給与形態の裏側を人事担当者が暴露!  

「年収アップ転職」 緊急 覆面座談会

転職するなら年収アップ――。そう考える読者も少なくないだろう。給与形態をよく知り、採用の最前線で活躍する3人の人事担当者から、年収アップ転職を実現させるためのヒントを探ってみよう。 《2006年12月号より抜粋》

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ITコンサルを中心に
未経験者にチャンス!

高年収職種として人気も高いが、敷居も高いのがコンサルタントという職種。従来は、コンサルへの転職は、経験者や経営企画畑出身者に限られていた。しかし人材不足が顕著な現在では、SEなどIT業界で経験を積んだ有能な人材の需要が高まってきている。



年収を上げる方法は
本給アップだけではない!


社内規定によって、年収大幅アップを提示できないケースも少なくない。しかし、社内の縛り≠フために、有能な人材を逃したくないのが人事担当者。100万円単位の支度金を用意したり、契約社員雇用をすることで、年収アップを実現させることもあるという。



給与形態によっては
300万円アップも可能


「年収アップ転職」といっても、数10万円単位のアップ額に留まるケースが多い。しかし、企業の給与形態によっては、数100万円単位でのアップも可能。当然、会社側の期待も大きくなるため、転職直後から高いレベルで結果を出すことが求められる。



気をつけるべきは
転職直後の年収の魔力


入社直後の年収アップ額やアップ率も重要だが、注目すべきは転職後の上がり方。面接などで人事担当者と話す機会があるときには、自分の志向やキャリアプランなどを考慮しながら、応募企業の給与形態や年収のモデルケースを質問することが重要だろう。







総合教育・研修グループ企業
採用担当

畑中良之氏(仮名)

大学卒業後、ソフトウエア販売会社を経て現職。人事・採用業務歴10年以上
type(以下、t) 本日は「年収アップ転職」をテーマにお話いただきたいと思います。
まずは、最近の中途採用の動向はいかがですか?。

吉岡 採用が活性化している金融業界に若手が流れていますが、営業職の動きは鈍い。業績が回復基調で、動くメリットが少ないからでしょう。

武本 応募者は、人材紹介会社をうまく活用するようになりましたね。大手の優良企業ほど、マネジャークラスをピンポイントで採用する傾向が強まっているように思います。

畑中 人数はそれほど増えていない印象ですが、明らかに大手や有力企業からの転職が減っていますよね。

吉岡 IT業界ではコンサルティングファームの積極採用が熾烈です。エンジニアやSEがごっそりファームに流れていってしまって、望む人材がなかなかこっちへ来ない(笑)。

畑中 コンサルタントはやはりステイタスもイメージも高い。人材不足から、一次請け、二次請けの立場だったエンジニアやSEが挑戦できる状況ですよね。

武本 それに若手の間で増えているのはキャリアチェンジ。SEで3年のキャリアがあっても、あっさりと他の業界や職種へ移ってしまう。

畑中 今、第二新卒がマーケットになっているのは、就職してみたものの、望む仕事ができないとか、2〜3年でモノにならないとすぐに転身に踏み切る傾向が強いからでしょう。




 年齢層ではやはり若手の採用が活発なのでしょうか?

畑中 若手だけが有望というわけではないですね。社会経験が6〜10年ほどの中堅が望ましい。バックグラウンドを問わず、業務内容に強い意欲と関心を持った人を採用します。

武本 多くの企業では、景気の低迷で採用を控えた影響で30〜35歳の中堅層がやはり不足気味。ここは少し力を入れて採用したいところです。

中堅SI会社 人事部

武本晴雄氏(仮名)

大学卒業後、経理職などを経て採用や社員教育を担当。キャリア歴6年
吉岡 採用する側の事情と言ってしまえばそれまでですが(笑)、まじめに仕事に取り組んできた人は、年齢の壁を気にせず挑戦してみてほしい。

 どの企業も人物重視だとは思いますが、採用する際は転職時点の給与水準は維持する方針ですか?

