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有楽町イトシア
10?20階はオフィスゾーン。『イトシアプラザ』には映画館などの娯楽施設も入っている |
2007年10月12日、有楽町駅前に新しいランドマークとなる複合商業施設『有楽町イトシア』がオープンした。商業ゾーンは、核店舗となる『有楽町マルイ』と専門店が集まる『イトシアプラザ』、食の専門ゾーンとなる地下フロアの『イトシアフードアベニュー』で構成。初日に12万人が来館するなど早くも話題を集めている。
有楽町駅前の再開発計画が決定したのは約30年前だが、商業複合施設を作る計画が具体化したのは、2002年に地権者や事業主を中心とする組合が設立されてから。2005年から、商業施設の企画・開発で多くの実績を誇る野本孝二郎氏らが参加し、プロジェクトが本格的に始動した。
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「その時点で決まっていたのは、マルイさんの出店と、誰がどの床を所有するかということだけ。地下にある900坪の広大なスペースを何に使うかは、全く白紙の状態でした」
さらに通常のテナント施設との最大の違いは、オーナーが複数存在することと、オーナーが直接営業する区画とテナントを誘致する区画が混在していた点。専門店については 食≠中心に構成することが決まったが、その後の細かい調整作業には多くの時間が費やされた。
「この場合は決定権者が1人ではない。何か一つ承認を取るにも、組合の理事会や総会にかけなくてはいけません。オーナー全員の意思統一を図る作業が最も難しかったですね」
全員を同じ方向へ導くには、誰もが納得する強力なコンセプトが不可欠だ。野本氏が打ち出したのは、「現代によみがえる新しい駅前商店街を作りたい」という思いを込めた上質な繁華街≠セった。「この地で古くから商売をされてきた方たちなので、駅前繁華街の再生≠ニいうキーワードには共感していただけると思った」と話す。最終的には1年をかけて意見の取りまとめに成功。コンセプトが明確化したことで、同時に進めていたハード面のプランも一気に具体化した。
「駅前から地下フロアに入ると、パン屋がありケーキ屋があり花屋さんがある。どこの駅前にもある商店を配し、路地感覚の造りにすることで、昔ながらの駅前≠フ空気感を再現しました」
今後は「銀座・丸の内・有楽町エリアをつなぐ新しいシンボル≠ニいう役割を担える存在を目指したい」と語る。