電波は周波数が高くなると光に近づき、直進性が高くなる。そのため情報をまっすぐ伝達するには好都合だが、ビルや建物など遮蔽物の多い場所での通信には適さない要因ともなる。つまり、どの規格のムセン技術をどの帯域で使うかにより実現化に適したサービスが決まるのだ。また、電波の使用には総務省からの免許も関わるため、どの事業者がどの帯域で免許を受けているかといった業界構造にも目を向けるといっそう理解が深まるだろう。 |
2007年7月。18日から20日の3日間にわたって、ワイヤレス&モバイル市場におけるビジネスコンベンション「ワイヤレスジャパン2007」が開催された。来場者数はのべ3万6000人を越え、出展企業も100社以上と、モバイルブロードバンドへの世間の関心の高さと業界の隆盛がうかがえる形となった。 かつてないスピードで進化を遂げるモバイル通信業界は、転職を考える技術者にとって魅力ある選択肢の1つだ。その業界で自分が働くことを視野に入れたとき、数ある規格がひしめく現在の通信業界をどう紐解けばいいのだろうか。 上に示す図は、現在注目されている無線通信規格を電波の帯域とサービスの特性とを軸にとって表したもの。次ページからの個々の技術解説に移る前に、 2007年のムセン業界を学ぶうえで欠かせない視点について整理しておこう。 なかでも、ここ数年のムセン業界を語るうえで欠かせないのが周波数の再編。日本では300万MHz以下の周波数の電磁波を電波とし、電波法に基づいて総務省が管轄している。そのため事業を営むには免許が必要な帯域があり、特に2007年の2.5GHz帯割り当ては各社の動向に注目したいところだ。一方、2.4GHz のWiFiやZigBeeのように免許を必要としない規格は、通信事業者以外のメーカー(例:任天堂による『ニンテンドーDS』へのWiFi搭載)やベンチャー企業でもビジネスへの参入と展開が見込める。通信技術自体よりもその応用方法に注力したいならこうした分野でサービスの展開に携わるのもテだ。 |
2.5GHz帯 広帯域無線アクセス 周波数認定申請をめぐって 2.5GHz帯の免許は、モバイルブロードバンドの実現に適した帯域であることから、どの企業も喉から手が出るほど欲しい状況。しかし以下に示す総務省の方針により、その動向を読むのは難しい。 ● 免許割り当ては最大2社 最大で2社の申請団体に対し、30MHzずつ割り当てることが示されている。枠が限られるだけに各社の息は荒い ● 既存3G事業者は除外 新規参入の促進を図ることが目的のため、既存の第3世代携帯電話事業者およびその親子・兄弟会社も単独での申請は不可能。ただし出資比率合計が3分の1以下のグループ企業であれば申請が可能だ ● 免許割り当て事業者の義務 免許が交付された事業者には、総務省の指針に従って基地局の設置数増加など順次サービスを展開する義務がある。新規参入時業者に免許が交付された場合、事業展開の資金力が懸念される |
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