通信業界のリーディングカンパニーが新サービスを続々開始!日本を変えるモバイル技術最前線
通信業界の中でも技術革新のスピードが最も速いといえるモバイル分野では、ビジネスシーンや日々の生活に大きなインパクトをもたらす、新たなサービスが続々と誕生している。最先端の技術を駆使し、社会的影響力も大きいビジネスは、エンジニアが力を発揮する場としても非常に刺激的なフィールドの一つ。その最前線に着目してみよう。
Word/TOSHINORI TAKEDA(GURETAKE).CHIHIRO FUKUI(E-type) Photo/TAKASHI TOGAWA
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中島由弘氏
株式会社インプレスR&D 取締役
ユーザーの“もっと便利に”に応えるコンテンツが求められている
一方、携帯電話契約件数(PHS契約件数含む)も、2008年2月現在で、すでに約1億600万件(電気通信事業者協会)に及んでおり、国内成人人口を上回る普及数を見せている。 音声通話のみならず、携帯メールやWeb閲覧、音楽をはじめとしたコンテンツ配信サービスなどの利用者数増加に伴って、無線回線においても固定回線並みの利便性やブロードバンド化を望む声が高まっている状況だ。 インフラ拡充が新市場創出のカギ「既存の高速通信技術の普及と、その先にあるモバイルWiMAXや次世代PHSなどの広帯域サービスの登場によって、リッチコンテンツの流通も進み、利用者数は大きく伸びるでしょう」そう話すのはインターネットメディア総合研究所所長の中島由弘氏だ。ただ、こうした新技術が一般に普及するにはいくつかの克服すべき前提条件があるという。「通信データが通る“土管”が太くなるだけでは、ユーザーにはまだまだ使いにくい。望まれているのは簡単な設定で、いつでもどこでもつながるサービス。ニーズに応じた端末の提供と、通信事業者による迅速なインフラ整備が必須」だからだ。しかし、こうした前提が克服され、普及が進んだ暁には、ユーザーの利用形態も大きく変わるだろうと予測する。 「顧客情報の流出防止を理由に、従業員によるノートPC持ち出しを制限する企業は多いが、端末内にデータを持たず、サーバ内のデータを直接利用するシンクライアント型の利用であればセキュリティ面のリスクは避けられる。これも無線回線の高速化による恩恵の一例です」 さらに国内外の展示会などでは、車載機器をはじめとした、新しい端末の開発や利用法も提案されつつある。広帯域化を前提としたインフラの拡充が、新市場開拓の鍵になるようだ。 モバイル事業参入で注目されるIIJ
時田一広氏
株式会社インターネットイニシアティブ 取締役
付加価値を創出・提供しモバイルをもっと使いやすくする
「IIJは、これまでに大手企業や官公庁など、国内6500社に及ぶ法人顧客に対して総合的なネットワークサービスを提供してきました。高速モバイルサービスへの対応は、こうした企業からのニーズを汲んだものです」 IIJで取締役を務める時田一広氏は、「IIJモバイル」サービス拡充の背景をこう説明する。 「MVNO事業参入で活用できるようになった無線ブロードバンドネットワークと、我々の持つ既存のインフラ資産、さらに端末認証技術やアクセス制御などのセキュリティ技術を組み合わせ、セキュアなモバイル環境をIIJブランドで提供することを目的にしています」 従来からインターネット接続やセキュリティ対策、システムのアウトソーシングを法人向けに提供してきたが、今回のモバイル事業参入によって新たな領域に踏み込んだIIJ。果たしてどのような将来像を描いているのだろうか? 「エラー処理の多さなど、無線特有の現象に対応すべく、社内でも研究開発を重ねてきました。今後は技術に磨きをかけ、固定回線で確立したセキュリティ技術や回線品質をモバイル分野でも提供していきたい。将来的にはモバイルWANやM2Mなども含めた幅広い領域でのサービス提供や、次世代通信技術への対応も視野にサービス展開を図っていくことになるでしょう」 インターネット分野における老舗ブランドとして培った信頼をモバイル分野でどう発展させるか。IIJの挑戦はこれからも続く。 NEXT PAGE > >【日本を変えるモバイル技術最前線】 ---「NTTドコモ/ウィルコム」
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