いま、狙い目は「ストック・ビジネス」だ! |
収益構造を見れば、その会社の将来性がわかる!ビジネスモデル別に、ネットビジネスの今後を占う。 《2005年11月号より抜粋》 |
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たとえば、楽天なら出店者から得る月額出店料や売上に応じた手数料が収益の軸となる。これはわかりやすい例だ。では、最近流行っているブログのサービスやコミュニティサイトなどの運営はどうやって収益を得るのだろうか。そこには各社一様でない、ネットビジネスならではの複雑な戦略が隠されている。 ここでは、とかくわかりにくいネットビジネスを、その収益システムをベースとして、どんな収益構造の会社が有望なのかを探ってみた。 まずネットビジネスの収益構造を類型化すると、会員課金、物販手数料、ライセンス販売、広告料収入、コンサルティングフィーなどの形がある。もちろん同一企業内で重複する収入源を持つ企業も多いが、基本的にはどの収益タイプが有望なのか? ITベンチャーの投資育成会社であるITXのプロマネ、小野寺浩一氏(公認会計士)は、このように語る。 「会員ビジネスであり、多くの会員を囲い、毎月会員から安定した収入が得られるモデルが理想。たとえばASPサービスは、単にソフトをライセンス販売するよりも、顧客たる会員から毎月確実に収入が得られる。それだけ安定しているわけで、投資の観点から見ると、このような収益モデルの会社が高く評価されるのです」 このような囲った会員から毎月課金などの形で収益が入るタイプを「ストック・ビジネス」という。このモデルは、会員が多ければ上場審査でも会社の継続成長性はバツグンと極めて有利になる。 「たとえば、オンラインゲーム会社。ゲーム業界はプレイステーションなどのハードやソフトはもう頭打ち状態。これに取って代わる勢いなのがネットワーク系のゲーム業界です。この収益モデルは月額会員課金。しかし、多くの会員を集めることが重要なので、会員が10万人くらい集まるまではタダ。そして10万人集まったら有料にする。すると、会員数は1万人くらいに減るかもしれないが、1万人会員がいればちゃんと収益が上がる。ゲームに限らずストック・ビジネスは、最初はタダで会員を集める戦略を取る会社も多いのです」 楽天も会員数を十分に増やしてから、月額固定課金から売上従量課金に移行し、その収益性を確たるものにすることに成功した。 一方、ソフト販売、コンサルティング、ネットによる単発の物販などの「フロー・ビジネス」は、製品やサービスが注目されれば一気に売上を伸ばすが、長期的な収益についての保証はない。転職するなら、この点もよく見極めたいものだ。 以上の点を踏まえた上で、小野寺氏は「儲かるネットビジネスを見分けるノウハウ」をこのように語る。 「会員数やページビューの総量を確認する。初期投資額が膨大でなければ、あとは会員数とビューで有望かどうかが簡単に読めます。会員数やビュー数が今後増えるかどうかは、コンテンツが新鮮で魅力的に見えるかどうかに尽きます。たまに、システム投資にカネをかけ、かえって使いづらいサイトになっているケースもある。ネットビジネスでは、システム投資を抑え、初期投資を早期回収することも重要なのです」 下の表に、主なネットビジネス別に収益構造と将来性を記した。ネットビジネス研究の一助にしてほしい。 |
注目ネットビジネスの 収益構造と将来性 (監修 小野寺浩一氏) |
【収益構造】月額課金 【コメント】月額ユーザー課金の典型例。収益は安定しているが市場はすでに飽和し現状維持。今後はNTTと電力系が光通信で伸びる。 【例】ニフティ、ビッグローブ、OCN |
【収益構造】月額課金およびアバター 【コメント】韓国でブレイクしただけに日本でも韓国系が強い。韓国ほどではないが、日本でもこの分野は伸びる。 【例】NHN Japan (ハンゲーム)、ガンホー・オンライン・エンターテインメント、エヌシージャパン |
【収益構造】月額課金 【コメント】ソフトのリース屋のような事業モデル。月額課金は安く一旦導入すると継続性あり。ライセンス販売より収益性は優れる。 【例】サイボウズ、ビットドライブ、エアネット |
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【収益構造】コンサルティングフィー 【コメント】検索において企業名を上位に出すサービス。1回だけでなく継続的に仕事が発生する。初期投資もかからず有望。 【例】アウンコンサルティング、ライブドアマーケティング、アイレップ |
