山崎元の30歳  

金融マンのキャリア査定

キャリアのターニングポイントとなることが多い30歳。果たして金融マンが転職を考えるとしたら、どんな結末が待っているのか? 業界を渡り歩いてきたスペシャリスト、山崎元が金融マンのキャリアを査定! 《2007年8月号より抜粋》
第4回 業界経験が古びない今のうちに転職を!
山崎 元(やまざき はじめ) 氏
楽天証券経済研究所、客員研究員。三菱商事に入社後、野村投信委託、住友信託銀行、メリルリンチ証券など転職歴は12回。マネーや転職に関する著書の執筆のほかに、経済評論家としてメディアにも多数出演する。

この方の相談を整理すると、証券会社時代にMBA留学をし、その知識を活かすべくコンサルタントに転身したものの、また証券業界に戻りたいということ。経営コンサルタントの経験を活かして、ホールセールや投資銀行部門など、法人向けの仕事を希望されています。


ネックになるのは、証券実務を離れている期間が長いこと。MBA留学をすると、準備も含めて3年間現場を離れますから、コンサルタント時代と合わせて5年間、証券業務から遠ざかっていたことになるのです。


希望職種、もしくはそれに近い仕事での実務経験は、転職成功の重要なポイントですから、このブランクは率直にいって痛手です。ずっと証券業界で仕事をしてきた人と比べると、マーケット感覚に乏しく、どうしても見劣りしてしまいます。


ただし、この方は、もともと証券業界に籍を置いていました。大手証券に入社して、一通りの研修も受けているでしょうし、一種証券外務員資格も取得している。自分が経験していないまでも、証券会社にはどんな商品や仕事があり、どう業務が流れるのか、ある程度の土地勘はあるわけです。


MBAホルダーという付加価値もありますから、30歳でのキャリアチェンジも可能性は十分にあると思いますよ(30代半ばになると、かなり厳しい!)。


留学経験や外資系企業での勤務経験があることから、給与水準の高い外資系証券への転職も可能でしょう。企業相手に経営コンサルティングを行っていたなら、ある程度の業界分析や、企業の資金ニーズについても分かっているでしょうから、投資銀行部門でポテンシャルを買ってくれるところもあるかもしれません。


もちろん、その業務での経験がなく、自分のお客さんも持っていないわけですから、最初から一人前のプロとして認めてはもらえません。年俸も、前職の年収を考慮して、1500万円プラス500万円のボーナス程度からのスタートでしょう。


年齢的に「バイスプレジデント」くらいの肩書きがつくかもしれませんが、最初は一兵卒として、時間と労働を提供していく覚悟が必要です。後はご本人の頑張り次第。早く仕事を覚えて、プロを目指してください。

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