「アームハント」ではなく「ヘッド」人材を目指せ!

「ヘッドハンティングされるにはどうしたらいい?」という取材が始まるや否や「タイプ読者にはまだ早い」と一括したカリスマヘッドハンター、古田英明氏。将来の候補者候補である若手ビジネスマンへの、愛ある提言を聞こう。 《2006年6月号より抜粋》

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縄文アソシエイツ株式会社
代表取締役  古田英明氏

神戸製鋼所、野村證券などを経てラッセル・レイノルズ・アソシエイツ社に入社。
その後縄文アソシエイツを設立した、カリスマヘッドハンター

若いうちに個人的に声がかかって転職したことを「ヘッドハンティングされた」というのは大きな間違い、と語る縄文アソシエイツの古田英明氏。経営陣を中心に1000人近くをヘッドハンティングしてきた、まさにカリスマヘッドハンターだ。

「ヘッドというのは文字通り、経営層を指すのであって、30歳以前のスカウトは、単に手足となって働くマンパワーを勧誘しただけ。ああいうのは“アームハンティング”や“レッグハンティング”でしかない」

大魚になって一本釣りされる以外は、小魚を地引網でさらっただけ。大成せずに、使い捨てられるのが関の山、と古田氏はいう。

「多くのビジネスパーソンにとって、20代はまだ本当の仕事をしていない状態。単なる“作業”を“仕事”と勘違いしてはいけない。20代のうちは、声がかかったとしても転職するのではなく、キャリアをどのように構築するかを熟考する時期です。安易な転職はキャリアアップどころか、キャリアダウンになりかねません」


有望人材を探索し続けるヘッドハンターにも、怪しいハンターもいるという。もしヘッドハンターと接触する機会があったら、以下のような問答をためし、その正体を看破しよう。
どんな案件を紹介してくれるんですか?
誠実なハンター
「案件の話に入る前に、まずは現在のお仕事のお話を詳しく伺わせてください」
怪しいハンター
「◎◎社の××というポジションにご紹介できると思ってお声をおかけしました。ご興味がない場合は、他の案件もご紹介できます」
解説:人となりや実力を確かめず、最初から案件を提示して交渉に入るヘッドハンターは非常に不誠実。誠実なヘッドハンターならば、候補者であることをちらつかせずに、本人の実力を確かめるための面談を行うはず。他の仕事もあります、というのは論外
ハンターになる前何をされてましたか?
誠実なハンター
「◎◎という企業で◎◎などを担当し・・・(以下、具体的な仕事内容について順を追って説明)」
怪しいハンター
「◎◎業界に◎年ほどおりまして、◎年からこの仕事をしております」
解説:ヘッドハンター自身が何らかのスペシャリティを持ち、ビジネスマンとして一定の業績を上げた有能なビジネスマンであることが多い。後ろ暗い辞め方をしていない限り、企業名をきちんと挙げて説明してくれるはず。言葉を濁すのは怪しい証拠
「今すぐに転職というのは考えてないんですが・・・」
誠実なハンター
「評価されていらっしゃるからこそ、お声をおかけしたので、決して無理強いはいたしませんが、もう少し話を聞いてみてくださいませんか?」
怪しいハンター
「このポジションで採用がかかるのはレアケースですよ!このチャンスを逃したら次いつあるか分かりません。今が決断時です!」
解説:絶対に無理強いはしないのがヘッドハンターのモラル。無理強いすれば企業・候補者双方にとって不幸になり、自分の評価も下がるからだ。無理強いして即決させようとするのは報奨金が目当ての場合が多い。押し切られずに冷静に判断しよう
自分から売り込んだが、おめがねにかなわなかった場合
誠実なハンター
「現時点ではまだ案件をご紹介できませんが、キャリアのご相談に乗らせていただきます」
怪しいハンター
「ウチはスペシャリストとかエグゼクティブ層しか扱わないの。経歴見ると◎◎で××で……(以下、キャリアのダメだしが始まる)」
解説:今は該当レベルに到達していなくても、今後候補者に浮上する可能性もあるため、ヘッドハンターは見込み違いの人材でも粗略には扱わない。該当者になるために不足している点などをカウンセリングし、きっかけや気づきを与えてくれるケース多い
ほぼ移籍が決定し、入社日や年俸定時に入ったとき
誠実なハンター
「先方は◎日入社で、◎◎◎〜◎◎◎万円を提示しておられます。入社できるとすれば現実的に何日くらいになりますか?」
怪しいハンター
「◎日入社が必須です。それまでに入社できるよう、準備してください。また年俸は◎◎◎万円なんで、それでいいですね?」
解説:先方の言い分を一方的に伝え、はなから交渉する気がないのは論外。双方の間を調整するのがハンターの重要な仕事のひとつ。就業後も定期的にモニタリングやヒアリングし、スムーズに企業や業務になじめているかの確認も行う場合が多い
安易な転職の繰り返しは
キャリアダウンにつながる



