今を生き抜く企業の報酬最新事情に迫る! |
毎日汗を流し、知恵を絞り、ようやく得られる報酬。その制度も時代とともに刻々と変化している。成果主義とひと言ではいえない、企業の様々な事例を紹介する。 《2006年4月号より抜粋》 |
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仕事に励むビジネスパーソンの「成果の証」となる給与。その形態は、日本企業では古くから年功序列型が多数を占め、個々のスキルやナレッジとは離れた部分で給与が定められることも多かった。しかし昨今、仕事の成果と給与の関係を会社と社員がともに考察し、理解を共有しようとする会社や、社員のやる気を導き出すためにオリジナリティあふれる給与体系を導入している企業が増加している。
オンラインゲームをはじめとしたコミュニティサービスを提供するガイアックスでは仕事への中だるみを防ぐため、3カ月に一度、担当役員・部長・社員で三者面談を行い、期ごとの目標と報酬額を決定する査定制度を採用している。 「短期間で査定を行うことで、仕事にメリハリをつけると同時に、『なぜ、そのような報酬額なのか』を議論できるビジネスパーソンを育成することも重視しています」と同社の担当者は話す。自らの報酬額がはじき出される過程を知れば、自ずと仕事の改善点や注力点が見えてくる。 払う側・受け取る側、双方が納得できる給与制度が理想的。労働形態が多様化する今日、給与制度についても、様々な会社が、自社にふさわしい仕組み作りに取り組んでいるのだ。 |
民間企業による調査によれば、現在、上場企業の約40%がストックオプション制度を採用。特にベンチャー企業では導入企業が多数派のようだ。 ただ一口にストックオプションといっても、その形は様々。管理職を対象にしていたり、業績に連動してインセンティブ形式で付与していたりする企業もある。さらには無条件でグループ企業も含め全社員に権利を与えるところも。例えば技術者派遣企業のプログレス・テクノロジーズは全社員に権利を与えている。同社は派遣される技術者も正社員として雇用している。仕事をする現場こそ違えども、株式を保有することで同社に対するロイヤリティが高まり、モチベーションの向上も見込まれる。 2002年からは対象者の制限が撤廃され、グループ企業内の従業員への権利付与も可能になった。かつて権利対象者を制限することが差別ではないかと問題になったこともあり、近年は大手企業でも全社員にストックオプションの権利を与える傾向が高まっている。 ときに「思惑どおり株価が上昇しない」「権利を行使した社員がすぐに辞めてしまう」など問題点が指摘されることもあるが、企業と社員の距離を縮めているのは間違いない。株取引の一般化が加速する今日、ますます広く活用される制度となっていきそうだ。 |
宿泊施設の提供や各種講座の斡旋、育児支援やスポーツクラブ――。今、企業の福利厚生サービスが注目を集めている。今年1月に発表された日本経団連の2004年度調査では、一カ月あたりの一人分が平均で10万2000円強と過去最高を記録している。 こうした福利厚生ブームの背景には、二つの要因が潜む。一つは、サービス提供代行会社が充実している点。これまで大手企業は全国の福利施設などが大きなコストとなっていたが、今日では福利厚生のアウトソーシングが活発になっている。中小やベンチャー企業でも導入の手間が簡便になった。福利厚生代行大手、リロクラブの担当者は「これまでリストラ等で、人を削減することを考えていた企業も、少子高齢化を受けて次世代育成に目を向けています」と話す。 もう一点は雇用対策の一環としてサービス充実を目指す企業が増えているということ。女性に働きやすい職場を作るための育児支援、社員のメンタルケアを行うための医療支援などが特に充実を見せている。リロクラブでも、それらに関する引き合いは高く、問い合わせから最終的な成約に至る割合が約5割に上るという。 「2?3年前までは、余暇支援サービスの利用割合が全体における6?7割程度だったのですが、今日では育児・健康支援など生活支援の割合が逆転しています」(リロクラブ担当者)というほど、「量」だけではなく「質」にも変化が見られる。カフェテリアプランと呼ばれる、ポイント制の福利厚生サービスを利用する企業も多く、社員の都合の良いタイミングで、利用したいサービスが受けられる体制整備が進んでいる。社員の自立をサポートする体制を、どれだけ企業側が整備できているか。企業は、新しい目線で労働環境を問われる時代が訪れたようだ。 |
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