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サラリーマンネオ
舞台で活躍する俳優人をキャストに迎えるなど、民放のコント番組とも一線を画す |
ここ数年、NHKの深夜枠が変貌を遂げていることにお気づきだろうか? 「NHK=安心。だけど、固い」というイメージを覆す番組が次々と放送されているのだ。その先陣を切った番組が『サラリーマンNEO』。この番組、思わずチャンネルを確認してしまうほど、シュールなコントが繰り広げられ、ひときわ異彩を放っている。企画から演出までを担当したディレクターの吉田照幸氏は、この企画が生み出され、放送されるまでの経緯をこう明かす。
「2002年のアンケートで、視聴者の超高年齢化を知ったんです。NHK全体が、若年層の獲得を図らなければという機運になった。そこで動き出したのが、番組開発プロジェクトだったんです」
集められたのは、様々な番組を手掛けるディレクター、精鋭16人。その中の一人が吉田氏だ。
「私が考えた番組コンセプトは、NHKらしからぬ、NHKらしい番組=B今まであまりやってこなかったコント≠ヨの挑戦と、民放では地味すぎて扱われなかったサラリーマンを主人公にすることに決めたんです。でも、ここからが戦いでした。なにしろ、固い組織に『うん』と納得してもらわなきゃいけない」
吉田氏が企画を進める上で行ったことは、番組予算を引っ張ってくるプロデューサーの信頼を得ることだった。
「信頼を得るために必要なことは、考えて、工夫して、要求された以上の成果を出すこと。私の場合は、NHKらしい番組≠ニいう暗黙のタブーを破りながら、企画を成立させることだった」
試作が評価され、レギュラー化への動きの中で、吉田氏はWebサイトを立ち上げた。
「当時、単発番組では作らないサイトを放送前に立ち上げて、感想を募集しました。狙いは普段NHKを見ない人の声を集めること。生の声は何にも勝る説得材料です。全てのメールをプリントアウトし、届いた感想を上層部に配って歩きました。視聴者の生の声がレギュラー化への大きな助けになったと思いますね」
例え周りから反対されても、とにかく粘り強くあの手この手を考える。必ず成功させるというプレッシャーを自らに課し、大きな組織を動かした吉田氏。「今後はNEOで学んだことを他の番組でも活かしていきたい。もちろんさらに面白いコントも作っていきたいですね」と次なる目標を語る。