アワーズシップ株式会社

アワーズシップ株式会社のインタビュー

姉妹媒体『エンジニアtype』に掲載中のアワーズシップ株式会社のインタビュー記事を転載しています。
企業のカルチャーや働く社員のイメージを知るためにご活用ください。

なお、募集職種とは異なる職種やテーマのインタビュー記事が掲載されている可能性もございますので、ご了承ください。

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「会社の早期成長より、エンジニア個人の自立を取った」業界の悪しき慣習を断つSES代表の覚悟

いまだエンジニアの採用競争が続くSES業界。多くの企業が「案件選択制」や「高還元率」といった条件面を前面に打ち出し、人材集めに躍起になっている。しかし、そうした目先のメリットは、果たしてエンジニアの真のキャリアを切り開くものなのだろうか。

​2024年に産声を上げたアワーズシップは、業界の過熱する待遇争いの波に真っ向から抗い、「徹底してエンジニア個人に寄り添う」という愚直なまでのスタンスを貫いている。

売り上げを最優先した安易なアサインを排し、待機リスクを背負ってでも一人一人のポテンシャルと未来に向き合う――一見すると非効率的なその経営判断は、いかにして社員の自主性を覚醒させ、驚異的な成長エンジンへと昇華したのか。

​自らもエンジニアや営業としての経験を持ち、現場の痛みを知る代表・塩田悠麻さんが仕掛ける「人から始まる組織づくり」と「SESの枠組みを超えた成長戦略」を紐解いていく。

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アワーズシップ株式会社 代表取締役
塩田悠麻さん

1992年大阪府生まれ。大学中退後、フリーターを経て25歳でSES企業に入社。未経験からエンジニアとしてキャリアをスタートし、1年後に営業職へ転向。営業リーダーに昇格し、受託開発チームの立ち上げや営業統括に加え、採用、人事、エンジニアのキャリア支援まで幅広く担う。2024年にアワーズシップを設立。エンジニア一人一人の可能性とキャリアに向き合う組織づくりを進めている。

自らリスクを取って「会社都合」を脱却

ーーSES企業では、アサイン時に複数の候補を提示してエンジニア自ら参画したい案件を選ぶ「案件選択制」を採用する企業が増えていますよね。ですが、アワーズシップではあえてこの仕組みを採用していないとか?

そうですね。案件選択制の場合、どうしても「どれだけ多くの案件を提示できるか」が重要になります。ですが、案件数を増やそうとすると、その分単価が低い案件や商流が深い案件も含まれてくるんです。

案件選択制の会社では50〜60件ほどの案件を提示するケースがあるようですが、アワーズシップは20〜30件程度。これは、商流が浅いお客さまに取引を絞っているから。案件数は多くなくても、しっかり中身を見てもらえれば、エンジニアの納得感やスキルアップにつながる単価・商流で働ける環境だと分かっていただけると思います。

インタビューに応えるアワーズシップ株式会社の代表取締役・塩田悠麻さん

エンジニアによっては、目先のことだけを考えて負担が少なそうな案件を選びたくなるときもあるでしょう。ただ、それを繰り返していると、将来的にキャリアが先細りするリスクがあります。

だからこそ、単純に選択肢の数を増やすのではなく、エンジニア一人一人が「何をしたいのか」「どんな経験を積みたいのか」を聞き、将来のキャリアを見据えた上で最適な案件を提案するようにしているんです。

ーーキャリアの希望に応えることも簡単ではないように思うのですが。

おっしゃる通りですが、「会社都合のアサインはしない」というのは創業当時から決めていた考えなんです。

SESの場合は待機が出ると売り上げが立たないので、本人の希望とは違っても「今すぐ入ってもらえる案件にアサインしておこう」という判断をせざるを得ません。ですが本来は、希望に沿った案件の方がモチベーション高く働けますし、仮に経験不足なら待機期間にスキルアップに取り組めば、その後参画できる案件が格段に広がるはずです。

育てれば伸びるはずなのに、売り上げを優先して将来性の薄い案件に入れられてしまうエンジニアを、これまで何人も見てきました。その度に「もったいないな」と悔しく感じてきたんですよね。

だから会社を作って、自分の責任でリスクを取って挑戦してみようと思ったんです。目先の稼働率だけでなく、エンジニアのキャリアと向き合うことでどんな効果が得られるか、検証していこうと考えました。

