人事担当者がホンネを暴露!  

「欲しい人材」緊急座談会

大企業とベンチャー企業では、入社に必要な人材像は変わるのだろうか。そして、人事担当者は採用時に応募者の何を見ているのだろうか?大企業、ベンチャー企業の人事担当者4人が語る欲しい人材の要件に迫った。 《2006年7月号より抜粋》

>>  今週の新着求人を見る  <<

type(以下、t) 各社、業績順調で中途採用も“売り手市場”と言われていますが、最近の応募者の傾向はどうでしょう?

大下 皆さんそうだと思いますが、当社も自社のWebサイト上でエントリーを受けつけています。気になるのは明らかに他社向けに作成したものを“コピー&ペースト”しているケースが見受けられることですね(笑)。志望動機など、明らかに当社に宛てたものじゃないのがわかる。たとえ郵送でなくても、採用担当者は履歴・職歴をきちんと閲覧していることを知ってほしいですね。

臼井 同感ですね。特に当社の場合は、学歴や経歴の細かい部分、転機に当たる部分でどんな判断を下したかを見て、判断基準や価値観を把握しようとします。“採用する側”に「人物像」が理解しやすい内容かどうかは確認してほしいですね。

吉田 面接の時、必ず聞くのが仕事の上で苦労したこと。どんな状況でどんな壁にぶつかって、どう乗り越えてきたかを話してもらうことで、その人の仕事に対する姿勢やいざという時の“強さ”もわかります。

大下 当社のようなベンチャー企業の場合、書類選考を経た人は即戦力として期待していて、すぐにでも来てほしい人材。ですから過去に経験したことや乗り越えてきたことは率直に話してもらえれば、お互いのミスマッチも避けられますよね。

吉田 我々大手も20〜30代の若手を採用する場合は、将来の管理職にふさわしい人を選びます。入社後にどれだけ働けるかが重要です。

福山 当社も経歴は見ますが、経験の有無よりも“相性”を重視します。もちろん部署や職種によりますが、入社してから組織の一員としてうまくやっていけるかどうかが焦点になります。私がよく面接で聞くのは、長所・短所を含めて「あなたはどんな人ですか?」ということです。つまり自分のことがいかに客観的に評価できているかを聞きます。

臼井 社風に合うかどうかは大事ですね。我々IT業界の場合、職種や業務内容で人材が動くので、転職の回数が多い人もいます。ですからなぜ転職したいのか、なぜ当社を選んだかなどはしっかり聞きます。




 面接のプロセスと、応募者のどこを見るのかをお聞かせください。

大下 当社は最初に我々人事が面接して二次が配属先の管理職、最後が経営トップが会います。

福山 当社も同じパターンですね。

吉田 一次面接は同じですが、二次は人事部門の管理職で三次が配属先の管理職になります。

臼井 そうすると当社はかなり異例ですね。一次が配属先の担当者で二次が管理職。最後に我々人事担当が面接します。現場の意見を尊重しつつ、人事部門が面接するまでにじっくり人物像を理解して分析するんです。面接は約30分かけますが、演技や誇張はすぐに見抜けますよ。特に志望動機や前向きな姿勢を強調しすぎていると、話しているうちに矛盾が出てきますからね。

福山 我々採用担当も場数を踏んでくると、割と短時間で判断がつくようになってきますよね。一次で通すかどうか迷っても、結局は入社後に長続きしなかったというケースを経験したこともありますから。

吉田 当社は専門的な業種ですので中途採用の場合は演技や誇張する人はいませんが、話し方や態度でだいたいわかりますよ。段々と感覚的に判断できるようになるものです。

 綿密に書類選考をしていても、面接をしてみると明らかに基準以下だったというケースもありますか?

大下 ありますね。求めている職種や業務内容をよく読んでいない人もいる(笑)。商品開発を募集しているのに調理や生産管理の経験者が来てしまったり……。「意欲あります」「ガッツで頑張ります」って言われても、かなり無理がある(笑)。

臼井 面接する相手によって態度が変わる人も要注意です。現場の担当者、管理職の評価が高くて意欲的だという人がいて、最後に私が面接したケースがあります。会ってみたら明らかにテンションが低くて疑問に感じたんです。よくよく聞いてみたら前向きな時とそうでない時とのギャップの激しい人で、前職でバーンアウトした経験があった。強硬に反対して不採用にしました。

福山 当社はゲームやアニメ、DVDなどの制作をしていますが、あまりにも商品が好きで思い入れがある人は返ってダメですね。

臼井 自分の嗜好に走っちゃう?