【収益構造】ダウンロード課金 【コメント】各社が続々と参入中。今後急成長する分野だが著作権を抑える必要があるため大手が有利か。 【例】i Tunes Music Store(アップル)、Yahooミュージック、オリコン、ソニーミュージックネットワーク |
【収益構造】広告掲載収入 【コメント】リスティングといわれる検索連動型広告の収入が増えている。 【例】ヤフー、グーグル、goo |
【収益構造】成功報酬 【コメント】この業界は収益構造の変化が激しく、いまは実際の購入に結びつく成功報酬型が基本。今後も広告はリアルからネットへの移行が続くので有望。 【例】サイバーコミュニケーション、バリュークリックジャパン、オプト |
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【収益構造】広告料および調査受託料 【コメント】化粧品、服などの分野が伸びている。カカクコムは広告料と出店料の両方が取れるモデル。 【例】アイスタイル、カカクコム、カフェグローブ |
【収益構造】広告収入および一部会員課金 【コメント】いわゆる知り合い系サイト。収入源はまだ模索の段階か。 【例】FriendMap、GREE.jp、mixi |
【収益構造】調査受託料 【コメント】従来のマンパワーを使った調査より遥かに効率が良く、今後も伸びが期待できる。 【例】インフォプラント、マクロミル、メタフェイズ |
【収益構造】販売手数料 【コメント】規模を追うか、個性的な商品で勝負するか。いずれも使いやすさが鍵を握る。 【例】楽天、アマゾン、ヤフーショッピング |
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【収益構造】年会費および手数料 【コメント】売りたい、買いたいをマッチング。マッチングシステムの販売が収益構造のケースも。 【例】食堂楽、リサイクルワン、受発注ドットコム |
【収益構造】手数料 【コメント】eマーケットプレイスのいちカテゴリー。この分野はまだネット販売化されていない商材もある。今後はニッチ分野にも期待。 【例】DeNA、ヤフーオークション、チケットオークション@nifty |
【収益構造】加盟店からの手数料 【コメント】収益構造はクレジットカードとほぼ同じ。ネットコマースの底上げ役として期待。今後急成長する。 【例】SUICA(JR系)、edy(ソニー系)、ビットキャッシュ(ライブドア系) |
【収益構造】決済手数料 【コメント】将来的には電子マネー に取って代わる可能性が高く、将来性には疑問。 【例】ジャパネット銀行、ソニー銀行、IYバンク |
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【収益構造】株式売買手数料 【コメント】ネット金融部門では、まだまだ成長が見込める業界。ただし、手数料値下げ競争のため相場が冷えると厳しい。 【例】松井証券、イートレード証券、カブドットコム証券 |
【収益構造】現状未確立 【コメント】広告料収入、会員を集めて調査データを売る、出店に対して手数料を取る、出版とリンクさせるなどが考えられるが、現状はまだ謎。 【例】アメーバブログ、ライブドアブログ、はてなダイアリー |
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【収益構造】広告料および調査受託 【コメント】無料メルマガ配信は成長が踊り場を迎えている。法人向け配信代行のASPは新規参入も。 【例】まぐまぐ、melma!、パブジーン |
【収益構造】広告収入および出店料 【コメント】ぐるなびのように飲食ポータルの地位を確立すると広告料だけでも成り立つモデル。 【例】ぐるなび、カカクコム、ChanceIt! |
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【収益構造】手数料 【コメント】米国では航空機のチケット予約サイトが巨大規模に。日本でも今後は旅行、ホテル以外にも波及。 【例】楽天トラベル、ベストリザーブ、一休com |
【収益構造】開発受託料 【コメント】労働集約的ゆえ大きく成長するのは難しいが、HP製作はネットビジネスへの最初の入口だけに、ホスティングなど様々なサービスに派生するところが強み。 【例】GMOインターネット、NTTスマートコネクト、ヤッパ(3D画像) |
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