若手リーダーたちの「逆境」体験記  

20代・30代リーダーが乗り越えてきた「マネジメントの逆境」

現在、さまざまな企業で活躍している若手リーダーたち。彼らも初めて現場を任された時、新たな役割に悩み、失敗を経験してきた。それを克服して得た“気付き”とは?
取材・文/武田敏則(グレタケ)、長田幸康、伊藤健吾(編集部) 撮影/赤松洋太、大澤 誠、矢野健久、大島哲二 《2008年5月号より抜粋》

異動で思い知った、「組織に染まる」ことのリスク

売上記録を3度更新し、社長賞も3度受賞。トリンプ・インターナショナル・ジャパンの大阪営業部で大手百貨店を担当していた鈴木義文氏の活躍は華々しい。商品企画を行うプロダクト・マネージメント部への異動を打診された時も意気揚々だった。 「営業の視点を活かして、もっと売れる商品を作れる。やりたいことは山ほどありました」

しかし、いざ商品企画の現場に入ると、風土の違いに面食らう。 「メンバーはみんなデザインのプロで、職人魂を持った人たちばかり。異動したばかりの頃は『売れないのは営業の力不足』という雰囲気さえ感じていました」

また、ブランド戦略全体を担う役割だけに、営業時代の10倍近い数字を動かす重責が、持ち味の行動力を消してしまった。 「しばらく身動きがとれませんでしたね。チームになじんで、他部門との間でうまく立ち振る舞うのに精一杯で……」

そして1年が経ったある日。トリンプ名物の早朝会議で新商品のプレゼンを終えた鈴木氏を待っていたのは、突然の怒号だった。 「君は営業の心をたった1年で忘れてしまったのか?」

マーケティングのトップを務める役員の一言だった。 「デザインや加工技法を誇るあまり、消費者の意識とはかけ離れたプレゼンになっていたんです。組織になじもうとし過ぎて、僕が一番大事にしていた『お客さまの視点』を失っていました」

丸一日落ち込んで、鈴木氏は吹っ切れた。もう、飛ぶしかない。 「それからは、『商品を作った僕らだからこそ、お客さまにこう届けたいんだ』という思いで、販売員へのプレゼンや店頭での見せ方まで、僕らのチームも積極的に参加するようになりましたね」

営業経験と商品企画の現場が、やっと線でつながった。 「前は、周囲の意見の最大公約数を取ろうとし過ぎていた。今は、お客さまや社内の主張から最小公倍数を見つけることが、いい仕事につながるんだと思っています」

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