“人材売り手市場”は1?2年で終息する?
「コンテンツビジネス」が勝ち組の条件! |
自分に合った転職先は大企業か、ベンチャーか──。 様々な角度から「今、転職すべき企業はどこなのか?」を検証してきた本特集。最後に、今後成長が加速し、勝ち組になると思われる企業の条件を明らかにする! 《2006年7月号より抜粋》 |
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その前提として、ITバブルの崩壊を生き残ったベンチャーが、次々と大企業化している現状がある。 「2000年以降の数年は、生き残り組のベンチャーにとって、プチバブルともいえる時代でした。ポータルを制したヤフーや、ECモールを制した楽天などが、次々と大企業化しています。キーワードは、ポータルやモールといった“仕掛け”のビジネス。様々な企業が参入していますが、今は、それぞれの立ち位置が定着しつつある状態です」(森永氏) そして、このところの注目は、その内部の“コンテンツ”へと変化している。ゲームやアニメ、旅行やトレンド情報など、仕掛けの上で動くコンテンツの良し悪しが売り上げを左右する時代になってきたのだ。 そこで再び注目なのが、新興企業群(大企業化していない、本当の意味でのベンチャー)だ。コンテンツマーケットは、仕掛けのマーケットに比べて規模が小さく、流行に左右されやすいというデメリットがある。しかし、コンテンツの提供に、大資本は必要としない。元々ベンチャーが参入しやすい分野なのだ。 一方の大企業群も、手をこまねいているだけではない。人事関係に強みを持つヘイコンサルティンググループで活躍中の浅川港氏は、「大企業でも、ベンチャー型の採用を行うところが増えてきた」と語る。 「商社では昔からおなじみですが、アパレルや鉄鋼などの部門ごとに人事制度や給与体制を一新し、採用も部門ごとに行っているところが多いですね。中途採用はもちろん、最近では、新卒も部門ごとの採用に切り替える企業が増えています」 そんな状況のもと、大企業とベンチャー双方の求める人材像が近づいている点も見逃せない。慶應義塾大学大学院助教授の小杉俊哉氏は、「たとえ大企業であっても、既存の仕組みを変えてでも成果を残そうとする人を求めている」と語る。会社規模に関わらず、ゼロから何かをクリエイトする能力が評価される時代が訪れている。 では、自分のキャラクターを見極める方法、また、転職先を選ぶポイントとは何だろうか。 自分の立ち位置を客観的に見据える方法として、浅川氏は、「パソコンで成功した人物の現況を書き出したのち、マイナス要因へと変換する」ことを推奨する。 「自分のことを書いた文章を読み返してみても、なかなか客観視できません。しかし、他人の成功事例を羨むだけではなく、そこに潜むリスクを書き出すことで、驚くほど今の自分を冷静に見ることができます」 こうしてみると、人は、「そこに行って何をもらおうか?」と考える“フォロワー”と、「そこに行って何をしようか?」と考える“リーダー”の2タイプに分かれるという。 「組織にはどちらのタイプも必要であり、どちらでないといけないということはありません。ただし、フォロワー的要素が強い人が転職を考えるのなら、より真剣に組織の雰囲気を重視すべきでしょう」(浅川氏) 組織の結束力は、ベンチャーでフラットなら強いというわけでもない。 「例えば派閥は、小さな企業にだって存在します。直感に頼る形になりますが、やはり社員が明るくない企業は、必ず何かが隠されているものです。転職先として選ぶのなら、直感を信じて、明るい印象の企業を選ぶべきです」(浅川氏) そのほかの転職先を選ぶポイントとして、小杉氏は、「さらに次のステップを見据えた場合、大企業を選ぶメリットは大きい」と話す。 「大企業に入れるのは、役職を除けば、若いうちだけ。また、外資系やコンサルティング会社は、大企業出身者でないと採用しない現実があります。だったら、入れるうちに大企業を選んでおこうという考え方も正解。ただし、ヘッドハンティングに近いレベルで、実績を買われて入社したというくらいでないと、多くの社員の中で埋もれる危険があります」 また、森永氏は、ベンチャーを選ぶ場合にチェックすべき事項について、こう語る。 「ベンチャーにありがちなのは、創業者の権威が強く、極端な中央集権体制になっているということ。トップダウンが全て悪いわけではありませんが、伸びていく企業は、必ず権限委譲がなされています。だまされがちなのは、『社長の右腕』という甘言。本当に経営のジャッジメントに携われるという意味なのか、単なる独裁者の尻拭いで終わるのか、よく見極めてください」 良いニュースが続く企業、悪いニュースが続く企業も、それが全てではない。その裏の裏はどうなっているのか、よく見極めたうえで会社を選びたい。 |
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