日本を変える仕事を選んだ転職スターたち

業界を変革する、そんな志の高い企業での経験が市場価値やビジネス力を上げる。そのことを証明するべく、日本を動かす仕事を選び、その第一線で活躍している3人の「転職スター」たちの現場を取材。そこで掴んだビジネスチャンスや仕事の醍醐味を聞いた。 《2006年2月号より抜粋》

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藤平大輔
(34歳)

営業企画統括部
副統括部長 兼
IT戦略部 部長
大手電機メーカーを経て、04年10月にソフトバンクBB株式会社に入社。その後、ソフトバンク株式会社のグループシステム戦略室に籍を置くと共に、福岡ソフトバンクホークスマーケティング株式会社にて5つの業務を兼務する


放送と通信を融合させて球界全体を盛り上げていきたい

「ITで野球のあり方を変革する」という大号令のもと、IT事業を核に多くのグループ企業を率いるソフトバンクは2005年、プロ野球の球団経営に乗り出した。そして、既成概念を打ち破る斬新なサービスを矢継ぎ早に打ち出していく。そのひとつが、グループの主要事業であるブロードバンド総合サービスYahoo!BBを中心とした公式戦のライブ中継である。ブロードバンド回線ならではの高画質を実現したほか、球場内に30台のカメラを配置することで、好みの選手の動きだけを追えるなどのアイデアを盛り込んだ。球界初のこの試みは国内だけでなく、海外在住の日本人からも大きな反響を呼んだという。

だが、回線を通じた配信では視聴する場所が限定されてしまう。そこで、いつでもどこでも見られるようにと、続いて携帯電話でのライブ中継サービスを立ち上げた。仕掛け人はいずれも大手電機メーカーから転職したばかりの藤平大輔氏である。

「とにかくスピード感があります」と藤平氏は、新しい職場環境について話す。「インターネットのサービス事業に関わりたい。であれば、ソフトバンクのようにスピーディに結果を出す企業で働きたいと思ってはいたのですが、実際には想像以上にスピーディでした。結果が求められるタームは基本的にはクオーター(四半期)なんですが、そこまで待ってくれない状況もあります。本当にすぐ結果を出さなければいけない」

急き立てられるような状況にストレスを感じているのかと思えば、さにあらず。

「やりたいことを次々に提案しても即座に吸収してくれるので、非常に刺激的です」と、むしろスピード感を楽しんでいる。

「ソフトバンクが球団経営に乗り出したのが05年の1月28日でした。その1ヵ月後に最初のサービスを立ち上げましたが、これほど短期間に実現できたのは、Yahoo!BBを含め、ソフトバンク・グループの持つ豊富な資産があったからです。また、プレーオフの際のインターネットライブ中継は約57万ページビューに達しましたが、これだけの莫大なトラフィックをさばくことができたのも、グループが持つ強固なインフラとコンテンツ配信のノウハウがあったからです」

公式サイトの統合およびリニューアル、PCおよび携帯電話に向けた公式戦のライブ中継を立ち上げた藤平氏は、シーズン終了間際にICチケットサービスを導入する。この一件に関しては前職で培ったエレクトロニクス系の知識が役に立った。また、コンテンツベンダーなどパートナー企業との交渉も経験済みだったため、フィールドが変わってもすんなり溶け込むことができたという。

とはいえ、未知のフィールドのこと、予期せぬハードルが立ちふさがることもあった。例えば、公式戦のライブ中継。インターネットで配信すると、選手がバッターボックスに入る際のテーマソングも一緒に配信されることになるが、これが著作権に影響を与えることが後になって判明した。藤平氏は関係各方面との折衝にあたったほか、テーマソングを変更するよう選手に頼み込むなどして難局を乗り切った。

