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東京ミッドタウン
旧防衛庁跡地、10ヘクタールという広大な土地に、商業施設、オフィス、ホテル、マンションなどが集まる |
総面積10万2000uの旧防衛庁跡地を、三井不動産を中心とした6社が1800億円で落札し、2007年3月30日にオープンした『東京ミッドタウン』。その広大な土地に、6棟の商業施設と4割を占める緑地を有する。オープンから3カ月ほどで、約1100万人の集客を記録したという。
しかし、同じエリアにある六本木ヒルズや、建設ラッシュが続く都心の複合施設のなかで、どのように個性を打ち出していくのか。
“ミッドタウンのフロント”ともいえる商業施設『ガレリア』を通じて、その差別化ポイントを探る。
東京ミッドタウン事業部の事業グループ統括を務める松藤哲哉氏は、ガレリアのコンセプトについてこう語る。
「我々が目指しているのは、観光地的な施設ではなく、六本木エリアの“常連さん”を獲得すること。この点で、ほかの施設とは大きく異なります。日常的に利用してもらいたいという意味を込めて、『都心の上質な日常』をコンセプトとしました」
さらにターゲット設定も大きな差別化ポイントとなった。メディアなどの影響を受けずに、自分らしさを追求する「主観消費者」にターゲットを絞り込んだ。高感度な彼らに繰り返し使ってもらうことで、ミッドタウン全体の価値が上がると考えたのだ。
ライフスタイルへの意識が高い彼らに満足してもらえる店舗をリストアップするために、トレンドに敏感な外部の人間も含めて、スタッフを衣食住、3つの専門領域に分けて厳選した。
「誘致の際に一番受けた質問が『六本木ヒルズさんとどこが違うのですか?』というもの。確かに店鋪やオフィス、ホテルなど、構成している要素が同じ部分もあります。
しかし、コンセプトがまったく違う。たとえば東京やロンドン、パリは全然別ものでしょう?コンセプトという街の性格が違うことによって、特徴や役割が違うことを理解してもらえるように努めました。その甲斐あって、世界各国から132店鋪の誘致に成功したのです」
直近の目標としては、年間入場者数約3000万人、初年度の売上約300億円を目指すという松藤氏。
「新しい価値は人が集まることで生まれます。たくさんの方にミッドタウンを利用していただき、世界にジャパンバリューを発信していける街を目指していきたい」