課題解決のプロに必要な4つの「力」とは?  

トップコンサル直伝!一流の条件

「ロジカルシンキング」、「分析力」、「コミュニケーション能力」……。 一流のコンサルタントとして活躍するためには、一体何が必要なのか? 長年現場で経験を積んだトップコンサルタントが、自らの経験を踏まえて語る。
取材・文/塚田有香、栗原 昇 撮影/中川 彰、赤松洋太、小林 正、青木 宰 《2008年6月号より抜粋》
そもそもコンサルタントの役割とは何か? A.T.カーニーのパートナーである後藤治氏は、その定義から話し出す。

「問題解決のために、クライアントに納得して動いてもらう。それがすべてなんです。だからこそ大切なのは、クライアントが抱える本当の課題を見抜き、それを恐れず伝えることだと思います」

企業が抱える本当の課題とは、往々にして経営者にとって耳の痛い話だ。それをそのまま伝えることは、相手の心象を悪くする危険だってある。実際、後藤氏も過去に一度だけ、「本当のこと」を直言して案件を失ったことがある。

「数年後、自分が間違っていたと気付きましたが(苦笑)。しかし長い目で見たとき、深い信頼関係を築けたのは、皆、私が相手の期待とは違う『本当のこと』を伝えたクライアントばかりです」

この話を裏付ける逸話がある。事業再生に取り組むある企業から、「社内で作った再生プログラムの推進をサポートしてほしい」と依頼された時のことだ。普通なら素直にサポートを行うところだが、後藤氏はあえて「抜本的な改革をしなければならないのに、再生経験のない社員たちが作ったチームでは何もできない」と直言した。その提言がきっかけで、その後の長期的な関係が築けたという。

■ 組織を「目指す方向」へ動かすことにこだわれ

後藤氏のこの持論には、自身の仕事のスタイルが関係している。

「手掛ける業界やテーマを絞らず、常に新しいテーマやクライアントを見つけ、広げていくスタイルを取ってきました」

プレゼンスキルやロジカルシンキングといったノウハウの重要性を後藤氏は否定しない。ただし、それも「顧客に価値をもたらすことで初めて意味を持つ」と語る。

「私のコンサルタントとしての原体験は、前職のメーカー勤務時代にあります。会社は変わらなければいけない状況にあったのに、長い間かけて培われた組織の価値観や論理が優先され、何も変わらなかった。その不条理を反面教師に、今は間違った組織の理屈を正すのがコンサルタントの存在価値だと考えています。数々のあつれきを乗り越えて、組織を目指す方向に導くお手伝いをするのが、我々の仕事なのです」
 

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