転職意欲キープのテクニック

転職活動期間が長引いてくると、当初の「転職するぞ!」という意気込みも フェードアウトしてしまいがち。挫折しないためのモチベーションキープ術を心理学者の富田たかし先生に聞いた。 《2005年10月号より抜粋》

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富田たかし

駒沢女子大学教授 心理学者


1949年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科博士課程修了後、白百合女子大学文学部助教授(心理学担当)を経て99年4月より現職。メディアで幅広く活躍中。著書も多数
  転職を決意する人の中には、転職先でやりたいことがあるというポジティブな動機を持つ人と、とにかく現在の環境から逃げたいというネガティブな動機からスタートする人に分かれる、と富田先生。「どちらの理由も理解できますし、両方が混在する人がほとんどでしょう。

ただ、差し引いて、ポジティブ動機のほうが余分に残る状態でなければ、転職完遂も難しいでしょうね」。逃亡自体を悪いこととは決め付けられないが、ポジティブ要素が上回らないうちにやみくもに活動を始めてしまうと、途中で生ぬるい現状を選びがちだ。

「“とりあえず人並みに、どこか会社に勤めよう”などと世間の常識や人の視線に固執せず、自分がなぜ働くのかを納得できるまで掘り下げてから動いたほうがいい。そうすると、なぜこの会社に応募するのかが明確になるからモチベーションもいっそう高まります。転職活動をきっかけに自分の人生や働く意味を見つけられたら、たとえ最終的に転職できなくても、得るものは大きいはずです」




1社ずつ転職活動を進めていたのでは時間も長引くし、希望企業に落ちたときのショックも大きい。大学受験のときのように、希望企業を複数決めて応募し、常にどこかの企業の結果待ちである状態がベスト。あまりに多忙すぎて同時進行が難しい場合は、短期決戦に持ち込まず、半年、1年単位で、じっくり焦らず転職活動を進めていこう。どちらの場合も、不採用通知を受け取ったときは必要以上に落ち込まないこと。

「自分が否定された、と取るのではなく、ほかの人が選ばれた、と客観的に事実を受け止めてください。長期でも短期でも、常に後ろは振り返らず、次に何をやるべきかを把握し、行動を起こしていれば、落ち込む暇もないはずです」




転職という大きな目標を達成するまでには、まず小さな目標をいくつも越えなければならない。求人情報誌を読む、希望する会社のホームページを見るなど、すぐにできそうな小さな目標をたくさん立て、一つずつつぶしていこう。

「心理学ではこれをスモールステップスの法則といいます。人は成果が上がらなければ意欲を持続しにくいもの。簡単にできそうなハードルの低い行動をできるだけ細かく設定し、それを紙に書いて塗りつぶすなどして、目で見てわかるようにしましょう。その際に注意すべきなのは、行動の結果ではなく行動すること自体を目標とすること。スケジュール帳やカレンダーを、自分の累積記録でいっぱいにして自信をつけましょう」




前項目は、自分がいかに頑張ったかという自己評価だが、外部からの評価というのは最後の最後になって、希望企業からの内定通知をもらうまで得られないもの。地味な自己評価のみが連続すると、達成感はあるものの、やはり途中でモチベーションがダウンする可能性もある。「ここまでやったら○○する!」など、自分でルールを決め、自分で自分を褒める具体的なご褒美≠用意することも、意欲を回復するためには効果的だ。

「今日予定していた企業情報収集が終わってからビールを飲む、5社に書類を出したら時計を買うなど、自分に対してご褒美を与える自己演出をしてください。達成感を味わうと、次からの行動にさらに意欲が湧いてきます」



とはいえ、どう考えてもポジティブな転職理由が見つからないときもある。そういうときは無理にポジティブ要素を探さず、一度頭を休めて「逃亡」してみることも間違いではない。「転職したい」と言いながらも、本当の本当は単に「今の会社を辞めたい」が理由の人もいるはず。どう考えても突破口が見つからない場合は、休暇を取る、思い切って退職する、というのも最後の手段。

「“会社を辞めたい”という欲求が達成できてしばらくしたら、“このままではいけない”、“やりたいことはこれだ”と新しいモチベーションが生まれる。そこで改めて就職活動を開始すれば、自己矛盾なく活動できるはずです。現実逃避も悪いことばかりではありません」

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