ITを通じてファンとのコミュニケーション向上、あるいはファン層の拡大に努める藤平氏だが、これはIT戦略部長としての業務。彼はこのほかに4つの顔を持つ。そのうちのひとつがファンクラブの管理だ。 「ファンクラブにITは関係ないだろうと思うかもしれませんが、実はデータベース・マーケティングの観点からもセキュリティの観点からも重要」と説明する藤平氏はここでもスピーディに、しかも既成概念を打ち破るアイデアを投入した。選手仕様のユニフォーム一式や特別観戦パーティーなどの特典が付いた限定ファンクラブ会員をオークションで募集したところ、30万円前後の値が付くほどの盛り上がりを見せたのである。

また、グループ総帥の孫正義氏からの「ファンクラブ会員を100万人に増やせ」という指令に対しては、従来のファンクラブ会員の枠組みを脱し、モバイル会員、メルマガ会員へと裾野を広げることで、成果を示している。 「これまで6万人ほどだった会員が、1年で球界ナンバーワンの23 万人になりました。目標が高かったからこそアイデアを引き出せたのだと思います」と振り返る。

通信と放送の融合を図ってコンテンツ配信をしたい。自社球団の発展だけでなく、球界全体を盛り上げたい――。

「IT関連の仕事をしていると数字で物事を判断しがちですが、球場に来ると目の前で喜ぶファンの方の姿が見える。リアルビジネスを見ながらバーチャルビジネスに展開するのは、とても刺激的です」と語る藤平氏は、宝の山を目の前にした子供のように生き生きと夢を語った。


田中朝子さん
(25歳)

メディア・
ソリューション局
メディアII部  第1チーム
大学生の頃からISP企業でアルバイトを始め、卒業後はそのまま正社員として就職。地元テレビ局をクライアントとするWebサイトやモバイルコンテンツ の企画・制作を担当する。2年間勤めた後、05年6月にインデックスへ転職


よりダイナミックなビジネスシーンで魅力あるコンテンツを作りたい


放送と通信の融合≠ニいうのは、何かと注目を集める話題のビジネスだ。その中でインデックスは、モバイルやテレビ等様々なメディアを連動したサービ スの提供において、IT業界内でも一歩先駆けた存在。田中さんは、20代半ばにしてその事業の中核を担っている。

大学卒業後は、地元福岡のISP企業でコンテンツ制作に携わっていた。取材中心の業務から始まり、除々に法人向けにWebコンテンツの企画を提案するようになる。そうしたなか、クライアントであった地元テレビ局との間で携帯端末を利用した新規事業の話が立ち上がり、その企画を手がけることになった。

「私の役目は、キャリアとテレビ局、権利元との間に入って調整や企画の提案を行うこと。小さな会社だったので、最終的には制作も私が担当しました。大変 な作業でしたが、事業の立ち上げに関わったことで、手応えを感じました」

地方にいたのでは、どうしてもできることに限界がある。よりダイナミックなビジネスシーンで働くチャンスは今しかないと考えた田中さんは、キー局と仕 事をするチャンスのある東京での転職先を探し始める。そこで目に留まったのが、テレビ局関連のモバイルコンテンツディレクターを募集していたインデック ス。前職での経験が評価されて採用が決まった。

テレビ局側、スタッフとの信頼関係を何よりも重視

05年6月の入社後は、主にテレビ朝日系列のコンテンツを担当。スポーツ関連サイト「テレ朝☆スポchan」などの企画を手掛けている。05年の秋から は、別の地方局との提携・コンサルティング業務、ワンセグ検討会にも参加している。

「例えば、新しい番組の企画があがった時、そのトピックスをどのように会員増加へ結びつければいいかを提案したり、配信開始に効果的なタイミングを検討 したり。運営担当者、現場の制作スタッフからヒアリングしつつ、業務に関わる色々な才能を持った方々が何に困っていて、何をしたら問題解決に繋がるかを 常に考えながら仕事を進めていくことを心掛けています」

多くの人が関わるビジネスだけに、「皆が共感できるポイントを探るのが難しい」と田中さん。

「テレビ局の側からすれば、視聴者に対するイメージを大事にしたいから、お金儲けの意図を感じさせたくない。『できれば無料で配信したい』と言われるこ ともあります。課金ビジネスは双方にとってメリットがあることなので、『お金を払っても見たい』と思わせるくらい魅力あるコンテンツや仕組みを作るしか ないわけです」

