総括!来年も継続する売り手市場だからこそタイミングに合わせて熟考せよ! |
ここまで転職市場動向と、転職活動のベストタイミングを紹介してきた。景気動向や2007年問題など、“売り手市場”の現状から考察すると、やはり「今、転職すべき」なのだ。だからこそ、転職時期が重要視される。最後に「ひとつ上を目指す」ために必要なものを紹介しよう。 《2006年9月号より抜粋》 |
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転職のベストタイミングは、企業や業界のビジネスサイクルによって変わってくる。アパレルの商品サイクルを例にとってみると、夏には秋冬商品の、冬には翌年の春夏商品の発表があり、そのサイクルを基本に、マーチャンダイザーやデザイナー、営業がそれぞれの時間を刻んでいく。だから、業界や職種によって、転職すべきタイミングは異なるのだ。 今回、おすすめの転職タイミングとして10月、1月、3月を紹介したが、マーケティングならプロダクト戦略のスタート時、財務や人事なら予算決定や組織改革のタイミングに合わせた転職もおすすめだ。いずれにせよ、転職したい業界や企業の研究の一環として、ビジネスサイクルも調査しておくと良いだろう。 一方で、どこの企業も通年で採用を行っているのが、営業職である。厳密に言えば、営業にも予算のプロセスがあり、入社時期によってどの程度の責任を負うことになるかが変わる場合もある。しかし、若手メンバーとして転職するのなら、入社時期による違いは少ない。3月や9月の期末に駆け込み求人を行う企業が増えるものの、年間を通じて良い人材を探しているというのが、営業の転職市場の特徴である。 では、買い手市場≠フ時期と“売り手市場≠フ今とで、採用選考に違いは見られるのだろうか。 グローリアスの加藤龍氏は、以前よりも選考期間が短くなってきたと説明する。 「求職者側は、最初に内定をもらったところに入社を決定するという傾向があります。そのため、選考にかかるスピードを速め、良い人材にはいち早く内定を出そうと考え、選考ステップを短縮する企業が増えてきました」 具体的には、1回の面接で人事担当者と役員が同時に出てくるなど、いろいろな立場の人間が一緒に面接を行うことによって、ステップ数を減らす企業が出てきたという。こうすることにより、社長が考える人材像と現場が求める人材像とのギャップなどが判明するため、企業側としても、求める人材像を再認識できるというメリットが生まれる。 また、短い選考期間のなか、社内を見学させたり、先輩社員と話す機会を与えたりなど、会社を選ぶ側の気持ちを考えたアピールを行う企業も増えてきた。これも、求職者側に選択権がある売り手市場≠ネらではの現象だといえよう。 そんななか、クライス・アンド・カンパニーの丸山貴宏氏は、安易な転職に警鐘を鳴らす。 「転職活動期間は、平均で2カ月程度。以前よりも期間が短くなっている反面、情報があふれ、求職者側の選択肢も広くなっています。迷ったら、いちど転職を考えた根本的な問題を思い返し、新たに発生する問題を許容できるかどうかをじっくりと考える時間を取るべきです」 企業側は、すぐにでも人材が欲しいと考える。また、良心的でないキャリアアドバイザーは、とかく求職者を急かしがちだ。しかし、活動期間のペースは、あくまでも自分が握るべきである。転職には、「徹底的に悩む」という時間も大切なのだ。 もう一つ、ここ最近の転職市場では、特徴的なことが起こっている。それは、今まであまり大きな動きの無かった40?50代のエグゼクティブ層の採用が活発になっているという現象だ。実際に、クライス・アンド・カンパニーやコーン・フェリー・インターナショナルでは、既存組織の立て直しのため、この層のエグゼクティブをスカウトして欲しいという依頼を多く受けているという。 では、将来スカウトされるようなエグゼクティブになるために、今できることとは何か。橘・フクシマ・咲江さんは、「若いうちの経験は投資と考えて、最大限努力することが大切」と話す。 「最初の5年間は、とにかく与えられたことを真剣にやること。そして、視野を大きく持って仕事に打ち込むことです。例えばセールスなら、営業に専念するのはもちろん、自分の実績だけではなく、会社全体の数字も気にしておくこと。最低限、財務諸表が読めるくらいにはなっておきたいものです。また、海外へ営業するとしたらという視点で、英語の勉強をしておくことも大切ですね」 同様に、マーケティング担当者ならMBAなど経営的な知識を系統立てて身につけておく、財務担当者なら米国公認会計士の資格を取得するなど、グローバルで通じる汎用的な知識や資格を取得しておくと良い。こうして自らのキャパシティを大きくしておくと、将来が楽に広がっていくはずだ。 転職とは、自分の行く末を左右する重要な節目である。じっくり考え、ひとたび決定した後は、将来に向けて全力で業務に打ち込んでいこう。
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