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1997年のミドルウエア開発当初、基幹システムはメインフレームで開発するのが常識とされていた。その常識を覆し、100%Java言語による基幹システム耐用ミドルウエアの開発に踏み切った技術者の肖像に迫る。



「何としてもオープン系システムによる大規模基幹システムを構築したい――。はじめは、そんな技術者としての野心からくる挑戦でした」

そう語るのは、フューチャーシステムコンサルティング・取締役副社長兼CTOの石橋国人氏だ。基幹システムといえばメインフレームが常識だった97年に、大手流通業の基幹システムをJava+オープン系で構築。業界内では画期的な開発と注目を集めた。





「当時、すでにオープン系システムが出てきてはいましたが、バグだらけというのが当たり前。ソースコードも提供されない。大事なシステムを構築しうる信頼がある技術だとは思われていませんでした。一方で、やがては基幹系もオープンになる時代が来ると実感していました。だからこそ、我々は挑戦したいと思ったのです」

ソースコードを持っていれば、バグや障害にもすぐ対応できるが、他社がつくった製品では、その会社が直してくれるのを待つしかない。顧客のためという観点から、必要に迫られた開発という側面もあった。

当初、石橋氏はアメリカ中を回り、オープンシステム構築に欠かせないTPモニターを探したが、適したものがなかった。そこでアメリカにある同社の技術子会社と協力し、自ら開発することを決断。

「オブジェクト指向がミドルウエア構築の概念として重要だと思っていたので、出たばかりのJavaをイチ早く採用しました。開発は困難と失敗の連続でしたが、やがて基幹システムをオープン系でつくりたいという画期的な百貨店が現れ、1997年に開発・導入に成功。サーバのスケールアウトやトラブル対応にも優れた大量リアルタイム処理を実現しました」

周りがやっていないからと尻込みしないで正解だった、と石橋氏は当時を振り返る。このような挑戦心と技術者としてのこだわりが、フューチャーシステムコンサルティングの強みの源泉なのだろう。





同社のミドルウエアは開発当初から今日まで常に進化を遂げている。2003年から開発を指揮している研究開発本部副本部長の渡辺豊氏に現在の方向性を語ってもらった。

「2003年に当社の強みとミドルウエアの意義をゼロベースで考え直し、その結果出てきたのが、スケールアウトを進化させるための自律分散という発想です。現状では、サーバ群は処理内容別に固定化されています、しかし、ビジネスの内容はどんどん変異し、そのつど人の手で設定するのでは限界があります。そこで、システム側が自律的にサーバの分散処理の最適化などを行なえば、パフォーマンスが上がり、なおかつ運用の手間も省けます。いわば全体がひとつの有機体のように対応していくシステムを目指しているのです」

もはや人工知能の領域だ。もっとも現状は地味なボトムアップのアプローチであり、最終的に生命体のようなシステムになるのはまだ先の話だという。

この最終目標に向かって、新たに取り組み始めたのが、軽量言語(いわゆるP言語群をはじめとした、高生産性を標榜するスクリプト言語)によるミドルウエアの再構築だ。

「軽量言語のなかでも、Rubyの簡潔性に着目。小規模な処理への適用に限られていたこのRubyで、あえて大規模かつミッションクリティカルなシステムのためのミドルウエアを構築してしまうという大胆な挑戦です」

現在、Rubyによるミドルウエア構築は渡辺氏のもとで働く若いエンジニアたちが推進中。石橋氏など同社の草創期を支えた人々の野心と技術者魂は、今もしっかりと息づいている。

チャレンジスピリットを若手が引き継ぎながら、フューチャーは唯一無二の独立系システムコンサルティングとして成長を続けているのだ。



同社が提供するシステムには、単にオープン系技術を適用するという枠を超えて、ビジネスシーンで必須となる要素に対して最適解を提供すべく、システムのポリシーとそれを実現するフレームワークがデザインされている

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