ビジネスを創造する源を探る ヒットメーカーの企画書

時にマーケットの流れさえも変えてしまう、ヒット商品や新しいビジネスモデル。ヒットが生まれる背景には、ニーズを作り出す“マーケティング力”やこれまでにない斬新なビジネス形態を思いつく“発想力”、そしてビジネスとして成り立たせる“設計力”の3つが必要だ。ヒットメーカーが作った企画書を読み解くことで、あなたの仕事を今よりもワンランク上にさせるヒントが見えてくる。
第9回 有楽町イトシア
有楽町イトシア開発プロジェクト
商業担当
野本 孝二郎 さん
「有楽町イトシア」
企画書

1 企画・開発の目的
「有楽町第1地区第一種市街地再開発事業」の一環として、新しい人の流れとにぎわいを生み出すこと

2 コンセプト
「上質な繁華街を作る」ということを前提に、「昔ながらの駅前商店街をよみがえらせる」ことをイメージした

3 ターゲット
平日は6:4でサラリーマン、休日は7:3で女性が多いというデータに基づき、その両方の取り込みを目指した

4 プロモーション戦略
メディアに注目ニュースとして継続的に取り上げてもらえるよう、さまざまな切り口のリリースを配信

5 今後の展望
銀座の玄関口として利用してもらいながら、丸の内まで含めたエリアのシンボル的な存在を目指す

有楽町イトシア

10〜20階はオフィスゾーン。『イトシアプラザ』には映画館などの娯楽施設も入っている

2007年10月12日、有楽町駅前に新しいランドマークとなる複合商業施設『有楽町イトシア』がオープンした。商業ゾーンは、核店舗となる『有楽町マルイ』と専門店が集まる『イトシアプラザ』、食の専門ゾーンとなる地下フロアの『イトシアフードアベニュー』で構成。初日に12万人が来館するなど早くも話題を集めている。

有楽町駅前の再開発計画が決定したのは約30年前だが、商業複合施設を作る計画が具体化したのは、2002年に地権者や事業主を中心とする組合が設立されてから。2005年から、商業施設の企画・開発で多くの実績を誇る野本孝二郎氏らが参加し、プロジェクトが本格的に始動した。
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「その時点で決まっていたのは、マルイさんの出店と、誰がどの床を所有するかということだけ。地下にある900坪の広大なスペースを何に使うかは、全く白紙の状態でした」

さらに通常のテナント施設との最大の違いは、オーナーが複数存在することと、オーナーが直接営業する区画とテナントを誘致する区画が混在していた点。専門店については 食≠中心に構成することが決まったが、その後の細かい調整作業には多くの時間が費やされた。

「この場合は決定権者が1人ではない。何か一つ承認を取るにも、組合の理事会や総会にかけなくてはいけません。オーナー全員の意思統一を図る作業が最も難しかったですね」

全員を同じ方向へ導くには、誰もが納得する強力なコンセプトが不可欠だ。野本氏が打ち出したのは、「現代によみがえる新しい駅前商店街を作りたい」という思いを込めた上質な繁華街≠セった。「この地で古くから商売をされてきた方たちなので、駅前繁華街の再生≠ニいうキーワードには共感していただけると思った」と話す。最終的には1年をかけて意見の取りまとめに成功。コンセプトが明確化したことで、同時に進めていたハード面のプランも一気に具体化した。

「駅前から地下フロアに入ると、パン屋がありケーキ屋があり花屋さんがある。どこの駅前にもある商店を配し、路地感覚の造りにすることで、昔ながらの駅前≠フ空気感を再現しました」

今後は「銀座・丸の内・有楽町エリアをつなぐ新しいシンボル≠ニいう役割を担える存在を目指したい」と語る。

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