エンジニアを“情報”だけで評価しない

ーーとはいえ、会社を存続させるためには利益が必要ですよね。

創業直後は、一人分の売り上げでも会社に与える影響が大きいですからね。私自身、数字を見て現実の厳しさを痛感することはありました。

一般的にSESでは、「この人はいくらで稼働できそうか」「この給与ならどれくらい利益が出るか」といった視点でスキル重視の採用を行い、「何人採用して、売り上げをここまで伸ばす」といった目標を掲げることが多い。アワーズシップも、稼働につながりやすい人を優先的に採用して人数を急増させていれば、会社の成長はもっと速かったかもしれません。

でも、創業期に入社してくれる人は、会社の中心になっていく仲間です。人数を増やすことより、同じ方向を見て一緒に会社を育てていける人を迎え入れたいと思って採用してきました。

インタビューに応えるアワーズシップ株式会社の代表取締役・塩田悠麻さん

なので、創業後は資金調達に注力し、エンジニアの稼働による売り上げだけに頼らなくても、当面は会社が存続できるような土台をつくったんです。

ーー採用ではどのような点を重視しているのですか?

現時点のスキルだけで判断せず、「この人と一緒に働きたい」と思える人を採用してきました。感覚的な表現にはなりますが、人柄を重視した採用ですね。

以前、すぐに案件へ入れるスキルはないものの、人柄に魅力を感じて採用を決めたエンジニアがいました。入社後は1カ月ほど待機してもらい、その期間で学習を重ねて資格を取得。その結果、本人が希望していた案件にアサインできた事例があります。

待機は損失に見えるかもしれませんが、時間を有効活用すればスキルが身に付き、より良い案件に入って単価も上げやすくなります。長い目で見れば、社員の成長は会社の価値向上にもつながるため、本人にとっても会社にとってもプラスになるのです。

ーーエンジニアの成長に投資している、と。

とはいえ、「スキルを磨く」と口で言うのは簡単ですが、働きながら取り組むのは容易ではありません。実際、面接に来たエンジニアの中にも「今の会社では副業をしないと収入面が不安で、勉強時間を確保できない」という方がいました。

その方には、「今副業で得ている分もうちの給与で補うので、その時間を勉強に使ってキャリアの可能性を広げてほしい」と提案した上で、採用を決めたことがあります。

ーー個人がスキルを磨くことと同様に、会社が「エンジニアに向き合う」ことだって言うは易く行うは難し……ですよね。どのようなことを意識していますか?

まず、私をはじめ営業の意識を変えました。

SESの営業は、エンジニアの情報をもとに企業への提案を行います。そのため、この業界に長くいると、経歴書に記載された年齢や性別、スキル、イニシャルといった「データ」でエンジニアを判断するようになってしまうんです。人ではなく、文字列として見るようになってしまうんですよね。

なので当社では、案件を決めるための情報だけでなく、一人一人が持っている事情や感情にも目を向けることを信条にしています。

インタビューに応えるアワーズシップ株式会社の代表取締役・塩田悠麻さん

例を挙げるなら、通勤時間について。営業としては「片道1時間半くらい我慢してほしい」と思うかもしれませんが、人によっては「往復3時間はきつい」と感じるでしょう。そういった部分も含めて、本人が納得して挑戦できるように話を聞いていきます。

経営者との適切な距離が、主体性を育む

ーー丁寧に採用やアサインを行っても、実際の業務は顧客先やリモート勤務ですよね。顔を合わせる機会が限られる中で、どのようにエンジニアとの関係を築いていますか?

やはりコミュニケーションが何よりも重要なので、2カ月に1回は1on1を行い、案件の状況だけでなく、「次は何をやりたいか」「今後どんなキャリアを築きたいか」といった将来の話もしています。雑談も含めて、日頃からコミュニケーションを取るようにしていますね。

部活動や社内イベントもコミュニケーションの場の一つですが、参加は全て任意。イベントごとが好きな人もいれば、一人の時間を大事にしたい人もいるので、全員に同じ関わり方を求めるつもりはありません。その人に合った距離感で、気軽に相談できる関係をつくりたいと思っています。

ーーコミュニケーションにかなり時間をとっているようですが、効果のほどは?

