前ページで半田氏が語るように、技術は課題解決の手段でしかない。
では、アバナードではどんな方法論を用いて最新技術を「ソリューション」へと昇華しているのか。その独自の手法に迫る。
 


ビジネスの課題に対して、あらゆる解決策を提供できるほど豊富な品ぞろえを誇るMSの製品・サービス群。アバナードには、それらの幅広いソリューションをグローバルに展開してきた実績がある。

ただし、海外事例といってもそのまま日本で展開できるものばかりではない。アクセンチュアから日本法人創業メンバーのひとりに加わった和田玄氏は語る。

「マイクロソフトの製品戦略を意識し、日本市場で求められているもの、展開可能なものに絞り込む。こうして選ばれたのが半田の挙げた5つの領域です」

これら5つの技術分野を駆使して、アバナードは日本のIT業界にどんなインパクトを与えようとしているのか?

「マイクロソフトのプラットフォームをもっと活かせないか?――創業1年目の2006年は、そんなユーザー企業の声を実に多く聞きました。市場は頼りになる『作り手』を待っていたんです」

企業が求めているのはMS製品の「導入」ではない。生産性の向上や事業の成長に直結する「使い方」である。

「CRMにせよBIにせよ、グローバルでの導入事例の蓄積による業務ごとのテンプレートがあるので、低コストでベストプラクティスを提供できます。ただ、それらをさらに“日本仕様”にしていくために我々が存在する。運用しながらチューニングしていく、根本的な業務の設計からコンサルティングしていくなど、マイクロソフトテクノロジーを日本のビジネスに適した形にアレンジすることがアバナードの役割なのです」

「ACM」メソッドを展開

こうした信念のもと、アバナードはマイクロソフトの開発プロセス(MSF)を拡張した「ACM(Avanade Connected Methodology)」という方法論を構築。.NETをベースにした実行アーキテクチャ「ACA.NET」を開発するなど、アバナード独自のソリューションを提供していく素地を固めてきた。

同時に、社内におけるナレッジ共有の仕組みづくりにも力を注いでいる。MS製品にβ版以前から触れることができ、MS技術の最高峰ともいえるエンジニアたちとグローバルに交流できるWebコミュニティを製品・サービス分野ごとに数100種類も取りそろえているという。

「マイクロソフトにもっとも近いSIerとして、市場で未発表のマイクロソフト製品をパイロット導入するなど、前例のないチャレンジも行っています。マイクロソフトの技術そのものを刷新し、進化させていくことも我々の役目。エンジニアにとっては刺激的な仕事と環境があると自負しています」
 
 


よくJavaと比較される.NET。その第一人者であり、Microsoft MVPの福井厚氏にその優位性を聞いた。
「まず開発環境として、すべてがマイクロソフト1社で作られているという整合性の高さ、そして、高度なクラスライブラリが提供されていることによる生産性の高さがJavaに対する優位性です」

.NETは共通言語フレームワークであり、Javaのように単独の開発言語ではない。VB、C#からCOBOLまで、多くの言語で記述できるため、さまざまなバックボーンを持ったエンジニアが活用できるというのが利点だ。

トレーニングに要する工数も少なく、開発者にもユーザー企業にもやさしい。さらに『Windows Vista』と同時期に提供される『.NET Framework 3.0』では、旧バージョンと比べてよりリッチなユーザーインタフェース、統一された分散コミュニケーション、高度なワークフローエンジンなどの機能が提供され、開発利便性が格段に向上。高機能なアプリケーションの構築を省力化できる。

「高度な企業システムを開発しやすくなるというだけでなく、.NETのパフォーマンスも魅力です。さらにアバナードでは『ACA.NET』という高機能なフレームワークや、チーム開発プロセスを強力にサポートする『ACAライフサイクル』も提供しています。.NETを極めるための最高のノウハウがあるといえるでしょう」



社内ポータルやワークフロー、メッセンジャーといったグループウエアの進化形である『Enterprise Collaboration』。コミュニケーションや情報共有のインフラであるだけでなく、ナレッジマネジメントを通して生産性向上、課題解決に貢献する。

具体的には、コミュニケーション面では『Microsoft Exchange Server』で基盤を構築。『Microsoft Office SharePoint Portal Server』を用いてナレッジマネジメント面でのソリューションを展開する。これにより、たとえばクライアント側にExcelクライアントがインストールされていなくても、ブラウザだけでサーバー側のExcelデータが見られるなど、リッチクライアントに近い機能を実現している。

競合製品は数々あるが、企業ユースではWindows環境が圧倒的とあって、親和性によるメリットには胸を張る。

「他のMS製品ともシームレスで連携しており、ユーザフレンドリー性、安定性、コストの点など、トータルで大きなメリットがあります」(前田育彦氏)

また旧バージョンの『SharePoint Portal Server 2003』では、セキュリティ強化、開発基盤提供などを目的とし、アバナードでは「ACA.Portal」という独自フレームワークを提供している。

「アバナードの持つ技術力の証だと思います。世界に約40人しかいないMCA(Microsoft Certified Architect)のうち11人はアバナードから出ているんですよ」

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