先輩転職者が語る  

私の入社3カ月の壁突破法

転職3カ月後にクビになった……。こんな人が実際に増えている。試用期間の評価が厳しくなった昨今の転職において、最初の3カ月はまさに勝負のとき。この時期にどう振る舞うかで、大きく評価が分かれてしまうのだ。果たして、賢い転職後の過ごし方とは? 《2004年12月号より抜粋》

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Part1 ? 自分が何者かを社内に宣伝 信頼を獲得して仕事術を自ら学ぶ
 
株式会社ワークスアプリケーションズ 営業本部 販売促進
大久保 貴史
74年生まれ。大学卒業後、繊維系商社へ入社。大手流通企業を対象にルートセールスを経験後、03年7月ワークスアプリケーションズへ転職。(ワークスアプリケーションズでは通年の募集を行っております)。
 
ルートセールスから新規顧客開拓業務へと、同じ営業職でありながら畑違いの職種へ転職した大久保貴史氏。

そんな状況の変化にもかかわらず、入社後わずか1年あまりで社内外から厚い信頼を集めている。その秘訣は「自分が何者か」を伝えることにあったという。「大変なところに来ちゃったな」、転職初日の感想だ。

「前職では、お客様の特徴はすべて前任者が教えてくれていましたから、自分で『はじめまして』から始める新規顧客開拓にはハードルがありました」と振り返るが、その甘さを振り払ったのは彼自身の努力に他ならない。お客様に受け入れられるスキルを、社内の仲間から積極的に吸収していったのだ。

入社1?2カ月目は仕事を会得するため、そして新しい職場に受け入れてもらうために、積極的に社内を回って話をしたという。
「話をしに行くネタはいろいろです。仕事上でわからないことを聞きに行ったり、アイデアを相談しに行ったことや仕事上の考え方を議論したこと、単にお酒を飲みに行ったこともあります。とにかく社内のいたる所を巡り、私自身が何者であるかを理解してもらい、同時に皆さんのことを理解するように努めました」

彼が話した内容は何も特別なことではなかったという。

自分が「これまで何をしてきて」、「今、何を考え」、「どんなものが好きで」、といった内容だ。そこには謙遜も傲慢もなく、ただありのままの大久保貴史があるだけだった。 新しい職場で自分を理解してもらいたい、そして新しい仕事を知りたいという強い気持ちが行動となって表れた結果、転職直後の壁もみごと突破。

「新しい職場で信頼を勝ち取るには自分で努力しなければなりません。入社3カ月目まではその準備期間です。常にコミュニケーションを心がけ、先輩社員の協力を得ながら、自分なりのスキルを磨いていけば、必ず壁は乗り越えられると思います」


Part2 ? 転職直後は自分が得意な仕事でもいいアウトプットを出そうと焦らない
 
株式会社シニアコミュニケーション コンサルティング事業部
井堀良祐
96年、大学卒業後、銀行に入行。その後、大学院で経済学修士課程を修め、調査会社に入社。03年、シニアコミュニケーションへ転職。
 
調査会社からシニア向けのコンサルティングを展開するシニアコミュニケーションに転職。入社1年でプロジェクトマネージャーに昇進したのが井堀良祐氏だ。 昨年の9月、入社するとすぐに、調査会社および大学院で修めた統計・調査スキルをアピールするには格好の仕事を割り振られた。その仕事は「実践的シニアビジネス研究会」。クライアント15社とともにシニアの「夫婦関係」や「親子関係」をテーマに、同社のマスターという会員組織にアンケート調査を実施、その結果を分析するというものだ。

井堀氏のこれまでのスキルが即座に生きる仕事のはずだが、いざ取り掛かってみると試行錯誤の連続だったという。
「調査会社ではデータを取ることが主目的。一方コンサルティング会社の調査は、まず結論となる仮説を立ててストーリーを組み立てる。アンケート調査はそのストーリーを検証するための資料という位置づけです。このギャップに、最初はかなり戸惑いました」

アンケートの設計が違う、質問が違う、ロジックが甘い、と上司に指摘され、6回も7回も報告書を突き返された。「そもそもシニア世代の基本的な知識も足りなかった」という。シニア関連の本や会社にある過去の調査レポートを隅から隅まで読みまくった。

「我を通して統計的な分析に力を入れてもダメなので、結論の仮説およびストーリー作りに注力したのが功を奏しました」
こうして同社の調査の方法論に順応していった。コンサルタントになると、今度は調査から導き出した結論の質の高さが認められた。

「転職直後は自分の専門の仕事でも、いいアウトプットを出そうと意識し過ぎるのはよくないかもしれません。それよりも、まず自分に求められている役割をよく理解すること。自分が考える役割と会社が考える役割が違うこともある。そこを考えていくと、転職3カ月の壁をうまく越えやすいと思います」


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