人材のプロが完全回答  

今さら他人に聞けない!!「転職のギモン」

新卒で入社し、慣れ親しんだ会社に別れを告げ、新天地を目指すのは勇気がいること。転職のリスクを取るなら、それなりのリターンは確実なものにしたい。ここでは、転職ビギナーの素朴な悩みに、人材のプロが完全回答する。 《2005年5月号より抜粋》

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すごく初歩的なギモン編
 
疑問1 信頼できる転職の情報は どのように収集したらいいか?
 
転職に関する情報は、転職サイトや転職情報誌などの二次情報と、先輩転職者や人材紹介会社のコンサルタントなどの「ナマの声」の双方を収集するのがベストだ。

たとえば、コンサルティング業界に転職したいなら、まずはコンサルタントになるための転職ノウハウがわかるサイトをチェックし、業界の特徴や注意点などをつかむのが第一歩。次に、コンサルタントの募集要項が充実している求人サイトにアクセスし、実際の求人情報にふれてみるといい。

またコミュニティサイトを利用してみるのも手だ。Q&Aサイト(ネット上でさまざまな疑問や悩みを投げかけると、回答者から答えやアドバイスが得られるサイト)に、「○○業界に転職したい」といった相談を寄せてみると、ヒントとなる回答が無料で得られる。サイト利用者がボランティアで回答している仕組みなため、中立的な意見がきけるのがメリットだ。ただ、無責任な発言も散見されるので注意したい。

書籍も合わせてチェックしたい。あなたのレベルや希望に合った、転職ノウハウ本をまずは一冊購入し、熟読することをお勧めする。また、希望する業界の研究本もぜひ読んでおきたいところだ。

こうして転職の「イロハ」を学んだら、次は「ナマ情報」の収集だ。一番手っ取り早いのは、人材紹介会社に登録すること。コンサルタント(相談員)に根掘り葉堀り疑問をぶつけてみるといい。あらかじめ、本やサイトから情報で「予習」しておけば、より貴重な情報が得られるだろう。
 
 
疑問2 一度転職すると 「転職癖」がつくって本当か?
 
「これは本当です」と転職のプロは口を揃える。

「新しいことに挑戦することは、非常にエネルギーを使う。だが再び職場になれてくると、とたんにマンネリ化してくる。そうするとまた新しいことにチャレンジしたくなるものなのです」(菅野氏)。

転職のたびにステップアップするという生き方は、「狩猟民族的」な生き方そのもの。「転職する人生」を選んだら、「自分の食い扶持は自分で稼ぐ」という、会社に頼らないマインドを身につけることが必要だ。

今勤めている会社があまりに不安定なのでもう少し「マトモ」な会社に転職したいという人は、あらゆる手を駆使して、はじめての転職を何が何でも成功させることが重要だ。明らかな実力不足で本命企業に入れそうにないなら、まずはいまの会社で人の倍以上仕事をして、実力を蓄えるべき。

それでもいきなり本命企業に潜り込むのが難しそうな場合は、いつかは本命企業に入れるように、徐々に転職する会社のランクを上げていくというのも1つの手だ。
 
 
疑問3 「営業経験」はスペシャリティとして評価されるのか?
 
「もちろん評価される。昔は、中途採用市場にはいい営業マンは流出しなかった。優秀な営業マンは今の会社でそこそこの待遇を受けていたからです。でも、今は事業部の圧縮などから、徐々に優秀な営業マンが市場に出てきた。彼らは引っ張りだこです」(菅野氏)。

ただ注意したいのが、「転職営業マン」はすなわち「新規開拓担当」だと思ったほうがいいこと。企業には、重要なクライアントをすぐ転職者に担当させるほど余裕はない。

最近は金融業界でもリテール営業職を大量に採用しているが、ほとんどが「新規開拓」。営業に自信があるなら、挑戦してみるチャンスの時期とも言える。
 
 
疑問4 転職の相談は誰にすべきか?
 
「まだ会社を退職していないなら、会社の同僚にだけは転職の相談はしてはいけない」(瀧澤氏)。

会社のウワサというのはどこからともなく聞こえてくる。気が変わって転職するのを止めようと思っても、ウワサが先行していたら辞めざるを得ない状況になる。では、誰に相談すべきか?

「サラリーマンになる前のまっさらな自分≠知っている、学生時代の恩師や先輩に相談してみるのがいい」(菅野氏)。

現状で直接利害関係のないこれらの人に相談すれば、あなたの本当の「適性」などについて親身に相談に乗ってくれるに違いない。また、先輩や恩師の5人以上が、「その仕事は向いている」とお墨付きをくれたら、「この方向に進んだほうが良さそうだ」と確信を持っていい。

反対に、「絶対に相談相手にならない人」は、「親や妻といった家族」だと菅野氏は指摘する。

「親はこどもに対してどうしてもひいき目が入るので、冷静な相談相手にはならない。妻は自分の権利を守ろうとするので、そもそも転職に反対するケースが多い」(菅野氏)。

転職相談のポイントは利害関係のない、信頼できる人に相談すべきということだ。
 
 
疑問5 転職準備金は どのくらい用意すべきか?
 
「会社を退職してから転職活動をしようと思ったら、転職準備金は最低でも給料の3カ月分は用意しておくべき。自己都合の退職だと失業給付金が出るのが退社3カ月後からだからです」(瀧澤氏)。

ただ基本として押さえておきたいのが、失業期間は長引けば長引くほど転職は不利になるということ。精神的にも、仕事をしない状況が続くのは望ましくない。いくら貯金があっても、長らく失業している事態は何としても避けたいところだ。

「たとえ留学でも企業は“失業期間”とみなします。そこを肝に銘じてください」(瀧澤氏)。
 
 
疑問6 何社か受かったら、どのようなポイントで1社をチョイスすべきか?
 
贅沢な悩みだが、優秀な人材にとっては深刻な問題だ。菅野氏は、「給料などの条件ではなく、なにがなんでもあなたにきて欲しい!という熱意がある会社に行くべき」という。

ある外資系企業の社員は、受かった企業の条件をすべて表に書いて、メリットとデメリットを比較検討するというが……。

「そんなのは、ナンセンスです。自分の能力を高く評価してくれそうな会社に行くのが転職成功のセオリー。あなたを評価してくれる会社とは、ずばり“手続き”の早い会社。面接から内定のタイミングが早い、人事部長や幹部自ら電話がかかってくる。そんな会社に行けば、自ずとやる気も上がるでしょう」(菅野氏)。
 

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