ビジネスを創造する源を探る ヒットメーカーの企画書

時にマーケットの流れさえも変えてしまう、 ヒット商品や新しいビジネスモデル。 ヒットメーカーは、いかにして企画を具現化させたのか。 その裏に隠された真意を読み解く。
取材・文/塚田有香 撮影/虫鹿 由香梨(編集部)
第11回 NISSAN GT-R
日産自動車株式会社
マーケティング本部
マーケティングダイレクターオフィス
マーケティング・ダイレクター
加冶 慶光
「NISSAN GT-R」
企画書

1 企画・開発の経緯
カルロス・ゴーン氏の「日産の情熱の証であるGT-Rを復活させたい」という強い意志の下で、2003年より開発プロジェクトがスタートした

2 コンセプト
キャッチフレーズは「新次元のマルチパフォーマンス・スーパーカー」。誰でも、どこでも、どんな時でも、スーパーカーの性能を楽しめる車にすることを意図した

3 マーケティング戦略
車への感度が高く情報発信力を持つ層に訴求し、そこから彼らの影響を受けやすい層へと伝播させていく「マルチエリアターゲティング」という手法を取った

4 プロモーション
動画配信サイトやブログの力を活用。ゲームソフトとタイアップして走行性能を実感できるようにしたこともネットで話題に

NISSAN GT-R

GT-Rとしては初めて国外でも販売。9月の先行予約開始から3カ月足らずで月間販売目標の約18倍となる約3600台を受注するほどの人気ぶりだった

マス媒体を使わない
斬新なマーケティング手法がヒットの鍵を握る


2007年12月6日、日産自動車は新型スポーツカー『NISSAN GT-R』を発売した。前身となる『スカイラインGT-R』の生産中止から5年ぶりの復活が話題だが、一方で斬新なマーケティング手法も注目を集め、ヒットを後押しする形となった。

テレビCMなどのマス媒体を使わず、カタログも作らない。マーケティング・ダイレクター加冶慶光氏は、革新的手法に挑戦した背景をこう説明する。

「限定された生産数を前提に、世界最高の性能を777万円という低価格で提供する。売ることよりも、いかに大きなインパクトをもたらすかがポイントだったので、マーケティングプランを練る際は“誰に、どうやって売るか”という発想よりも、自動車産業全体を活性化し、日本のモノ作りの底力を世界に示すという大きな使命を背負っている車だということを強く意識しました」

そこで注目したのが、ブログや『YouTube』などの動画配信サイトによるクチコミ力だ。まずは2007年6月に、英国の名門サーキットで開かれたレースでテスト走行を実施。観客が撮影した動画が多数投稿され、日本の車が海外で話題になっていることを印象づけた。同年9月からは、国内の繁華街でGT-Rを積んだトラックを走らせるなどのプロモーションを開始。その光景をYouTubeで見た人が、今度は自分のブログで話題にするなどの波及効果も表れた。

消費者のクチコミを広告・宣伝の主軸にすると、ネガティブな意見が広がる可能性もあるが、「それもお客様からの貴重なメッセージととらえ、次のアクションに役立てることが重要」と加冶氏。

今回も情報が出始めた当初は、古くからのGT-Rファンが「自分たちには購入しにくいのでは」との意見をネットに書き込むことがあったという。そこで、発売の2カ月前に覆面をつけたフォルムだけを公開して先行予約を実施し、より購入しやすいよう月々の支払いが楽になる残価設定型ローンも用意。こうした対応により、できる限り顧客の要望に応えるよう工夫を重ねている。

「今回の手法がGT-Rのようなニッチな商品以外でも効果を発揮できるかどうか。それが今後のチャレンジになるでしょうね」

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