「List4. 資格を活かして働く」 時代を生き抜く女のチカラ！ 30歳までにしたい10のシゴト
「自分の人生を生きたい」
あの時、諦めなかったから道ができました
YURIさん（30歳）
リラクゼーションサロン運営・セラピスト
専業主婦
10代の頃からフェイシャルエステのアルバイトを経験していたYURIさん。20歳で結婚・出産した後も、手に職を持って働きたいと考え、セラピストのスクールでタイ古式マッサージの資格を取得した。有名サロンでの勤務を経て現在は自宅で個人サロンを営む彼女のキャリア設計の軸とは――。
このまま一生が終わるのか…モヤモヤとした不安を感じた20代前半
「子どもが成長して、自分の手が離れたとき、私の手には何が残るだろう？もし夫と子どもを失ったら、私の人生はこのまま終わってしまうのでは……と不安に思ったんです」
30歳を迎えた今年、自宅を改装し個人サロンを始めたYURIさんは、20歳で結婚・出産をし、ふと自分の未来について考えたときのことをこう振り返る。育児が終わったとき、一人の女性として自立していたいと強く思ったYURIさんは、23歳で、昔から好きだったエステ・リラクゼーションの資格取得のためスクールに通うことに。出産後すぐにスクールに通い、働きたいとも考えたが、「子どもが３才になるまでは自分の手で育てたい」という素直な気持ちを優先させ、それまでは育児に専念。それが逆に勉強意欲をより高めたのかもしれない。
「10代の頃にアルバイトでフェイシャルエステをかじっていたのですが、そのとき勉強したノートなどを見返してみたら、『やっぱりこれがやりたい！』と思い、この業界に飛び込もうと決めました。当時は、保育園のお迎えなど時間も場所も制限がありましたからスクールを探すのも大変でしたね」
オリエンタルセラピストスクールに約２年間通ってライセンスを取得。業界に入ってからの方が、良いスクールや先生の情報などが得られるようになった経験から、「まずは飛び込むことが大事」とYURIさんは語る。
飛び込んで良かった、「自分の人生」を生きている実感
「独身時代とは違い、何でも自由にできるわけではないという、ある種“閉ざされた状況”になったからこそ、そこから抜け出そうと資格取得のために努力できたのだと思います。結婚も出産もせずになんとなく過ごしていたら、今ごろ、同じ道にいたかわからないですね（笑）」
業界でどんどん拡げた人脈で、リラクゼーションとカフェを融合させたサロンの立ち上げに関わったり、新しいリラクゼーション分野を学んだり、“手に職”を着実なものにしてきたYURIさん。現在の自宅サロンの形も自然とできていたものだという。インテリアや施術に使う機材は以前から趣味で持っていたものだ。来店したお客さまを出迎えるところから、カウンセリング、施術、すべてを通して癒しを与えるのがYURIさんの考えるリラクゼーション。「ありきたりかもしれないけど」と前置いて、「むすっとして来店されたお客さまが施術後に微笑みが出てきてお礼を言ってくださるのが嬉しい」とやりがいを教えてくれた。
「どの資格にも共通すると思いますが、資格を取ったからといってすぐに仕事にできるものでもないでしょう。接客や施術も実践を経て、自然とできるようになるもの。私だって自信を持てるようになったのは最近のことです。日々一生懸命やっていくうちに、今までの価値観はどんどん変わってきています。これからは、ヨガや心理学など、カウンセリングをメインとしたものにシフトしていきたいと考えているので、その勉強を始めたところです。10年前の自分は、今こんな夢を描くことになるなんて思っていなかったでしょうね（笑）」
20代で無理してでもがんばった経験が今のエネルギー
自分の軸を持って常に行動してきた彼女だが、悩みや迷いがなかったわけではないという。育児との両立で大変なとき、心配する周囲からは「辞めたら？」と言われたこともあった。それでも、「自分の人生を生きる」という思いを持ってここまでやってきた。
「30歳になった今、振り返ると『自宅サロンの開業がゴール』という確信はなかったけれど、20歳の頃に考えていたふわっとした目標はいつの間にかクリアしていた、という感じ。具体的な一つの目標はなくても、自分のやりたい方向に向かって進んでいけば、夢があとからついてくると実感しています。この10年間の経験があるから、今考えている目標は10年後にきっとクリアしているんだろうなって思えます」
20代のときにがむしゃらにやってきたことが身になっている。それが安心であり、その経験が自信とエネルギーになっている、というのが30歳を迎えた今の心境だそう。
「わたしにとって、常に過去の自分、未来の自分、今の自分を意識することは日常的なこと。それによって、今何をしたいのか、これから先は何をしたいのか、って考えるから『じゃあ今はこれをしよう』っていう行動をしてこれたのかも。葛藤して、悩んで、追い詰められて、そこから絞り出した答えこそが自分の答えだと思うから、悩むことも良かったと思います。『もうやだー！』って苦しんだことも、いつの間にか平気になっているものです（笑）」
持ち前の癒しの笑顔で10年後のキャリアを見据えるYURIさんの姿から、結婚・出産を経て自分の人生を謳歌する現代女性の在り方を学んだ。
