山崎元の5分で分かる  

金融マン生態事情

知っているようで知らない、金融マンの仕事。また、そこで生きる人の実態。ギョーカイの様々な内情を知る山崎元氏が、その正体の一端をココに公開する! 《2006年10月号より抜粋》
第6回 エコノミスト
山崎 元(やまざき はじめ) 氏
楽天証券経済研究所 客員研究員。三菱商事に入社後、転職歴は12回。野村投信委託、住友信託銀行、メリルリンチ証券など、名だたる金融機関で活躍したギョーカイの事情通

エコノミストは、金融機関もしくはシンクタンクで、経済分析、経済予測を担当する専門職のこと。業界別の調査を担当するアナリストや、投資環境を分析するストラテジストと違って、経済全般を対象としています。

チームで仕事をしていても、チーフエコノミストと呼ばれる人は基本的に各社1人しかいませんから、エコノミストの言葉は会社としての見解になります。メディアからお呼びがかかることも多く、皆さんも新聞やテレビなどで、景気がああなる、GDPがこうなると、もっともらしく語っているエコノミストの姿を目にしたたことがあるでしょう。

年がら年中、小難しい話をしているエコノミストという人種は、やはり基本的にはマジメな学究肌(に見える)タイプが多く、外資系ではほとんどが経済学の博士号取得者です。

日系金融機関では、さほど学歴は重要視されません。ただし経済のグローバル化や海外の顧客の増加により、今どきのエコノミストは英語くらいできないと困る場面が多々あります。そこで、適当なところで海外の大学院に留学させたりします。

また日本では昔から、民間の研究機関である日本経済研究センターへの出向を経て、エコノミストになるケースも多くあります。

エコノミストは、いわば会社の看板的存在です。メディアに登場する以外にも活躍の場は多数あります。例えば、講演に呼ばれたり、営業に連れられて法人顧客のもとにプレゼンテーションに行ったりと、あちこちから引っ張りだこになります。

例え相手が重要顧客であっても、エコノミストたるもの、誰にへつらう必要もありません。むしろ、いついかなるときでもプライドを保ち、経済の見方について持論を披露することが重要です。少々予測が外れたときでも、堂々と格調高く、政府や日銀の政策の欠陥を指摘してあげればいいのです。

声がかかってナンボ 業界屈指の人気商売

専門職として確固たる地位を築き、会社の顔としてありがたがられるエコノミスト。営業と違って自分では一銭も稼ぐわけではないのに、人気エコノミストになると、その報酬も数千万円まで跳ね上がり、外資系ならば億を超える人もいます。社長を目指す出世コースではありませんが、ディーラーのように損失を出してもすぐにクビが飛ぶこともなく、そのまま定年まで勤めることも可能。誇り高き金融系エリートにとっては、なかなか心地よいポジションといえるでしょう。

そんなエコノミストが最も恐れるのは、ランキング。特に毎年春に発表される日経金融新聞の人気ランキングは彼らにとって、今後を左右する極めて重要な意味を持っています。機関投資家による人気投票といってしまえばそれまでですが、他にこれといった基準がない中で、顧客からの評価というのは、エコノミストに対する唯一の客観的評価でもあるのです。

去年まではベスト3に入っていたのに、今年はベスト10にも入らなかったとなれば、テレビや新聞などお座敷へのお呼びが減るだけでなく、社内評価にも直結します。最悪の場合には、「人気も落ちたことだし、そろそろ次の人に取り替えようか」などという話が出てきても不思議ではありません。そのため、投票時期である12月〜1月頃は、選挙運動さながら熱心に顧客まわりに精を出します。

良くも悪くも、人気商売であるエコノミスト。したり顔のその裏側では、常に顧客や仲間内での評価を気にしているのです。いまは隆盛を誇っていても、予測が外れてきたり、飽きられてきたりすると、一気に地位が危なくなるのです。

中には、メディアで顔を売り、早々にどこかの大学教授あたりに納まる人も出てきています。安定収入を得ながら講演活動で稼げますし、何より人気投票に一喜一憂しなくて済む。定年まで勤め上げる人がいる一方で、最近ではそんな新しいキャリアコースも生まれてきています。


エコノミストの正体はこれだ!!
 
会社を代表するスペシャリスト
社を代表する顔として、常にプライド高く堂々と振る舞うことが重要。顧客との宴席の場でも、こてこての営業をするなどもってのほか。あくまでも貴重品として、かつ多くのお座敷に呼ばれることが、エコノミストの商品価値となる
身だしなみにスキはない
常にスーツとネクタイというきちんとした格好をくずさない。銀行では真面目さをアピールする白シャツ、証券会社なら金持ちっぽさを醸し出すダブルのスーツを着用する確率が高い
冬場は選挙運動にいそしむ
苦労を共有している分、同じ支店の先輩・後輩のきずなは深まりやすい。体育会系職場ならではの厳しさと暖かさになじめることがリテール営業マンの絶対条件

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