20代の選択は何を変えたのか?  

「28歳、未経験分野に転職」のその後

「28歳はキャリアの売れ時」。こう言われるようになって久しい。だが、28歳ビジネスパーソンのリアルは、なかなか転職を決断できなかったり、転職後の世界を描き切れなかったり、と転職市場の思惑通りにはいかない。でも、20代後半の今だからこそ、考えて欲しい。本当に現状維持がベストなのか。今の仕事だけがあなたの「天職」なのか。今回紹介する転職後の世界を“活きる”ビジネスパーソンの中からあなたの「キャリアモデル」はきっと見つけられるはずだ。 《2005年2月号より抜粋》

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中央青山プライスウォーターハウスクーパースHRS株式会社 コンサルタント
水木 和幸氏(31歳)
1996年、大学卒業後、都市銀行に入行。都内支店を経て、99年より通産省に出向。産業政策の立案に関わる。01年には、銀行の統合を控え、本部勤務。02年4月より、個人向け商品の企画・開発を担当。04年4月、現職へ
 
未経験で飛び込んだ会社で逆に自分の強みを発見した

都市銀行に入行して6年目、水木和幸氏は「自分にはスペシャリティーがない」と、焦りに似た不安を憶え、転職活動を始めた。

それまで転職を考えなかったわけではない。入行後2年あまりを過ごした支店では、すぐに「仕事をこなせているな」と感じてしまう。このまま同じ仕事が続くことに耐えられそうもない。だが、異動によって転職話は立ち消えた。

それから、4年。28歳までに3回の異動を経験した。気がつくと、特筆すべき専門性は身についていない。水木氏は、コンサルティング会社など業界・職種を問わず、「専門性が身につき、自分をストレッチできる環境」を求めた。だが、結果はどれも不採用。未経験の壁は想像以上に厚かった。

どんな経験やスキルも活かすのは自分次第

「活動を進めるうちに、コンサルティング分野でも特に人事に興味を持つようになりました。そこで出会ったのが、現在の会社です」

その会社、中央青山プライスウォーターハウスクーパースHRSは、水木氏が直面していた未経験の壁をいとも簡単に破らせてくれた。04年4月に入社した後は、小売業の企業再生に伴う人事制度改革やIPOを目指す企業のグループ人事制度の構築など、立て続けにプロジェクトを経験してきた。

「最初は、他のメンバーに追いつこうと、必死に人事分野の勉強をした。でも所詮付け焼刃の知識では、追いつけない。最初の3カ月はすごく苦しかったですね」

しかし、未経験な人事分野でも、成果を残そうと試行錯誤するうちに、意外にも「採用のワケ」が見えてきたという。

「人事戦略は、いまや経営戦略とは切り離せません。私は財務のエキスパートの観点から経営戦略を分析し、人事戦略の検討に活かすことを期待されていたのです」
   
「転職後」の満足度調査
評価制度 80%
年収 80%
人間関係 100%
仕事と私生活のバランス 80%
仕事内容 90%

財務に関して水木氏は「必ずしも専門性があるとまではいえない」というが、銀行での経験は人事のプロ集団の中では貴重なものだった。プロジェクトでも、自然と財務面からの分析や意見を求められることが多い。

「これに気づいたとき、すごく楽になりました」。水木氏は、コンサルタントとしてのバリューを出しながら、同時に新分野の経験を積める環境を手に入れたのだ。

「どんな経験でも活かす機会は必ずあると痛感しました。要は自ら活かそうとするか、しないかの違いです」


楽天株式会社 バーティカルディレクション部
武藤 直子氏(28歳)
1998年、大学の文学部を卒業後、大手リース会社に入社。営業部門に配属され、地方支店や本部で主にIT機器の法人リースと融資業務を経験。03年5月、楽天に転職し、店舗アドバイザリー部に配属。新規出店のオープン審査サポート業務を経て、04年5月より現職に
 
リースからネット業界へ転身し日々の仕事にのめり込む毎日

転職の前後で一番変わったのはスピード感≠セと楽天の武藤直子さんは語る。

最初に感じたのは03年春の採用面接時。一次面接から一週間後の二次面接はたった5分で終わり、その2時間後には最終面接が行われ、即採用が決まった。

文学部出身の武藤さんは、仮想通貨が登場する村上龍の『希望の国のエクソダス』が発する「変化しないと勝ち残れない」というメッセージが転職活動のきっかけとなったという。前職のリース会社では5年間ほぼ同じ業務で、その先のキャリアが描けなかった。

一方、当時の楽天はすでにネット業界の勝ち組だったが、スーパーポイントの導入など、「仮想通貨」を連想させる新サービスを次々と始めていた。

03年5月、27歳で楽天に転職。ベンチャーマインドはあっても、EC分野は未経験。出店オープン審査サポートの通常業務に加え、楽天市場に肉屋を開店する2週間の 転職者向け研修に臨んでいた。

「リハーサルでは何度もダメ出し。現役ECコンサルタントを前に最終プレゼンできたときは、今までにない達成感がありました」

短期間のスパルタ研修は、武藤さんの出店サポートスキルを向上させた。未経験からスタートして数カ月、オープン審査を通過する店舗数は毎月35件に達していた。

いまの仕事に熱中し質とやりがいを追求する

転職から1年、武藤さんはさらなる変化を求めて、自らバーティカルディレクション部に異動する。

メイン業務は店舗の売上アップに役立つ企画を立案・実行すること。武藤さんは「美容・コスメ・香水」と「ダイエット・健康」を担当。香水特集や福袋といった企画を月に5〜6本立て、商品ニュースも定期的に発信する。武藤さんは「企画ができ、文章も書ける。なによりお店の売上に関わりたかった」と話す。

前職のリース会社では、一つの契約で動く金額はときに数千万円。だが、他人事のようで実感がなかった。広告料金の絶対額はリース契約と比べ少ないとはいえ、店舗にとっては大金だ。今でも自分が出店サポートした店舗の売上は気になり、閉店を知ると心が痛む。

   
「転職後」の満足度調査
評価制度 80%
年収 80%
人間関係 90%
仕事と私生活のバランス 90%
仕事内容 100%
「広告枠を買ってくれた店には、その分の効果を返したい。だから店から上がってきたキャッチコピーを売れるコピー≠ノ変更してもらうことも少なくないですね」

仕事にどれだけ熱中できるかで、仕事の質もやりがいも変わるのだ。

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