さらに、モバイルの世界はスピードが命。番組内容が決まってから配信までの期間が短いことも多く、調整に手間取っている暇はない。だからこそ、田中さ んはテレビ局の制作現場の人たち、社内スタッフとの信頼関係を大切にしているという。地方局との仕事でも、現場に足を運び、制作担当者たちの意図を探る ために直接話をする機会を設けている。

「ナンバーポータビリティやワンセグなど、モバイルを取り巻く技術革新の波に対応できる、変化に柔軟な人材になりたい」というのが、今の田中さんの目標 だ。


松山真哉
(29歳)

商品・マーケティング本部
次世代SPA開発部 リーダー
大手不動産会社を経て、01年ファーストリテイリング(現・ユニクロ)入社。IR広報を経て、心斎橋筋店立ち上げプロジェクトなどに携わり、銀座店立ち上げのリーダーとして活躍


経営トップに近いところで責任のある仕事をしたい

05年10月、東京・銀座の目抜き通りにユニクロの旗艦店、『ユニクロ銀座店』が華々しくオープンした。その立ち上げにリーダーとして関わったのが、同社・次世代SPA開発部に所属する弱冠29歳の松山真哉氏だ。

99年大手不動産会社に入社し、会計や法務を担当。年功序列型の社風に飽き足りないものを感じて、01年ユニクロに転職した。

IR広報を務めた後、松山さんは04年1月、社長直属の部門横断プロジェクトに参加する。これはユニクロブランドの新しい方向性を打ち出すための全社横断プロジェクト。「経営トップに近いところで責任のある仕事をしたい」という意欲を買われての抜擢だった。

プロジェクトでは顧客の評価を徹底的に調査分析。「ユニクロって部屋着だよね」「同じ服を皆が着ていて恥ずかしい」といったイメージを払拭し、商品の魅力を最大限アピールするにはどうしたらいいか――検討の結果、世界に向けてユニクロ文化を発信する旗艦店を作り、改革の拠点とする案がまとまった。04年10月大阪・心斎橋筋店をオープン。その際に示したプロジェクト管理の手腕が評価され、松山氏は翌年の銀座店立ち上げのリーダーを拝命。プロジェクトを見事成功に導いたのだった。

プロジェクト管理の手腕が評価されてリーダーに抜擢

とはいうものの、道のりは必ずしも平坦ではなかったという。プロジェクトリーダーはゴールに向けて実行課題と期限を決め、進捗管理を徹底しなければならない。だが、各部署のリーダーを兼ねる一騎当千のメンバーを束ねる作業は容易ではなかった。

「メンバーは本来の業務で多忙を極めているので、プロジェクトの仕事がどうしても後回しになってしまう。そこでプロジェクトの優先順位を上げてもらうためにトップダウンの姿勢を明確にし、2週間毎に社長臨席のプロジェクト会議を開いて、役割分担と進捗管理を徹底するよう務めました。会議1週間前にはリマインドメールを一斉送信し、必要があれば直接出向いて現場の問題をメンバーと一緒に解決する。その作業を繰り返しやり続けましたね」

プロジェクトでは不動産会社で身につけた会計の知識も大いに役立った。こうして05 年10月、日本最大のブランド聖地である銀座に旗艦店をオープン。従来のベーシック&シンプルな品揃えを拡充してトレンド商品を組み合わせる戦略が見事に当たり、好調なスタートを切った。

現在は柳井会長主催の定例ミーティングに参加し、経営企画に携わる松山氏。「将来はなるべく早くPL責任を持つ事業責任者になりたい」と目標を語る。

「30歳までは経営者のそばで吸収できる限りのものを吸収しながら、視野を広げたいですね。お客様がダイレクトに見えるのが流通業の面白さ。いずれはユニクロを、カジュアルウェアでは世界ナンバーワンの製造小売業にしていきたいですね」

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