約2年間の「現場離脱」は本当に役立つのか!?検証!!  

MBA取得者たちの「仕事の変化」「キャリアの変化」

キャリアに大きな転機をもたらすMBA。しかし、取得者が飛躍的に増えた結果、一部では「MBAを持っているだけの人は使えない」という評価を受けているのも事実。そこで、現在第一線で活躍している若手MBAホルダーたちに、取得後の仕事ぶりがどう変わったのかを聞いた。 《2004年8月号より抜粋》

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学んだのは意思決定力の大事さ。MBA取得は「長い目で見て絶対プラス」
 
株式会社グロービス・キャピタル・ パートナーズ シニア・アソシエイト
山中 礼二氏 (31歳)

1995年に一橋大学卒業後、大手電機メーカーに入社。新規事業企画やベンチャー企業との提携構築などに携わる。00年2月グロービスに転職し、01年秋、米国ハーバード大学ビジネススクールに留学。03年6月にMBA取得後、会社に復帰し現在に至る
 
 
 理論先行のMBAを学ぶよりも、現場で経験を積んだ方が実力はつく――そんな先入観を持つ人は少なくない。しかし、一流のビジネススクールがケーススタディに力を入れるのは、現場の大切さを熟知すればこそ、だ。

「MBA留学をして一番良かったと思うのは、ビジネスでは答えのない状況で意思決定する力こそが大事なのだと学べたことです」

そう語るのは、グロービス・キャピタル・パートナーズでベンチャー投資事業に携わる山中礼二氏だ。

新卒入社した大手電機メーカーで、ベンチャー企業とのアライアンス交渉や新規事業企画を担当していた山中氏。99年に会社の要請で米国のベンチャーキャピタリスト育成プログラムに参加したのを機に、ベンチャー投資の世界に本格的に興味を持つようになった。

プログラムで出会った起業家の卵たちは、「打倒マイクロソフト」、「打倒サン・マイクロシステムズ」を目指して本気でビジネスをしていた。それまで「一般的な大企業戦士だった」山中氏にとって、彼らの情熱は自身のビジネス観を変えるほど強烈なものだったという。

刺激的な米国研修から約1年後、本格的なベンチャーキャピタリスト(VC)を目指してグロービスに転職。ベンチャー投資業務に携わっていく中で、経営理論を体系的に学ぶ必要性を感じ、休職してMBA留学を決意する。留学先には、豊富なケーススタディを通じて「考える力」を鍛えることで有名だったハーバード・ビジネス・スクールを選んだ。

仕事の幅を広げるために必要なものに気づかせてくれた

約2年間の留学では、600から700(!!)ものケーススタディを通じて、「自分が経営者だったらどう意思決定するか」を嫌というほど訓練した。そこで気づいたのは、いくら理論武装しても現場では通用しないという逆説的な事実。それゆえ、夏休みを利用して現地のVCを訪問するなどして、現場感覚を養う努力も欠かさなかった。

「彼らの仕事を分析していく中で、起業家にVCの価値を理解してもらうには高度なコミュニケーション力が欠かせないと学びました。これは理論では補えない部分だけに、帰国後は率先して営業に出るよう心掛けました」

こうして視野を広げるきっかけになることこそが、MBA取得のメリットだという。また、
「投資前の分析作業に終始していた留学前に比べると、帰国後は顧客の経営陣をサポートするビジネスパートナー的な仕事も手掛けられるようになった」

とも話す。不完全な情報しかない中で自分なりに意思決定を行うトレーニングを積んだことで、自分の考えを表現することに自信が持てるようになったからだ。

「帰国後は、同期が現場で経験を積んですごく成長していたのを見て、『出遅れた』と感じたこともありました」 

山中氏はそう打ち明ける。とはいえ、MBAで意思決定のトレーニングをし、経営のために必要なスキルを棚卸しした経験は、「長期的に自分を支えてくれる」と山中氏は確信している。

「短期的な成長を目標にするならば、現場でスキルを鍛える方が無難かもしれません。しかし将来的なキャリア構築を考えた場合、包括的な経営理論を体得し、かつ仕事の幅を広げる上で必要なことに気づけたという意味では、得がたい体験だった


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