通信業界のリーディングカンパニーが新サービスを続々開始!日本を変えるモバイル技術最前線
通信業界の中でも技術革新のスピードが最も速いといえるモバイル分野では、ビジネスシーンや日々の生活に大きなインパクトをもたらす、新たなサービスが続々と誕生している。最先端の技術を駆使し、社会的影響力も大きいビジネスは、エンジニアが力を発揮する場としても非常に刺激的なフィールドの一つ。その最前線に着目してみよう。
Word/TOSHINORI TAKEDA(GURETAKE).CHIHIRO FUKUI(E-type) Photo/TAKASHI TOGAWA
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不測の事態にも迅速な対応が可能
岡峰 正氏
株式会社NTTドコモ 研究開発本部
スマートフォンの利用企業にさらなる利便性と安心・安全を提供
特長はリモートロック機能をはじめ、未許可アプリの定期監視機能や各種デバイス制御、またメール設定やアプリケーションの配信機能なども盛り込み、情報漏えい問題に関心の高い企業のニーズを汲んだ仕様となっている。今後は法人向けに試用トライアルを行い、法人市場に求められるサービスや機能の把握と、正式サービス提供についての検討を行う。 この携帯電話管理システムに携わるサービス&ソリューション開発部の岡峰正氏は開発の背景をこう語る。 「情報漏えい問題が注目されている今、ノートPCの持ち出し制限といった策を取る企業も増えています。しかし、携帯電話などは外に持ち出すことが前提の端末です。不測の事態の際、いかにリスクヘッジできるかを考え、安全に使えるソリューションとしてこのサービスを開発しました」 例えば、ユーザーが端末をどこかに置き忘れても、管理権限者がブラウザを介してASPにアクセスし、迅速に端末にロックを掛けることができる。また、社内で定めたセキュリティポリシーに準じ、カメラ機能やPCからのデータ転送、保存を制限したり、部門や拠点ごとに端末の設定を変えて運用することも可能。自在に複数端末の一括管理が行えるようになるのだ。 「新たな設備投資もいらず、管理者が容易に使えるシステムになっています。企業の業種や業態に応じて自由なカスタマイズが可能ですから多くのお客様にご利用いただけるのではないでしょうか」 セキュリティが強化されたモバイル向けOS『Windows Mobile 6』を搭載した端末である『F1100』に対応しており、またドコモが提供するインターネットへの接続サービス、無線LANなど、接続形態を問わずに管理できることもこのサービスの強みだ。 「本サービスには、ドコモの研究開発のノウハウがたくさん詰まっています。機能性と安全性を兼ね備えたトータルなシステムとして、新たな利用シーンを提案していきたいですね」 次世代PHSがついに実現へ
黒澤 泉氏
株式会社ウィルコム 執行役員
日本発の次世代PHS規格で高速無線通信の覇権を狙う
「免許を取得したことにより、日本発のモバイル・ブロードバンド技術である次世代PHSがいよいよ動き出します。試験サービスは2009年の4月、本格的なサービス開始は10月の予定です」 ウィルコムの執行役員を務める黒澤泉氏は目を輝かせる。 「もともとPHSにはアクセスが集中しても通信速度が落ちにくいという特性があります。その上、20Mbpsという速度も実証済み。来年には速度低下を最小限に抑えた固定回線並みのモバイル通信が現実のものになるでしょう」 また、現行のPHS基地局は全国で16万局。これらのインフラを活かしつつ展開できるのも強みだ。 「次世代PHSでも利用されるマイクロセル方式ネットワークは、基地局設置が携帯電話などよりも容易で、アクセス需要の多い地域に基地局を密度濃く設置することができる。次世代の無線ブロードバンド技術としては最適と考えます」 事業開始から4年で利用可能エリアを93.6%に拡大。利用者は2015年度末までに390万加入を目指す。 「次世代PHSに必要なスマートアンテナ、自律分散制御といった技術は、すでに現行のPHSにも活かされているもの。これにOFDMA(直交周波数分割多元接続)やMIMO(Multiple Input, Multiple Output)を実装することによって、サービス開始を現実のものにしたい」 課金や認証系、既存システムとの共存など課題も多いが、めどは付いていると黒澤氏。日本発のモバイル・ブロードバンドの実現は目前まで迫っている。 < <PAGE BACK【日本を変えるモバイル技術最前線】 ---「インプレスR&D/インターネットイニシアティブ」
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