ビジネスを創造する源を探る ヒットメーカーの企画書

時にマーケットの流れさえも変えてしまう、 ヒット商品や新しいビジネスモデル。 ヒットメーカーは、いかにして企画を具現化させたのか。 その裏に隠された真意を読み解く。
取材・文/塚田有香 撮影/虫鹿 由香梨(編集部)
第15回 ユニクロ『UT』
株式会社ユニクロ
商品本部
UTデザインチーム
リーダー
松沼 礼
「ユニクロ『UT』」
企画書

1 立ち上げの経緯
2006年にNY旗艦店で販売したTシャツが世界的に好評だったことを受け、Tシャツだけの単独ブランドを立ち上げることに

2 プロジェクトチーム編成
クリエイティブディレクターに佐藤可士和氏を迎え、マーケティング、MD、デザイナー、生産、著作権管理担当などで構成

3 コンセプト
既存のTシャツプロジェクトの「Tシャツを、もっと自由に、面白く。」を引き継ぎつつ、「売り方や買い方までデザインする」ことを目指し、斬新な販売手法を取り入れたTシャツ専門店『UT STORE HARAJUKU.』をオープン

4 商品開発
昨年度の売上データや消費者からの意見を収集し、市場ニーズを把握した上で、潜在需要を発掘。それに応えるコラボレーション相手を選定し、効果的な編集を施す

ユニクロ『UT』

2008年は、「TOO MANY T-SHIRTS.」をキーワードに、「アート」、「マンガ」、「企業コラボ」など37カテゴリーを展開。販売目標は、1200万枚以上

独自性の高さで“世界一のTシャツブランド”を目指す

ユニクロが2007年4月に立ち上げたTシャツブランド『UT』。国内外のアーティストや企業とコラボレーションした独自性の高いデザインが注目を集め、2008年は1000色柄以上の多彩なバリエーションを展開する予定だ。

そもそもユニクロでは、2003年から、Tシャツプロジェクトを展開していた。それをブランド化するきっかけとなったのは、2006年11月に『ソーホー ニューヨーク旗艦店』を開店した際、日本を代表するアーティストやクリエイターがデザインしたTシャツを取りそろえた「Japanese Pop Culture Project」を実施したこと。これが大きな反響を呼び、「世界一のTシャツブランドを作る」という構想が持ち上がった。

「ユニクロではTシャツを一つのメディアとしてとらえています。例えば、ロックバンドのTシャツを着ていれば、自分がファンであることが周囲に伝わる。Tシャツは情報を発信したり、自分を表現することのできるアイテムなのです」

Tシャツが持つ魅力と可能性をこう語るのは、UTデザインチームのリーダーである松沼礼氏。グローバル展開を推進し、情報発信および製造小売業を基軸とするユニクロにとっても、同社のブランドコンセプトを体現しやすいTシャツは、海外市場拡大のカギを握る重要な商材だ。UTの人気カテゴリーにマンガやアニメがあるが、それもユニクロが世界に向けて打ち出したいと考えるクール・ジャパン≠フイメージを表現するのに最適なコンテンツだと考えたからだ。

「ただし、UTのTシャツは、その企画に賛同してくれるアーティストや企業があってこそ成立するもの。『Tシャツを通して、日本の持つ素晴らしさを世界に発信していきたい』という我々の熱意や思いを、いかに相手に伝えられるか。それこそが商品開発のカギですね」

ブランド化と同時に、Tシャツの専門店を東京・原宿にオープン。未来のTシャツのコンビニエンスストア≠コンセプトに、商品をプラスティック製のボトルに詰めて陳列するという斬新な販売手法が話題を呼んだ。現在は、来店客の3割強が外国人。「ユニクロ発の東京土産」という新たなニーズの掘り起こしにも成功している。

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