人事が読みたくなる書類作成のツボ

書類作成は時間も労力もかかって面倒なもの。しかし、最低限押さえておくべきポイントと、人事の目を引くコツをマスターしておけば、作成の手間も省ける。そこで、現役採用担当者3人に「受かる書類と落ちる書類の違い」を聞いた。 《2005年10月号より抜粋》

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「ネット企業なので、ネットエントリーが条件。連絡はメールでしたいから」
栗田恭子さん(仮名)
ITベンチャー企業人事 【1日に見る職務経歴書】平均15通

「余計な追記で印象が変わることも。職務経歴書はシンプルが一番」
大山里美さん(仮名)
コンサルティングファーム人事 【1日に見る職務経歴書】10〜100通

「さまざまなポイントからその人の実像をイメージするようにします」
滋賀恵一氏(仮名)
元・大手IT企業人事 【1日に見る職務経歴書】20〜30通




■勝負は10秒!人事が最初に見るのは「経歴」のみ

―職務経歴書のどこを中心に見ていますか?

栗田恭子さん まず見る部分というのは「職務経歴」の部分。つまり、これまで何をされてきたかという仕事内容ですね。

滋賀恵一氏 僕が見るのも同じ。まず経歴から見ます。

大山里美さん 私も同じですね。弊社が募集している職種に、スキルや経験がどれだけマッチするかが一番重要。そこが判断のしどころなのでほかはあまり注力しません。

―志望動機や紹介文などは見ないんですか?

滋賀  見ませんねえ。人材紹介会社から経由して応募される方には、コーディネーターからの推薦状がついてくる場合が多いんですが、ほとんど見ないな。だって効率が悪いもの(笑)。見るとしたら迷ったとき。経歴を読んで迷ったときに志望動機や紹介文を読んでヒントにするぐらいです。

大山 履歴書と職務経歴書が同封されていて、たまに履歴書のほうに力を入れて熱心に書き込んでくる方がいるのですが、ごめんなさい、そっちはあまり見ていないです(笑)。事実と成果をすぐに確かめられるから、まずは職務経歴書を開きます。

滋賀 そうそう。だから、必要以上にあれこれ書いてあると内心やだなーと(笑)。だって読むのに時間がかかるから。ぱっと見て○か×かを即断できる職歴書が一番ですよ。僕は書類を見るときに、自然と募集職種に関連するキーワードを目で探していますね。ざっと流し読みして、ヒットするキーワードが経歴書の中に書いてあれば、そこで止まって真剣に読み込む。

大山 たとえばERPパッケージ導入経験者を募集している際に、関連の資格を持っていたり、導入プロジェクトに携わった、等書いてあればそこで「会う」組に分類。弊社の書類審査は、ほぼスキルマッチで判断しているため、個人的な感情やポテンシャルが入り込むケースは本当に少ないんです。

栗田 うちはベンチャーなので少し違いますね。もちろん経歴をもっとも重視するんですが、経歴の中から、この人は決められた仕事をこなすだけの人なのか、それとも仕事を自分から探して広げていけるベンチャースピリットがある人なのかを、言葉の端々から読み取ろうとしてます。だから、「新規事業立ち上げ」とか「業務改善提案」などのキーワードがあればそこで手が止まる。この人は、器を替えてもとりあえずそこで走れる人なのかな、という期待値込みで会うことを決めるときもあります。

―ということは、皆さん、一通一通読むのにそれほど時間をかけていないということですか?

滋賀 最初の選別はだいたい10秒くらいかな?