畑中 有能な人はできるだけアップして採用したいと考えています。入社時点で大幅アップは難しいですが、評価制度をきちんと説明して入社後に努力して実現してほしいと話します。本人の希望と市場価値、期待値が判断基準になるんです。

武本 ウチも2年半ほど前まではそうでしたね。ただ、それだけではこちらも欲しい人で年収アップを望む場合に対応できない。今は本人と話し合って50万〜200万円の支度金を用意したり、契約社員として1年契約にしたりと柔軟性のある制度を適用しています。

吉岡 重要なのは入社後のパフォーマンスですよね。あまり不釣り合いな待遇で入社しても、本人が一番苦労するし、長続きしない(笑)。

畑中 同感です。当社の場合は経営側が明確な方針を打ち出しているので、納得してもらっているはずです。年収が600万円から900万円へ3割以上アップした人もいますから。




畑中 面接を重ねていくうちに、年収アップにこだわる人は転職に何を求めているかわかりますよね。

吉岡 企業の側も業績が良くなっていますから、「年収アップが最大の目的」という人は、好業績のところばかりを狙ったり、賢くなっています。

武本 希望年収がかなり強気の人は増えてきていますよ。やっぱり人材紹介会社やエージェントのアドバイスもあるとは思いますが……。

 あまりに非常識な場合は問題外だと思いますが、許容範囲であればオファーしますか?

武本 一応、話は聞きます(笑)。でもやっぱり交渉して落としどころを提案しますよ。

畑中 評価制度自体が報酬や給与だけでなく、待遇も含めた総合的なものになっています。ですから、希望は参考程度に聞くぐらいですね。それよりも、働きやすい環境や働きやすさに配慮していることをしっかり説明します。最終的に辞退してしまう人もいますが、それは本人が仕事や働くことに何を求めているかという価値観の相違ですからね。

 入社後のパフォーマンスを重視するという話がありましたが、年齢と勤続年数に対応した給与の上昇曲線に特徴はありますか?

武本 完全に若手重視ですね。新卒時で年収400〜500万円。30歳時に700〜750万円というケースが多いです。ただ35歳をピークに、ゆるやかに推移する設計です。ただ来春にも見直す方向で今、検討しているところです。

畑中 毎年見直しています(笑)。年俸制で成果重視ですから、3年で倍になる人もいます。自己申告と所属部署の上長との話し合いで、取り組む業務と達成したい成果を決めます。ですから横ばいとかダウンするケースもあります。

吉岡 当社は一般的というかIT業界のごく標準ですね。ゆるやかな上昇カーブを描く感じ。残業がほとんどなくて休暇も多い。福利厚生にも力を入れているので、生活の一部として仕事に取り組むことに価値を見出して欲しいと思っています。




大手SIer人事部

吉岡和行氏(仮名)

大学卒業後、一貫してIT業界の企業で人事畑を経験。キャリア18年のベテラン
 多くの人は年収アップ転職を期待するわけですが、実現させるために心掛けるべき点は何でしょう?

畑中 内定前後の条件交渉という場面になると思いますが、こちらは専門部署ですしキャリアも長い。ですから積極的に質問するなり、交渉して欲しいですよね。個人的には、一番大切なのは入社時≠ネくて入社後≠セと思います。あまり転職時の年収にこだわらず、リセットするぐらいの気持ちで臨んでほしい。

吉岡 入社時の年収アップを希望する人は多いけれど、なぜか入社後の報酬には無頓着な人が多い。例えば自分のキャリアや実績、年齢を考えて3年後、5年後のモデルケースを聞いてみるなど、もっと踏み込んだ質問をすべきだと思います。

武本 人材紹介会社やエージェントが事前に詳しく情報提供しているせいか、所属予定部署を見てみたいとか所属部署の上長に会いたいという声は多い。でも、入社後の待遇はあまり気にしていないようですね。

吉岡 給与体系や賃金などの質問に答えるかどうかで企業の姿勢がわかりますから、質問すべきでしょうね。

武本 こちらも率直に先入観なく接しているわけですから、誠実に何でも正直に話して欲しいですね。

 応募者の仕掛け次第で、年収アップ転職は可能になるんですね。本日はありがとうございました。

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