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『meet-me』 現実の地図データを用いて、東京の街をリアルに再現。公序良俗に反する行為は排除し、女性や低年齢層も含めた幅広いユーザーが楽しめる空間作りを目指す
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インターネット上の仮想空間に“国”をつくる
東京の街をリアルに再現した和製3Dバーチャルコミュニティ『meet-me』。2007年12月より試験運用を開始。今年4月に主要機能を実装したバージョンを一般公開した。
運営するのは、トランスコスモスや産経新聞社などが設立した合弁会社のココア。代表取締役社長の森山雅勝氏はトランスコスモスの専務取締役でもあり、ビジネスの発案者でもある。
「きっかけは、3年ほど前にポイントプログラムに着目したこと。以前はポイント制度といえば割引に使われるものでしたが、そのうちアンケートへの協力など労働の対価として支払われるようになった。労働の対価として通用すれば、それは通貨と同じ。我々のようなIT企業でも通貨を発行できるなら、インターネット上に国≠ェ作れるのではと考えたのです」
国のイメージとしてRPGの世界観を思い描いた森山氏は、パートナーとなるゲーム会社を探し始める。問題は現場にどう落とすかという点だった。
「作るものは絵的に見ればゲームに近いが、ビジネスモデルとしてはまったく別物。我々が考える事業は企業からの広告収入が中心となるため、BtoBの要素が多い。ゲーム会社からすると、アイデアには興味があっても実行段階になると話が進みにくいのです」
フロム・ソフトウェアの社長に出会い、事業が動き出すまで、一年半を費やしたが、会社設立から本サービスの始動まではわずか一年。競合となり得るほかのサービスとの競争を考えてのスケジューリングだが、コンテンツ制作から出店企業への営業まで、あらゆる業務を併行して進めなくては間に合わない。全体を統率して仕事を迅速に進める作業は、非常に難易度の高いものとなる。
「大事なのは役割分担を明確にし、互いを信頼すること。例えば対ユーザーの部分は、実績のあるフロム・ソフトウェアさんにお任せする。代わりに企業を巻き込んだビジネススキームの構築は、ノウハウのある我々に任せていただく。制作側はユーザー視点を徹底したくても、営業する立場としては企業の要望を受け入れざるを得ない場面もある。調整は大変ですが、信頼関係があればやっていけるのです」