大山 私も同じくらい。

栗田 私もそれくらいですね。

滋賀 会いたい人とそうじゃない人はすぐわかる。一番時間がかかるのはそのボーダーラインの人です。でも結局会わないことが多いけれど……。



■シンプル・イズ・ベスト最大で3〜5枚が許容範囲

栗田 書いてある経歴の内容も大事ですが、私が経歴書から読み取ろうとするのは、ベンチャースピリットとコミュニケーション能力。職務経歴書には、その人のスタンスやマインドがすごく出るんですよ。たとえば、募集要綱に関係なく自分が強みだと思うことを前面に押し出してアピールする人と、求人をよく読み、こちらの要求を理解した上で、それを機軸にして経歴をアピールしてくる人がいます。もちろん後者が好印象。

大山 そういうのって本当に文章や書き方から読み取れますよね。Webエントリーや紹介会社経由のように、フォーマットが決まっている場合は、紙面上の見栄えが変わらないだけに、余計にそれが目立ちます。履歴書の趣味の欄などに、書かなくていいような突飛な趣味が書いてあると“こんなこと書かなきゃいいのに”って思ってしまいます。この方は、うちのカルチャーには合ってないかな〜と。

滋賀 いっぱい書くことによって、見せなくていいアラを見せてしまうこともありますね。職務経歴書が長くなりがちな人って、やっぱり自分に自信がないんですよ。だから「これも書こう、あれも書こう。ひょっとしたら有利に働くかも……」と、どんどん長くなっていく。

―では、職務経歴書って何枚くらいにまとめるのが理想ですか?

栗田 私は3枚。

滋賀 僕はガマンして5枚(笑)。

大山 年齢やポジションでどうしても長くなることは考慮しますが、それでもやはり3枚くらいを目安にまとめていただくと助かります。

栗田 志望動機を書いたり、丁寧な職務経歴書を完成させるために時間を費やすのは効率が悪いと思う。それくらいなら、経歴書をいかにシンプルに削るかを考えてくださったほうが、私たちも嬉しいです(笑)。



■事実は冷静に情熱とキャリアビジョンは熱く

―極力削った職務経歴書の中でも、人事の興味を引くものと引かないものがあるわけですよね? 具体的にはどんな経歴書が人事に好かれるんですか?

栗田 その人の人柄や将来のキャリアビジョンが読み取れる経歴書ですね。単にこれとこれをやってきた、という事実の羅列だけでなく、そこから何を得たのか、将来はこうなりたいから転職をするのだ、というところまで落とし込んであればベスト。

大山 私もキャリアビジョンはすごく重視します。弊社の方向性と、その方のキャリアビジョンが合わなければどちらも幸せじゃない結果になる。スキル的には申し分ないのに、その方が将来やりたいと思っていることが弊社では実現できそうにないため、見送ったこともあります。

栗田 シンプルとはいっても、経歴をただまとめただけでは惹かれないんですよ。まずは事実が端的にわかるように、プロジェクトの概要、メンバー数などの規模、期間などの事実を整然と記し、そこで自分がどの役割を担ったか、そこでどんな成果を上げたか、自分が身につけたスキルは何か、ということまで書いてほしい。

滋賀 僕が以前見た経歴書では、縦軸にプロジェクト名を、横軸にそこで身につけたスキルを、マトリックスにして書いてあってすごくわかりやすかった。あれをすべて文章で書こうとすると長くなる。こちらが見やすく、転職者にとっても実力をわかってもらいやすい形式なら、フォーマットにはこだわりません。

滋賀 とはいえ、実は僕は職務経歴書を100%は信用していないんですよ。だって、経歴もすばらしく、そこでスキルを着々と身につけて、将来への挑戦意欲も豊富な人なら、そこでも十分活躍の可能性があるわけで。前向きな理由以外にも何か本当の理由があるんだろうなと、心のどこかで思っています。

栗田 それはそうですよね。実際にお話を伺って、スキルの詳しい内容や人柄を確かめるために面接があるわけで。

大山 納得させられるようなキャリアビジョンがあって転職するなら、職務経歴書の○年○月退職、のところに、一言、何を理由に退職したのかを明記しておくのがお勧めです。書いていなければ、何があったんだろう、と詮索してしまうかも。

滋賀 業務内容やスキルなどの基本的な情報はシンプルにわかりやすく。情熱やポテンシャルは、本文に混ぜ込まずに追記で短く、しかし熱く。参考資料になるような、携わった製品情報などは、見る見ないを選択できるように別途添付。これが人事に好かれる職務経歴書でしょうね。そして多分これなら作る側もそんなに手間も時間もかからないはずですよ。

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