20代の選択は何を変えたのか?  

28歳「転職組」の現在

「28歳はキャリアの売れ時」。こう言われるようになって久しい。だが、28歳ビジネスパーソンのリアルは、なかなか転職を決断できなかったり、転職後の世界を描き切れなかったり、と転職市場の思惑通りにはいかない。でも、20代後半の今だからこそ、考えて欲しい。本当に現状維持がベストなのか。今の仕事だけがあなたの「天職」なのか。今回紹介する転職後の世界を“活きる”ビジネスパーソンの中からあなたの「キャリアモデル」はきっと見つけられるはずだ。 《2005年2月号より抜粋》

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株式会社アライアンス アソシエイト
重田 幸三氏(29歳)
1997年、大学卒業後、都市銀行に入行。関西の支店に勤務後、本店で外国為替ディーラー(カスタマーディーラー)、マーケットエコノミストとして活躍した。02年には同行を含む3行の巨大合併を経験し、03年11月に、アライアンスに転職
 
メガバンクを棄てたことで、彼は成長・発展の余地を手に入れた。それも自身と会社の両方を。

03年11月、重田幸三氏はメガバンクからM&Aアドバイザリー専門企業、アライアンスへ転職。28歳の決断だった。

M&Aアドバイザリー業務とは、企業や事業部門の合併、買収・売却ニーズを自ら発掘、提案し、成約までの全過程に渡ってさまざまなアドバイスを行うこと。現在、重田氏は食品メーカー関連を中心に案件の発掘に注力している。

同社は社員数約20名の独立系ベンチャー企業。「基本的な仕事のやり方は先輩について学ぶが、注力する業界を決めるのも自分次第」と言う。成果を残すにはニーズのヒアリング、案件の提案が不可欠だが、ヒアリングしたニーズのうち、取引(ディール)として成立する確率は100分の1以下。それでも、いや、だからこそ、仮説検証力や営業力の不足に気づき、自分の課題と、それを乗り越えたときの成長を実感できるのだ。

前職では本店の外国為替ディーラーを経て、マーケットエコノミストへ。メガバンクを代表して大企業向けに外国為替動向を話したり、金融当局も目を通す予測レポートを発表する。「先生」扱いされることはあっても、予測が外れて非難されることもない。だが、それは「重田幸三」にではなく、メガバンクのエコノミストに対する敬意でしかなかった……。

「相手から厳しく『ココが違う』などと指摘されるのは初めてでした」

独立系ベンチャーの厳しさと可能性に惹かれる


アライアンスには、顧客基盤が磐石なメガバンクのように「頼まれディール」はない。自ら顧客を開拓しなければ、会社の存続すら保証されない。銀行的なゼネラリストよりも金融スペシャリストを志向していた重田氏は、厳しい環境への転職をその近道と考えた。

「28歳なら職種転換も可能。改革が進まないメガバンクでは、もう成長曲線を描けないと思った」

   
「転職後」の満足度調査
評価制度 70%
年収 60%
人間関係 75%
仕事と私生活のバランス 70%
仕事内容 100%
転職から1年あまり。まだ案件の成約実績はないが、自分で発掘から案件化した取引は数多い。最近はベンチャー企業の一員として、「会社の運営を担っている」実感も強まっている。

「将来的にはM&A以外の事業展開もあり得る。会社の方向性も自分たちで決められるなんて、前職では考えもしなかった」
重田氏の意識はすでに経営者的な発想に変わっている。

株式会社 都市デザインシステム 企画部
石川 祐介氏(28歳)
1999年、大学の建築工学科を卒業後、マンション専業の建設会社に入社。仕入部門に配属され、5年間で6物件の開発を担当。03年には同社の産業再生機構入りを経験。04年2月、コーポラティブハウス大手の都市デザインシステムに転職
 
28歳前後で転職を決断するビジネスパーソンが増えている。
入社5〜6年目を迎え、会社の実情も自分のやりたいことも見えている。より自分の強みが伸ばせ、弱みを克服できる会社に転職する人。目指す方向性が違うからと、30歳前に未経験転職を果たす人。転職動機が明確なので、実行率も高い。昨年転職した石川祐介氏もその一人である。

前職のマンション専業の建設会社に入社して5年目、6物件目となったマンション開発が、石川氏に転職を決断させた。
同社では、仕入部門に所属。マンション用地の発掘・購入から建物の完成まで、不動産開発をトータルに担当する。新入社員の多くは営業販売に回り、仕入への配属は全体の1割に満たなかった。

「5物件目までは上司と一緒の仕事でしたが、最後の物件だけは最初から最後まで自分ひとり。これで自信がつきましたね」

即戦力を期待されつつ、学ぶのも許される年代

一方で、マンション事業しか知らないキャリアへの不安も感じていた。不動産業界は形を変え、金融との結びつきを深めている。会社自体も、経営不振から03年に産業再生機構入り。新しいビジネスを開拓できる状態ではなかった。

04年2月、都市デザインシステムに入社。石川氏はコーポラティブハウス大手の同社に以前から興味を持っていた。
転職後、職種名は変わらないが、仕事の幅は大きく広がった。入社直後はマンション入居者を見つけるリーシングの管理。マンション用地の仕入を2つ挟んで、現在は表参道にある商業ビルの開発及びテナント誘致に取り組んでいる。

   
「転職後」の満足度調査
評価制度 90%
年収 80%
人間関係 90%
仕事と私生活のバランス 70%
仕事内容 100%
「当社は老舗ホテルの再生や不動産流動化事業なども手がけていて、金融スキルも求められます」

28歳の石川氏は転職で得られた変化をチャンスと捉えている。即戦力を期待されつつも、まだ「職場で学ぶのが許される年代」だからだ。年齢が上がるにつれ、会社からは即戦力を強く期待され、本人は変化に対して保守的になる。変化を前向きに受け入れられるのは、経験と柔軟性を兼ね備えた28歳の特権なのである。

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