コンサル業界出身のプロフェッショナルが掲げる  

進化を促す2つの最上位スキル

かつてコンサルティング業界に身を置き、いまもなお活躍のステージを広げるプロフェッショナルたち。偉大な先達が掲げる、トップコンサルタントの必須条件は「先見性」と「即応力」の2つ。彼らがいかにしてこの2つのスキルを磨いてきたのか聞いた。
柴田励司 氏

マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング株式会社
非常勤取締役

大学卒業後、在オランダ大使館、ホテル人事部を経て1995年にマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングに入社し、その後日本法人取締役社長に就任。2007年に映像制作を手がけるキャドセンターの代表取締役社長に就く

顧客の「周囲」を注視して次のニーズをあぶり出す

ホテルの人事部を経て、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングに転じた経験を持つ柴田励司氏。入社後わずか5年、38歳の若さで日本法人の経営トップに就任し、従業員数を約30人から約160人の陣容へと成長させた。


「私がコンサルタントとしてキャリアをスタートさせたのは、バブル崩壊直後。多くの企業が、終身雇用を前提とした、年功序列型の人事制度を大幅に見直さざるを得なかった時期でした。顧客にとって急務である課題に対し、それまでの理論重視のコンサルティングではなく、現場で起きている現象に着目して取り組んできたことが、新たなビジネスモデルの確立につながったと思います」


同社は人事制度や組織改革で知られているが、現在、コンサルティング会社が注力事業として挙げるM&Aに関するコンサルティングに着目したのが柴田氏だ。ニーズが高騰するであろうビジネスを、マーサーのなかで、世界に先駆けて着手したその先見性はどのように養われたのか。


「顧客ニーズの先取りをするためには、顧客の『顧客』の動静を常に注視することが大事なのです。そこから初めて次のニーズが見えてくる。まずは現場に出て徹底的にヒアリングし、顧客の心理を追求する姿勢が必要ですね。しかし、最近の若手を見ていると、提案書なしには顧客と気軽に話すことができない人が多いように思います。何気ない会話に、顧客も気がついていないニーズが埋もれている可能性があるんですよ。これはコミュニケーション能力の問題ですね。また、難しいことを余計難しく言うコンサルタントもいますが、これでは逆。わかりやすく説明するのが本来あるべき姿です」

こうした先を読む力に加え、今後市場価値が高まる人材は 「高度派遣社員型」と柴田氏は予測する。


「専門的な知識を持ち、顧客企業に入っていって、ともに汗を流して働く人材が求められる時代になってくるでしょうね。そのためにも、若手のうちは与えられた工数以上の仕事に、量的にも質的にもチャレンジして、経験と実績を積むことが重要です」


冨山和彦 氏

株式会社経営共創基盤 
代表取締役 CEO

大学卒業後、1985年にボストンコンサルティンググループへ入社。1986年、コーポレイト ディレクション設立に参画し、2001年に代表取締役就任。2003年、産業再生機構発足とともに代表取締役専務兼COOに就任し、2007年3月、産業再生機構解散。2007年4月に経営共創基盤を設立

現場に入り込んで変化のプロセスを楽しむ

産業再生機構で、カネボウ(現・クラシエホールディングス)を始め、41社の企業再生を手がけてきた冨山和彦氏が2007年に起業し、経営共創基盤を立ち上げた。同社のビジネスモデルは顧客企業へ人材を投入してリスクを共有しつつ、長期的・持続的視点から経営をサポートしていくというもの。冨山氏は設立の理由を次のように語る。


「顧客を取り巻く環境が急速に変化するなかで、数字や合理性を追求するだけの従来型コンサルティングでは、顧客の真の成長を成し遂げることはできない。『経営』と『経営人材』という両面から支援することで、初めて持続的な成長を手助けできると考えたのです」


冨山氏がこうした結論を導き出した背景に、18年という長きにわたるコンサルタント経験がある。


「私がいちコンサルタントとして過ごした期間は、コンサルティング業界がある意味フィクションの世界からリアルな世界へと移り変わる過渡期でした。当初、日本企業にとって使い慣れないコンサルティングビジネスは、経営においても非日常的な位置付けにあったのです。しかしバブル崩壊後、顧客のニーズが激変。日常的な意思決定の判断材料として、コンサルタントのビジネスジャッジメントが必要となり始めました」


これまで重要とされていた、理論や手法を駆使する「What to do=何をするのか」は十分条件となり、必要条件となったのが「How to do=どうするのか」。市場価値の高いコンサルタントほど、生身の人間を相手にいかに泥臭く、一緒になって仕事ができるかが重要な要素となったのだ。この傾向は今後も変わらず、コンサルタントの資質として求められるだろうと冨山氏は指摘する。


「若手であれば、頭だけで仕事をするのではなく、とにかく現場に出て人と対峙すること。そして顧客を進化させるために自分の提案が有効であるのか何度も問いただすこと。これを繰り返すことが、常に変化し続ける顧客ニーズへの即応力を磨くことにつながるのです」


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