|
「世界のKitchenから」シリーズ
今年2月に数量限定で発売した『とろとろ桃のフルーニュ』(写真左端)は、一カ月後には品薄状態になる人気。(商品の一部は、現在入手困難な可能性あり) |
“家族を思いやるお母さんの気持ち”を商品に
世界の家庭に伝わる自家製の味や素材に着目したキリンビバレッジの「世界のKitchenから」シリーズ。2007年5月に第1弾の『ピール漬けハチミツレモン』が発売され、以降『ディアボロ・ジンジャー』、『とろとろ桃のフルーニュ』とラインナップを増やしている。
商品企画がスタートしたのは2006年の秋。「高付加価値型商品を企画する」という目的でプロジェクトが立ち上げられた。
「当時はトクホ商品≠ェヒットしていた時期。でも、消費者が望むのは健康だけなのか。もっとおいしさに着目した商品があってもいいのではと考えたことがシリーズ誕生のきっかけになりました」
そう話すのは、営業本部マーケティング部の松隈有紀子さん。開発メンバー全員が女性だったことも、従来とは違う角度から商品開発を進める要因となった。
「本当においしいものが好きで舌が肥えているのは女性ではないでしょうか。そこで、『身体に優しい素材を選ぶ』、『旬の素材を使う』といった女性に好まれるキーワードを挙げてみたのです」
そこから読み取れたのは、家族を思いやるお母さんの気持ち≠セった。家族の健康を気遣ったり、季節の味を楽しませたいと考えること。こうした「お母さんの思い」と同じスタンスに立ち、手間暇をかけた誠実なもの作りをする。それを実践すれば、女性たちの支持も得られるはずだと考えたのだ。
「事前の調査で、コアターゲットの30?40代女性は、誠実さ∞丁寧さ≠ニいった作り手の思いへの共感性が高いことが分かっていました。私たちの思いがきちんと伝われば、必ずヒットにつながるという確信がありました」
ただし、その思いを実際の商品に落とし込むのは簡単ではなかった。例えば『ピール漬けハチミツレモン』ではレモンの皮をそのままボトルに入れているが、これは従来の常識では難しいと考えられていたこと。しかし、松隈さんたちは製造部門に粘り強く思いを伝え、最終的には理解を得ることができた。
今年4月には初のチルド商品も発売。「今後はさまざまなカテゴリーで『世界のKitchenから』シリーズを展開していきたい」と展望を語った。