ビジネスを創造する源を探る ヒットメーカーの企画書

時にマーケットの流れさえも変えてしまう、 ヒット商品や新しいビジネスモデル。 ヒットメーカーは、いかにして企画を具現化させたのか。 その裏に隠された真意を読み解く。
取材・文/塚田有香 撮影/虫鹿 由香梨(編集部)
第16回 『絶品チーズバーガー』
株式会社ロッテリア
商品本部 管理本部
執行役員
湯浅 智之
「『絶品チーズバーガー』」
企画書

1 企画・開発の目的
ロッテリアを象徴する商品を作ること。過去にもエビバーガーやリブサンドなど魚介やポークを使った看板商品はあったが、今回はハンバーガーの王道であるビーフを使った商品を極めることに

2 商品開発
商品総合プロデューサーに仏料理店でシェフを務めた経験を持つ嶋原博氏を起用。仏料理の発想を取り入れた本格派の味わいを実現した

3 ターゲット層
イメージは「ロッテリアにしばらく足を運んでいない人」。競合やカフェチェーンに流れていた客層の呼び戻しを狙った

4 プロモーション戦略
大学生と組み宣伝プロジェクトを立ち上げ、ブログで販促キャンペーンを展開するなど、マス広告を使わずクチコミを重視


『絶品チーズバーガー』

先行発売時から続けていた「1日限定平均200個」の制限を今年4月に撤廃。わずか数カ月で、30年間売上トップだったエビバーガーの年間販売個数を越えそうだ

“ビーフバーガーの4番バッター”を目指す

ロッテリアの『絶品チーズバーガー』が売れている。昨年11月に関東48店で先行発売し、今年1月から順次全国へと拡大。5月には発売以来の販売個数500万食を突破した。

「この商品のコンセプトは極めて単純。『ビーフバーガーの4番バッターを作る』、それだけです」

そう語るのは、ロッテリア執行役員の湯浅智之氏。そこには、ロッテリアのブランドを象徴する商品を作りたいという思いがあった。

「ファストフード店に行くとき、消費者は『マックに行く』、『モスに行く』とは言うが、『○○バーガーを食べに行く』とは言わない。『あの商品を食べたいからロッテリアへ行く』と思わせるような商品を作りたかったのです」

絶品チーズバーガーは、バンズ、パティ、チーズのみのシンプルな構成。一等粉やナチュラルチーズなど良質な素材を使い、本格派を目指した。競合他社が具材の多さやボリューム感で勝負しているのとは真逆の発想だ。

「当初は社内でも大激論でしたよ。『この商品が本当に売れるのか』と。でも、この品質のバーガーを360円で食べられるところは他にはない。そこには絶対の自信がありました。我々としては『マクドナルドのメガマックに対抗しよう』などという発想はまったくなかった。あくまでも良いものを作りたいという思いが入り口で、他社と差別化できたのは、単なる結果論に過ぎないと考えています」

また、現場を巻き込んだことも成功の大きな要因となった。

「我々にはマス広告を使ってプロモーションする予算はない。1万人いる社員が本当に自信を持って勧められる商品を作り、一人一人がクチコミ媒体になるしかないのです。我々経営陣も店舗に通い詰め、この商品にかける熱意を伝えて回りました。現場の社員が新商品発売を会社のこと≠ナはなく自分のこと≠ニしてとらえるようになったのは大きな変化ですね」

その結果、来店客からも「接客が向上した」、「店が明るくなった」などの声が寄せられるようになった。絶品チーズバーガーの持つ商品力との相乗効果で、ロッテリアというブランドの熱心なファンが増えるという良い循環を生み出している。

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