安易な転職とは、今いる企業で積み上げてきたキャリアをリセットし、ゼロからキャリアを積みなおす状態。転職を繰り返すと、そのたびにゼロリセットとなり、キャリアを積めず仕事人生を終えてしまうというのだ。古田氏の持論は、キャリアはアップアップするものではなく、深めていくもの。せっかく深まりかけたキャリアを中断してまで転職するほどの企業や職種かどうか、転職する際にじっくり考えるべきだという。

そんな古田氏が、ヘッドハンターとして魅力を感じる人材像を聞いてみると、即答で「今の仕事を一生懸命やっていて、実績を上げている人」という答えが返ってきた。実績を上げている人材は、業界内で高い評価を得て、噂になることが多い。

「自然と名前が業界に染み出てくるまでには、ものすごく長い時間がかかります。単発で目立った業績を上げて、瞬間風速的に目立てばいいというものではありません。実績を上げ続けた人だけが、業界で有名になっていくのです」。仕事振りや業績など、仕事で積み上げた実績が熟して周囲が人物と認め、それが自然と業界内外へ染み渡っていく。さらにその情報がヘッドハンターの耳にまで届くには、やはり業界内に長期間在籍しないと無理だろう。着実な実績をコンスタントに上げてきたとしても、さらにヘッドとしてハンティングするだけの人格、品格を磨いているか、というシビアなチェックをクリアしなければ、ハンティングの俎上には乗らない。古田氏は一人の人材の人物・実力を見極めるのに3年を費やすこともあるという。

「最初に接触してから3年以上おつき合いをし、初めて案件の提示を行なうこともあります。接触して日が浅いのに案件を提示するヘッドハンターは、疑わしいと私は思います。提示された案件をいったんは断っても、人生の転機ごとに定期的に連絡が入り、ビジネスを超えて人としてつき合いたいと思うヘッドハンターでなければ、自分の人生に関わらせたくないはず。そうでしょう?」

面談時には、実力やスキルチェックだけに終わらず、「子供のころ、どんな子供だったか」「どう育ってきて、どう自分を鍛えてきたか」などにまで踏み込んで人となりに迫るのが古田氏の人物評価の方法だ。職業人生に責任を持ち、その幸せを確約するだけの実力が備わっていることがヘッドハンティングされる要件となる。


愚直に業務をこなすことが
ヘッドハンティングの近道



45歳に到達したとき、その責任を負える人材になるためには、自己研鑽を絶やさない遠くて長い道のりが必要。そこまでの人材に成長し、豊かで充実した職業人生を送りたいなら、アームやレッグのうちは、よそ見をせず、自分に課せられた業務を愚直に遂行するのが、ヘッドハンティングされる人材になるための最短距離だろう。

大企業に寄り添うコバンザメも、大群で群れる小魚も、大魚には成長しにくい。業界が注目し、是非ヘッドに、と渇望される大魚に成長するまでは、愚直なまでに目の前のことを一生懸命やること。ヘッドハンティングされるためのノウハウは、今すぐできる、あたり前のことが基本となっているのだ。

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