エンジニアの主体性が育っているように感じますね。こちらが「これをやってください」と指示したことだけではなく、エンジニア自身が「今の会社には何が必要か」を考え、自ら動いてくれるようになってきました。

インフラエンジニア向けの学習コンテンツを自作したり、AIを活用したサービスを提案したり。エンジニア自身が外部と関係性をつくり、大きなeスポーツチームとの協業プロジェクトが現在進行中で、リリースが待ち遠しいです。。

ーーエンジニア発信で事業が成長している、と。

特に主体的に事業づくりを進めている社員には、事業に必要な費用を自身の判断で使える裁量も任せています。その結果、新たなサービスを作るだけでなく二つのメディアを立ち上げ、現在は運用の自動化にも取り組んでいます。 「こんなサービスを作りたい」「このツールを導入したい」といったアイデアを、提案だけで終わらせず、実際に形にしていける環境です。

社員が自分の意思で挑戦し、その過程を面白がれる環境をつくることが、楽しく働くことにもつながると思っています。

インタビューに応えるアワーズシップ株式会社の代表取締役・塩田悠麻さん

ーー「楽しく働く」という言葉はいろんな解釈ができますよね。塩田さんが思う「楽しく働く」とは、具体的にどのような状態ですか?

何を「楽しい」と感じるかは人それぞれですが、私は「みんなで会社を大きくして、その成果を給与や昇給として分かち合うこと」は、その最たる例の一つだと思っています。

実際、利益が出たらしっかり昇給で還元しているので、年間で4〜5万円ほど月給が上がっているエンジニアが大半です。

ーー昇給するということは、しっかりとスキルが身に付いているということですね。ただ、優秀なエンジニアの定着にはどこの会社も苦戦している印象です。

アワーズシップのエンジニアも、常駐先から引き抜きの声をかけられるケースはあります。その場合、単純な給与だけを見ると転職した方が上がるんですよね。

それでも、「今の会社で働きたいから」と残る決断をしてくれるエンジニアがいます。条件だけではなく、一緒に会社をつくる実感や、挑戦を任せてもらえる面白さを感じてもらえているのかな、と思うと嬉しいですね。

SESに依存しない事業展開に込めた成長戦略

ーーアワーズシップでは、SES事業だけではなく複数の事業を展開していますよね。その背景を教えてください。

より高い自由度でエンジニアが開発に携われる機会を増やしたいと思い、受託開発を開始したのが、多角的な事業展開に取り組むようになったきっかけですね。

今後は、デジタルエンターテインメント事業として取り組んでいるeスポーツ関連のビジネス「Our’sShipGaming」も、より一層注力していきたいと考えています。

ーーなぜeスポーツに関連した事業を?

実は、僕自身10年以上前にeスポーツの選手として活動していたことがあるんですよ。それもあって、会社の知名度や発信力、拡散力を高める広告塔になる事業にできないかと思って始めたのがOur’sShipGamingです。

実際にeスポーツ事業を通じてアワーズシップを知って応募してくれるエンジニアや、所属ゲーマーの配信をきっかけにお問い合わせをくださった企業さまもいます。今後も拡大していくことで多くの方にアワーズシップを知っていただき、採用や事業につなげていきたいですね。

アワーズシップ株式会社の代表取締役・塩田悠麻さん。窓際に立ち、腕を組んで笑顔の一枚

ーー複数の事業を展開していることは、エンジニアにとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?

客先にアサインするSES事業のみとなると、エンジニアに対して提示できるメリットがリモートの有無や給与といった待遇になりがちです。でも受託開発であれば、お客さまと「何を作るか」という上流から話せますし、要件が固まっていない段階から提案もできる。仕事そのものの充実感やスキルアップにも効果を発揮しますよね。

さらに、自社開発やeスポーツを含む複数の事業を加えることで、エンジニアが新しい挑戦に関われる機会が増えます。先ほどお話ししたように、一緒に事業をつくっていく経験ができる環境です。

特定の事業に閉じないことで、会社としての将来性はもちろん、エンジニアの成長につながるチャレンジの場も広がります。エンジニアとしてどうなりたいのか、自分自身の将来と向き合った上で、この環境を活かしてほしいですね。

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取材・文/福永太郎 撮影/吉永和志 編集/秋元 祐香里(編集部)