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黒烏龍茶OTTP
食事と一緒に摂取することにより、脂肪の吸収を抑え、食後の中性脂肪の上昇を抑制する特定保健用食品 |
メタボリックシンドロームが話題となる中、サントリーの「黒烏龍茶」が大ヒットを記録している。2006年5月の発売当初は年内の販売計画を200万ケースとしていたが、最終的には3倍以上の620万ケースを達成した。
この商品の最大の特徴は特定保健用食品(特保)の承認を受け、「脂肪の吸収を抑える」という効能を明確にうたっていること。食生活の欧米化などを背景に、日本人の脂肪摂取量は増加。現在では30代から60代男性の3人に1人が肥満といわれている。同社は、そこに大きなニーズがあると判断した。
健康飲料部の矢野弘美さんは、2002年に開発プロジェクトが立ち上がった経緯をこう話す。
「サントリーは1981年に缶入りウーロン茶を発売以来、その健康効果について研究を重ねてきました。もともと健康的なイメージの強かった烏龍茶ですが、科学的な裏づけがある商品を作れば、支持を得られると確信したんです。食品としては異例となる4年の歳月をかけて研究開発を続け、特保の取得に成功しました」
一方でマーケティング戦略としては、競合との差別化が最大のテーマだった。しかし「脂肪の吸収を抑える」という表示が認められたことで、「食事とともに」という黒烏龍茶独自の提案が可能に。
「PR戦略としては、『生活習慣病が怖いから、黒烏龍茶を飲みなさい』と脅すのではなく、『黒烏龍茶を飲んで、毎日の食事を楽しもう』という前向きなトーンを大切にしました。事前のリサーチでも、『従来の特保飲料は味が苦手で続かなかった』という声は多かった。ですから開発段階では、おいしさにもこだわりました」
ネーミングとパッケージは、特保取得の決め手にもなった効能成分「ウーロン茶重合ポリフェノール」の色である黒≠強調。
「『黒は苦みなどのマイナスイメージにつながるのでは』と心配する声もありましたが、この色こそが他の商品との最大の違いであり、効能の証。あえて堂々と打ち出していこうと決めました」
ダイレクトに商品特性をアピールした戦略が功を奏し、コアターゲットだった30代から50代の男性だけでなく、若い女性や主婦にも支持され、大ヒット商品となった。2月末には1Lペットボトル入りも発売。今後は、まだ黒烏龍茶を飲んだことのない、潜在層や家庭での消費量アップにも期待しているという。