新しい年に新しいスタ−トをした元ユニクロのトップが対談  

澤田貴司×玉塚元一―いま求められるビジネスリーダーとは?

05年10月にファーストリテイリング元副社長の澤田貴司氏と、同社前社長の玉塚元一氏が企業の経営改革、企業再生および企業成長(ブレークスルー)を 支援する会社「リヴァンプ」を設立。これまで経営者として独自のポジションで活躍されてきたお二人に、新たな年への思いと、いま求められるビジネスパーソンについて語ってもらった。 《2006年2月号より抜粋》

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株式会社 リヴァンプ
代表取締役・代表パートナー
澤田貴司
81年上智大学卒業。同年、伊藤忠商事入社。化学品営業、流通プロジェクトに従事。イトーヨーカ堂とセブンイレブン・ジャパンプロジェクトに参画、米国 セブン-イレブンの買収に携わる。97年ファーストリテイリング入社。常務商品本部長を経て、翌年副社長に就任し営業部署の責任者としてユニクロの急成長 に貢献。03年2月キアコン設立、代表取締役就任。05年10月リヴァンプを設立、代表取締役・代表パートナー就任
リヴァンプにとって、06年をどんな年にしたいとお考えですか。

玉塚 会社を立ち上げてから3カ月ほどですが、おかげさまでいろいろと引き合いを頂いていて、社会的ニーズは非常に感じています。今年は当然リヴァンプにとって重要な年であり、スターティングラインとなる年。まずは、我々が現在関わっているいくつかの案件でトラックレコードを作り上げていくことが重要だと思っています。

澤田 二人は新しく事業を興した、これは事実。ただし今はまだキックオフしただけ。今年はリヴァンプの力を世の中に示して、良いご評価を頂戴することが目標。頂戴している一件ごとの案件にきちんと向き合い、「パートナー会社のために徹底的に貢献していく」という姿勢で臨みたいと思います。

玉塚 商売っていうのは、すべて実績。今年はその実績を作るということに尽きますね。

そこで、お二人のように新たなニーズや時代の流れを読むためには、何が必要かを教えて頂きたいのですが。

澤田 それはマジックみたいにパッと答えの出せるものではないと思います。結局は、現実に目の前で直面している仕事をしっかりとやりきることじゃないかな。この前も、立派な大学を出てビルに納入する機械製造メーカーに就職した若者と話していたら、「仕事がつまらないから転職したい」というわけですよ。だけど、「君が担当している地区には何棟のビルがあって、そのうちの何棟に君の会社の機械が入っているの」って聞くと、何も答えられない。そんな分析も しないのに、隣の芝生が青く見えるんだね。

玉塚 僕は、大きな目標は持つべきだと思う。「いつかは経営者になりたい」とか、若いうちから自分が40代、50代になった時のビジョンを描くことは重要ですよ。ただ、富士山の五合目にも辿り着いていないのに、いきなり十合目に到達できるわけがないということ。少しずつ壁を乗り越えていくことも必要で、若い人はその辺のバランス感覚とかメンタリティは大切なんじゃないかな。澤田さんが若い頃はどうでした?

澤田 商社にいた20代の頃は、常に「ライバル商社に負けたくない」って考えていたな。僕のいた会社は当時業界で「万年3位」なんて言われていたから、いつも悔しい思いをしていた。でも、結局は結果だから。頑張りが数字に結びつかないと、何にもならない。だから、自分の売り上げは業界でどの程度かとか、全体のシェアでは何%程度確保しているか、ということにはこだわっていた。

玉塚
 僕が20代の頃は…、ものすごく頭が悪かった(笑)。

澤田 何だよ、それ(笑)。

玉塚 いや、本当に。学生時代はラグビーばかりやっていて、いざ会社に入ったら同僚は東大や京大を出たような人ばかり。彼らの話に全然ついていけなかっ たんですよ。だから、ひとつだけ決めたのは「分からないことは次の日に残さない」ということ。僕は何のプライドもないから、誰にでも聞きまくりましたよ。それを続けていたら、ある日同期で集まって話をした時に、知識量では僕が一番になっていることに気づいたんです。たぶん彼らは、聞くのが恥ずかしかったんじゃないかな。

澤田 たとえ将来は経営者になりたいと思っていても、今の時点で組織に属しているなら、その組織の中で期待されていることを徹底的にやればいいんじゃな い?与えられた仕事をやり切って、周囲の期待以上の結果を出して、初めて大きなチャンスを与えられるんだから。それを繰り返していくことで自信もついて、自然とリーダー的な立場になっていくものなんじゃないかな。

玉塚 あと、謙虚さとか現状に満足しない姿勢というのは大事だと思いますね。何かを達成したと思っても、実はまだまだ足りない部分があることって多い。先日、僕が新卒で入社した旭硝子の石津会長と会う機会があったんですよ。旭硝子もここ数年は石津会長の手腕で業績も回復しているけど、ご本人は全然満足 していないんですよね。僕らみたいな人間が言うことにもきちんと耳を傾けて、至らない点があれば反省もする。常に謙虚さと危機感みたいなものを忘れないんです。
株式会社 リヴァンプ
代表取締役・代表パートナー
玉塚元一
85年慶應義塾大学卒業。同年旭硝子入社。98年日本アイ・ビー・エムを経て、同年ファーストリテイリング入社。マーケティング、海外事業責任者など を経て、02年代表取締役社長就任。ユニクロの急成長および業績回復に貢献。05年10月リヴァンプ設立、代表取締役・代表パートナー就任


もうひとつお聞きしたいのが“人脈作り”についてです。ビジネスマンにとっての必須項目とされていますが、お二人はどうお考えですか。

澤田 人脈を作ることが目的化したらダメだと思う。仕事を一生懸命やった結果、「コイツはすごいな」と周囲が思ってくれたら、自然と人脈はできてくるものですよ。

玉塚 それに、量より質ですよね。セレクティブになれと言っているわけではなく、深い信頼感とか「この人のためならひと肌脱ぐか」と思えるような関係が大事ということ。そういう関係の中から学ぶことって本当に多いと思う。

澤田 僕が玉塚と二人でやろうと思った理由も、そんなところかも。裏表なく何でも相談できるパートナーがいれば、こんなに心強いことはないですからね。

玉塚 ユニクロでは二人とも苦しい思いをしたし、毎日必死でしたから、単純な友人というのとはまったく違うレベルでの関係が生まれたんだと思いますね。 あの経験がなかったら、今のリヴァンプはなかったはず。

最後に、若手ビジネスマンたちへの応援メッセージをお願いします。

澤田 05年は堀江さんなどの新しいタイプの若手経営者の人たちが最前線に出てきて、世の中を活性化させました。彼らは若くして大きなチャレンジをしているし、とても立派だと思います。僕らが新入社員だった80年代は、とにかく安定志向だった。でも、今はそういう時代じゃない。だから、若い人には向上心をもって前向きな努力を常に忘れないでほしいですね。

玉塚 変化の激しい時代ということは、チャンスも多いしリスクも大きいということ。だからこそ、タイミングや時間は無駄にしちゃいけないと思う。「今、これに挑戦すべきだ」という直感があったら、そこに飛び込んでいく勇気は必要でしょう。

澤田 だから、その勘を養うために日頃から努力して、自分を鍛えておかなくては。結局、毎日の地道な努力が大切だっていう話に戻るんだと思いますね。

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