ビジネスを創造する源を探る ヒットメーカーの企画書

時にマーケットの流れさえも変えてしまう、ヒット商品や新しいビジネスモデル。 ヒットメーカーは、いかにして企画を具現化させたのか。その裏に隠された真意を読み解く。
取材・文/塚田有香 撮影/虫鹿 由香梨(編集部)
第18回 『じぶん銀行』
株式会社 じぶん銀行
執行役員
業務開発本部長 兼 商品開発部長
門田守人
『じぶん銀行』
企画書

1 プロジェクトの推移
当初はKDDIから3人、三菱東京UFJ銀行から5名が参加してスタート。2006年に新たな銀行を設立することを公表したのと同時に30名ほどに増員。2008年6月に銀行営業免許を取得

2 ターゲット
当初はauのコアな顧客層から20?30代が中心になると考えていたが、マーケットリサーチの結果、50?60代でもモバイルによる金融サービスの利用希望者が多いと判明。より幅広いユーザーを視野に入れることに

3 ネーミング
パーソナル性を打ち出すこと、一度聞いたら忘れない名前にすることを前提に決定

4 PR戦略
認知度の向上が最大の狙い。テレビCMに加え、全国にある三菱東京UFJ銀行の本支店やauショップの店頭で大量露出を展開

『じぶん銀行』

“銀行まるごと、ケータイしよう”をキャッチコピーに、携帯電話だけで通帳管理から預金までが可能に。今後はカードローンや金融商品仲介なども扱う予定

通信会社とメガバンクが手を組みモバイルバンキングの新たな可能性を開拓

2008年7月、KDDIと三菱東京UFJ銀行が共同で設立したモバイル向けネットバンクの『じぶん銀行』がサービスを開始した。通信会社とメガバンクが手を組んで生まれた新形態の銀行として注目を集めている。

新規事業への参入を検討していたKDDIと三菱東京UFJ銀行が、合同でプロジェクトに取り組み始めたのが2005年冬のこと。2006年に入ってからプロジェクトチームが立ち上がり、本格的に新たなビジネスの検討に入った。

「すでに大手銀行が携帯電話から利用できるサービスを展開していたので、そことどう差別化するかという観点から、具体的な機能や商品の開発を進めた」と話すのは、銀行側からプロジェクトに参画した門田守人氏。異業種との混成チームで仕事をすることにより、モバイルバンキングの新たな可能性に気付く場面もあったという。

「例えば銀行員の間では、飲み代の支払いは、立替えた人の口座に後日振り込むのが当たり前。でもKDDI出身のメンバーと飲みに行ったら、『いや、普通はその場で支払いますよ』と言われて(笑)。銀行員が思っているほど、世間の人は日常生活で振込機能を使っていないのだなと。逆に言えば、携帯電話から簡単に振込ができれば、新たに掘り起こせるニーズもあるはずだという確信が持てました」

そんなふとした気付きから、相手の口座番号が分からなくても、携帯電話の番号だけで振込ができる「ケータイ番号振込」のサービスが具体化した。また、Web調査やグループインタビューも実施。特に若い世代は、支払い予定などを小まめにメモしたい人が多いこと、また目的のためにコツコツと貯金したいという意識が高いことが分かった。こうした調査結果が反映され、「支払いメモ」、「貯金計画」などのユニークで便利な機能を搭載したau端末専用アプリケーション『じぶん通帳』の開発につながった。

「財布以外に人が肌身離さず持ち歩くものなんて、携帯電話しかない。このチャネルを利用すれば、できることがいくらでもある。今後は、さまざまな企業とのコラボレーションによって、従来の銀行ではできなかったような斬新なサービスも提供していきたいと考えています」

typeのおすすめサービス

サイトでは検索できない非公開求人をキャリアアドバイザーがご紹介。さらに、職務経歴書の書き方や、受かる面接のコツなど、転職ノウハウを伝授!
情報を登録しておくだけで、あなたに興味を持った企業の採用担当者から直接スカウトが届きます。
正社員で成長したい女性のための転職サイト!
「女性管理職がいる」、「働くママ歓迎」など、女性ならではのこだわり条件から求人を検索できる!