「List3. 海外で働く」 時代を生き抜く女のチカラ! 30歳までにしたい10のシゴト
外に出てみなきゃわからないこともある。
海外で働くことは「発見」と「再発見」の連続でした
小山優子さん(27歳)
イタリア雑貨のブランドマーケティング
英会話スクール マネージャー
新卒で入社した英会話学校などを運営する企業で、国内数店舗の教室長を経験し、シンガポールなどの海外支社へ転勤。海外での就業体験をした後、イタリアのアクセサリーを扱うブランドマーケティング企業に転職。海外で働いた経験をどう活かしているのか、彼女の今後の展望を聞いた。
人生でやり遂げたいことのひとつが「海外勤務」だっただけ
26歳、海外勤務から戻ってきた小山優子さんは、今後のキャリアに向けて転職という道を選んだ。それまでは、国内大手の英会話学校を運営する企業でスクールマネージャーとして勤務。外国人講師たちのスケジューリングや生徒のレッスンプラン作成だけでなく、教室全体の経理や広報など、教室運営すべてに関わっていた。
「エンドユーザーと直接関われる仕事が好きだったのと、学生時代から海外旅行が好きで英語力をつけたいと思って選んだ就職先でした。今は、転職してイタリアのアクセサリー・小物を扱うブランドマーケティングの会社で、マーチャンダイザーとして主に店舗業務を任されています。販売員として店舗に立ったり、商品を卸している店舗のディスプレイを提案したりするのがメインの業務です。転職前とはまったく違う業種ですが、エンドユーザーの顔が見えるという点で私の一番やりたいことはぶれていないんです」
前職では、国内の大きな店舗をいくつも任された後に上海、オーストラリアなどで海外転勤を経験。シンガポールでスクールマネージャーとして勤務していた小山さんが20代半ばで転職を決意した理由は「そこでやりたいと思っていたことを全部達成しきった」からだという。
「入社当初から『海外で働くこと』、『私生活にかまわず仕事だけを死ぬほどやる』という経験をしたいと思っていました。そのまま会社に残ってできることもたくさんあったと思いますが、海外で働くことだけが人生の目標ではなかった。ふと立ち止まって次に何をやろうかと自分の心と向き合ったときに、違う業界を見てみたいと思ったんです」
海外に出て得たものは「気遣いの大切さ」と「一人で戦い抜いたという自信」
帰国前に勤務していたシンガポールの教室では、日本の教室と同様に講師たちのスケジューリングや地元誌のフリーペーパーに掲載する生徒募集の広告の企画などを行っていた。
「海外教室の講師はパートタイマーが多いので、雇用条件に合わせてタイムテーブルを作らなきゃいけなかったり、予算の都合で講師をアサインできなかったりと日本と同じ業務でも大変さは桁違いでした(笑)。でも、日本人向けクラスでは、自分の考えた内容の授業を組み込むことができたり、校内のディスプレイを工夫したりといろいろチャレンジすることもできましたね」
そこで気付いたことは、日本人スタッフならではの細かいケアが思いのほか喜ばれること。日本では当たり前と思っていたことも、海外では「日本人ならではの気遣い」として重宝されたという。また、生徒たちの成長が目に見える度合いも日本より高いのだとか。
「建築系やIT系の仕事で海外転勤してくる日本人は、英語力がそのまま仕事に影響します。『こっちの会議で初めて発言できたよ!』など生徒さんが嬉しそうに話してくれるのを聞くのは本当にやりがいを感じる瞬間でした。日本ではそこまではっきりと成長を実感できることは少ないですから」
明るく語る彼女だが、振り返ると海外勤務は楽しいことばかりではなかった。外国人スタッフの中で日本人は小山さん一人、言葉が通じず子ども扱いされ、味方がいないと感じることもあったという。つらい状況を経験して、「あの環境にいたこと、それが一番勉強になった」と“強くなった自分”を実感したそう。そこまで全力でやりきったからこそ「やっぱり海外で働き続けるのは違う」と判断できたのかもしれない。
新たに生まれた夢。そのタネは海外で見つけられた
「今の会社では、銀座に店舗があるので外国人のお客さまも多く、接客で英語を使うこともよくあります。でもそれ以上に20代で海外勤務の経験ができたことで新しい夢ができたのが良かったことです。実は今、これから日本語教師になるための検定試験に向けて勉強中。自分が海外で言葉に苦労した経験から、日本で働く外国人の手助けができる力をつけたいと思ったんです。やっぱり“学校”が好きなんですね(笑)」
資格を持っていれば将来的に結婚や出産で働く場所が変わっても仕事がある、非常勤講師という働き方で育児の時間もとりやすい、など家庭との両立を考えてもまさに「抜かりない選択」と彼女は言う。「海外で働く=英語力をつける」と思われがちだが、そこで得られるものは語学力だけじゃないということを体現している小山さんから、女性のライフプランの可能性の広がりを見出せそうだ。