「世界のエネルギー問題最前線で働く」それこそが大きな醍醐味
庄司圭宏 氏(36歳)
株式会社東芝 原子力事業部 原子力プラント設計部 プラント計画担当 主務 大学卒業後、1996年に建築事務所へ就職。 一級建築士の資格を取得し、在日米軍などの 施設を担当したことをきっかけに、専門建築会社へ移る。 2007年6月に東芝へ転職 「在日米軍向け施設を手掛ける仕事に就いたのは、語学力を磨いてグローバルなプロジェクトに参画したいと考えたからです。東芝転職前に、ウェスチングハウス社をグループ会社化したというニュースを聞き、東芝でならグローバルなエネルギービジネスで活躍できるのではないかと思ったのです」 現職では、安全と信頼を実現する品質を最優先に進められる設計プロセスに確かな手応えを感じていると話す。 「これまでのキャリアを通して実感しているのは、どんな施設も用途に応じてロケーションや機能性を重視して設計していく必要があるということ。そういう思想やポリシーはそのまま原子力発電施設にも活かせると思います」 現在、庄司氏が手掛けている案件は、海外からのオファーによるもの。世界規模で原子力発電への需要が大きく高まっていることを肌で感じているようだ。 「原子力エンジニアリングという言葉をキーワードに、海外のさまざまな関係者と理解・共感しながらプロジェクトを進めていくことが求められます。そのためにも当社の優位性や独自性をしっかり身に付け、PRしていきたいですね」 世界規模で広がる地球温暖化防止とエネルギー資源保護への動き――。その解決策の一つとして需要が高まる原子力発電の最前線で、優れたスペシャリストが今、活躍の時を迎えつつある。 Make use of my skill一般住宅から公共施設、在日米軍向け施設などの設計や建築を手掛けてきたキャリアで身に付けたのは、多くの関係者との調整や交渉、それに用途に沿った建築物を実現するスキル。中でも特定の用途に供される施設、設備には高い機能性を盛り込んでいかなければいけない。発注主の要望やニーズを踏まえながら性能や機能にも配慮したモノづくりのスキルを磨いていくことができた 現在は海外からのオファーによる案件の基本設計を担当。世界規模で原子力発電への需要が高まっていることを、肌で実感する毎日だという。最優先事項は「安全と信頼性」を支える高い品質。これまでのエンジニアとしての高い専門性にさらに磨きをかけるとともに、エンジニアとしての幅を広げ、海外の技術者たちとも、理念とビジョンを共有できるスキルを身に付けることが目標だ スケールの大きなプロジェクトで幅広いスキルが身に付く
薬師寺勇一 氏(36歳)
三菱重工業株式会社 原動機事業本部 制御システム技術部 開発グループ 大学卒業後、1998年に電子機器メーカー入社。 基板設計を手掛け、製造・生産部門との連携も担当。 約7年在籍した後、受託開発専門のフリーエンジニアに転身。 2007年7月に三菱重工業へ転職 「もちろん発電機用の制御システムは未経験。他社候補は電機メーカーでしたが、特定の機器の回路設計やFPGAなど、担当できる業務範囲が一部分という点が引っ掛かった。自分が望めばシステム全体のあれもこれも手掛けられるというところに強く惹かれましたね」 基板設計を極めるよりも若いうちにキャリアの幅を広げたい――。同社の原動機事業本部はそのビジョンを実現できる理想的な環境と考えたのだ。 「入社してからは設計開発の前工程でドキュメント作りを進めています。このプロセスを経験していくことも、間もなく始まる本格的な設計開発の全体像を把握する上で、すごく学ぶことが多いですね」 毎日が自己啓発の連続という薬師寺氏だが、その分だけ知識もスキルが向上している確かな手応えを感じている。 「いろいろなバッググラウンドを持って入社してきたスタッフも多く、メンバー全員が2011年を目指してできることは何でもやっていこうと意欲的。そんな雰囲気も大きな刺激になっています」 世界でも最高レベルというヨーロッパの安全基準を満たし、次世代の主流となる制御システムの設計開発を担う――。今、薬師寺氏は日々の業務を通して経験したことすべてを柔軟に吸収しながら、社会的意義の大きいプロジェクトを通して、ワンランク上のエンジニアとして成長していくことを目標にしている。 Make use of my skill電子機器メーカー時代は、基板設計を専門に担当。製造・生産との連携も手掛けたことで、基板だけでなく仕様設計から量産に至るまでのプロセスも知識として蓄積。その後、フリーのエンジニアとして、電子機器向けだけでなく幅広い製品向けの基板設計を経験。モノづくり全体のプロセスと、幅広い用途へ向けた設計開発のニーズの双方に関するスキルを身に付けてきたことが強みになった 今は本格的な設計開発に取り掛かる前の工程で、ドキュメンテーション作りを担当。世界でも最も厳しいヨーロッパの安全基準を満たすためのスペック作りに挑戦中だ。これまで世界中の発電所で活用され、高い評価を獲得してきた制御システム『DIASYS』の全体像を把握する上で、前職までに身に付けたスキルが役立っている。電気工学に関する知識とスキルアップが今後の課題だ 「モノづくり」への高い意識が学べる刺激的な職場環境です
灘隆志 氏(27歳)
三菱電機株式会社 回転機製造部 タービン発電機設計第一課 大学卒業後、2003年4月から派遣会社を通じて 産業用機械メーカーに勤める。 プラスチック加工機器の設計開発などを担当した後、 2007年2月に三菱電機へ転職する 「デジタル家電や携帯電話の設計開発を手掛ける友人もいたのですが、意匠やデザインが重視されるモノではなく、成熟した技術力が活用されている分野でスキルアップしたいと思いました」 現在、灘氏が習得しているのは、電気に関する知識と技術。同社には、豊富な経験を持つ先輩エンジニアから、吸収できる環境が整っているようだ。 「当社のすごいところは、モノづくりに関して電気や振動の抑制など、きめ細かな技術のスペシャリストが多数いること。それも数十年にわたって蓄積、継承されてきていることです」 。発電機は耐用年数に応じて20年後、30年後に大規模なメンテナンスが施される。自身が肝に銘じているのは「その時に恥をかかないような仕事をしろ」というベテランの言葉だ。 「我々が手掛けている製品はこの先、何十年も残っていくもの。そう考えると手順やプロセスがすごく厳格に決まっていることが深く納得できるんです」 。 灘氏は、発電設備作りの全体を俯瞰できる調達や手配も一部担当している。目指すは、発電設備のどの部分でも自分自身の名を残せるキャリアと実績を積んだプロフェッショナルだ。 Make use of my skill派遣会社を通してキャリアをスタートしたのが産業用機械メーカー。ここで経験したプラスチック加工機の設計開発を通して、産業用の工作機械がキャリアアップに役立つと考えた。機構設計や構造設計のプロセスを身に付けることができたのは、自分自身にとって確かな財産、スキルになった。キャリアの幅を広げるには機構や構造に加えて電気、電子に関する知識やスキルが必要と痛感した ステーターコイルの生産設計を通して学んだのは、1つのモノづくりに複数の専門的な知識や技術が必須ということ。発電機に巻きつけるステーターコイルは電気や振動、熱などの影響をどう考慮するかが課題。それぞれのスペシャリストたちの意見やアイデアを取り入れ、優れた製品作りに活かしていくというプロセスを通して、確実にスキルが磨かれているという実感があるという < <PAGE BACK【「電力システム」の裏側を知る】 ---「エネルギー事情がキーワード?“重電企業へ転職すべき”のワケ」
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