとの認識も必要なのだ。 ◆ 国内MBAコースの実態とは? 昨今、MBA人気を背景に、国内の大学が相次いでMBAコースを設立している。MBA留学の予備校として著名なイフ外語学院の学院長・中野正夫氏は、「毎年1校のペースで新規開設され、年々募集人員が増えている。昨年は慶応、早稲田、一橋でも一部定員割れしている」という。 海外トップ校と比べ人気がない理由は、クロスカルチャーな経験ではない点と、世界的に見ると“ブランド力”がないためだという。 企業派遣の場合は転職をしない人が大半。また、私費の場合はベンチャー志向の人が多い。ある国内トップ校OBは、「2代目経営者とパイプを作るのが入学の目的」という。 慶応MBAでは外資コンサルへの就職実績もある。しかし、一部のトップ校を除いて、外資への年収アップ転職は難しいといえそうだ。 ◆ 昨今の海外トップ校の就職状況は? MBA取得後の就職先というと、戦略コンサルティングファームや外資系投資銀行が思い浮かぶが、「米国トップ30校なら、メーカーなども含め外資系企業から引く手あまたの状況が続いている」(中野氏)。 また、昨今は日産のように外資傘下に入った日本企業、外国人の持ち株比率の上がっている日本企業、中国進出をしている日本企業などからのニーズも強くなっているという。 「たとえイギリスの中堅MBAでも、留学前に経理などの現場経験がしっかりあると、使い勝手の高い人材と思われる。それでインテルなどの一流外資系に入った人もいる」(中野氏) 卒業時の年齢もあるが、年収にさほどこだわらなければ、就職先の選択肢は比較的多いといえそうだ。 ◆ 成功する人、失敗する人 それを分けるものとは? 「キャリアパスはそれぞれだが、具体的に“何をどう学んでくるか”で留学の成否が決まる」(山中氏)。 入学前にその後の身の振りを徹底的に調べ、現地では能動的に講義に参加し、実力を蓄えた人が成功しやすい。一方、“箔付け”目的だけの人は失敗するという。 「トップ校なら転職希望のポジションへのエントリーは確かに有利だが、入ってから“この程度か”と思われたらお終い」(山中氏) たとえば、都銀マンから金融のプロを目指しMBAを取ったが、9・11ショックで投資銀行のポジションがない。そこでマネジメント職へ移行しようと、ベンチャーに就職。しかし、1年後に倒産。調査会社の契約社員を経て、ジョブホッパーへ……という失敗例もあるという。 「しかし、実力をつけた人は違う。目当てのプライベートエクイティの職がなかったら、苦境の会社に履歴書を送って入社し、自ら部門を立て直してしまう」(山中氏) MBAの2年間に法律の修士も併せて取る人もいるという。昨今は、「あたり前の話であるが、MBAホルダーになってハッピー」ではなく、実力を付ける場としてMBAをうまく活用できた人が成功しているのだ。 |
最新留学術 留学するなら来年がチャンス! |
◆ 今年と来年は日本人が有利! ここ数年、米国トップ校の日本人枠は縮小していたが、昨年から盛り返しの傾向にある。理由の一端は、「テロ対策によって、イラクに軍隊を派遣していない中国の人へのビザが今年と来年は下りない」(中野氏)ためだ。 また、来年をもってTOEFLの科目から文法がなくなる。日本人の苦手な科目の割合が増えるため、「準備に従来の1・5倍必要」(中野氏)。 留学を真剣に検討しているなら、早めに準備をして、来年に留学を果たすのがオススメだ。 ◆ 学校選びのポイントは どうせ留学するならトップ校。トップ校なら華麗な人脈もできると思う人が多いだろう。確かにトップ校は魅力だが、山中氏はランキングだけで学校を決めることには異を唱えている。 「就職におけるトップ校のメリットは実際のところ、入社前のスクリーニングで多少優位に立つことができる程度というのが実態。入社後に至っては、完全に出身校のメリットは存在しません。むしろ期待値の高さからくるデメリットの方が多いかもしれません。したがって、ランキングが3つ上だから、といった類の理由で決めるのではなく、自分の進むべき方向性に沿って学校が持つ得意分野で決めることが重要」という。 たとえば起業を目指すなら、アントレプレナーシップで全米1位のバブソンカレッジなど、隠れた有名校も存在しているという。 自分が特に学びたいことが実現できるという観点から、様々なコースを選ぶのがいいだろう。 ◆ エッセイのポイントは? GMAT・TOEFL以外でポイントになるのがエッセイだ。 「重要な意思決定に携わっていく人になれるということをアピールしなければいけない」(中野氏)。 昨年、あるトップ校では都銀出身の合格者はゼロ。その理由は、みな一様に企業再生コンサルタントになりたいとエッセイに書いていたからだという。最近では、明確な目的意識を持って、医師や弁護士でMBA留学をする人も増えている。やはり人を納得させられるだけの“志”や独自性も欠かせないのだ。 ◆ ベストな留学年齢は? 「ビジネス経験は豊富にあったほうが得るものは大きいという話もあるが、一概にそうともいえない。大学を出たてでも、基本的なビジネスの知識や経験、素養があれば問題ない」(山中氏)。留学後に転職し、費用を回収するという観点から見ると、やはり20代の早いうちに留学したほうが有利だ。 |
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