福山 そうそう。やっぱり仕事は仕事と割り切って客観的に進められる人でないと……。ユーザーの視点のままでは、制作する側になった時にギャップに苦しみますから。

吉田 若い方なら職歴や経験がなくても多少は将来性を買うんですよね。先ほども言ったとおり、10年後には管理職になってほしいので、30代までで職歴も経験もないのではちょっと困りますよね。

大下 同感です。外食チェーンなので「店長の経験あります」「5年やってました」という人が応募してきたりするんですが、フードコストや客単価、損益分岐を聞いても答えられなかったり……。あまりにも無謀という人もいますよ(笑)。

臼井 将来性というかポテンシャル採用をするんだったら、せいぜい24〜25歳の第二新卒までですよ。

吉田 26歳ぐらいまでですね。




 面接時の態度や話し方で応募者の人間性は把握できるものですか?

吉田 会って5分もすればわかりますが、できるだけ一人ひとりの人間性や良さに目を向けるようにしています。社会人としてきちんとキャリアを積んできた人であれば、不当に評価されることはないと思いますよ。

福山 そうですね。緊張している人には雑談からはじめて、話しやすい雰囲気も作りますしね。

臼井 会った瞬間に、真剣に挑んでいるかどうか、意欲があるかどうかわかりますが、時間をかけてコミュニケーションをとります。例えば服装や身だしなみ。格好の良し悪しではなくて、清潔かどうか、相手を気づかっているか否かを見ます。

 20代〜30代は安易な転職をする人も多いようですが、何かアドバイスをお願いします。

吉田 仕事への意欲というのは結局、“覚悟”だと思います。当社の場合、部品メーカー出身の方で完成車を手掛けたいという人が多いんですが、そういう明確な目的やビジョンを持った人は強いですし長続きします。大手といっても当社は“指示待ち”の姿勢では成長できない風土があります。自分から仕事を創っていけるようでないとダメですね。

福山 幅広いユーザー向けに多彩な商品を手掛けているので、正直、現場はかなり大変です。でもモノ作りを通して会社に貢献しよう、良いものを提供しようという意欲がある人なら楽しめると思います。そういう価値を見出せる人が有望ですね。

臼井 当社は業務内容や職種以上に従業員の働く環境をいかに整えていくかに力を入れています。ですから中途採用であっても離職率は低いですし、勤続年数も長い。一時的なキャリアアップの場ではなくて、理想の人生や生活を築くための土台を提供しています。ですから仕事を通してどんなライフデザインをするか、中・長期的に考えてほしいですね。

大下 当社も自分から仕事を見つけてこなしていく姿勢でないと難しいかもしれません。ベンチャーということで創業者の強烈なリーダーシップばかりがクローズアップされますが、新しいプロジェクトや試みも合議制で決まっていきます。会社のブランド力をどうやって高めていくか、そのために自分に何ができるのかを考えて努力していける人を求めています。チャンスが広がっている今こそ、一人ひとりが資質や能力を活かして活躍できる場があることを知ってチャレンジしてほしいですね。

福山 柔軟性を持つ人なら、我々人事はちゃんと評価します(笑)。

大下 そうそう。エラそうなこと言ってても、我々は自社に必要な人材かどうかをジャッジしているだけですからね。

typeのおすすめサービス

サイトでは検索できない非公開求人をキャリアアドバイザーがご紹介。さらに、職務経歴書の書き方や、受かる面接のコツなど、転職ノウハウを伝授!
情報を登録しておくだけで、あなたに興味を持った企業の採用担当者から直接スカウトが届きます。
正社員で成長したい女性のための転職サイト!
「女性管理職がいる」、「働くママ歓迎」など、女性ならではのこだわり条件から求人を検索できる!