国内企業の“外資化”進む!!  

変わる28歳の「転職先」選び

日本企業が終身雇用に終わりを告げ、人材流動化を本格化させている現在、これまで会社が提供してくれた「安定」は望めない。国内・外資を問わず、「変化」を前提とした経営が行われ、働く社員も会社という箱を使って、時には転職を決断して、「自分で変化する」ことが求められる。いま28歳の転職先選びは、「安定志向」への決別を迫られている。 《2005年3月号より抜粋》

>>  今週の新着求人を見る  <<

   
佐藤康之
(29歳・仮名)
佐藤康之氏(29歳・仮名)は、その日、ある人材コンサルタントと会っていた。それまで、数件の紹介案件(求人)を提示されたが、どれも「飛びつくようなネタではなかった」。

現在勤めているのは、中堅ITベンダー。「国内の名だたる大企業が中途採用を増やしている現状で、あえてリスクを取ることはない」という。

しかし、この日は違った。案件が、「大手外資系メーカーの法人営業」と、「国内電機メーカーのソリューション営業」だったのだ。いずれも、現在の会社より、明らかに有名な企業。前者は年俸制だが50万円UPを提示され、会社の成長性も申し分ない。後者は、年収が変わらず、最近業績は回復してきているものの、依然として厳しい状況。だが、佐藤氏は後者の国内大手企業を選択した。

「やはり日系大手企業は安定している。成果主義といっても、格差はさほど激しくない。この現状は当分変わらない」

――本当に佐藤氏が言う通りだろうか。企業が採用活動を活発化し、転職者有利の「売り手市場」とはいえ、安易な「安定志向」に陥ってはいまいか。佐藤氏を担当したキャリアコンサルタントは、「佐藤氏に限らず、いま多くの求職者が、『安定している』という点から、国内企業、特に大企業を志向する傾向にあります」と証言する。

――本当にそうだろうか。そもそも、国内企業、外資系企業に限らず、企業から保証される「安定」など、あり得るのだろうか。この前提が崩れ去ったとしたら、何を基準に「転職先選び」をしていけば良いのだろうか。以下、検証していく。

安定志向のビジネスパーソンが増加している。国内企業と外資系企業のどちらを転職先として選択するかとの質問に対し、外資系企業37.4%、国内企業62.6%という結果が出た。

では、なぜ日本企業を志向するのか。

日本企業支持者が重視する項目のトップ3に「仕事内容」「給与・待遇」と並んで「会社の安定性」がランクインしている。これに対し外資系企業支持者が重視するトップ3は「仕事内容」「給与・待遇」「会社の成長性・将来性」。日本企業支持者の安定志向ぶりが突出している。

グローバル競争時代突入で日本企業は”外資”に近づく

つまり、多くのビジネスマンは外資系に比べて日本企業は安定していると考えているわけだが、実際にそうだろうか。現実の日本企業はそうした認識からはほど遠くなり、し烈なグローバル競争下で生き残るために、限りなく”外資基準”に近づいているのが実態だ。 「会社の安定性」というと思い浮かぶのは、「倒産リスクが少ない」「雇用の安定」「賃金の安定」の3つ。倒産リスクに関しては、90年代以降の大型倒産ラッシュに続き、近年のカネボウ、ダイエーなどの日本企業をはじめ、外資・国内企業に限らず共通して発生している現象だ。まさか日本企業だけが”聖域”と考える人は少ないだろう。

倒産はしないまでも、いつM&A(買収・合併)や企業の事業再編の矢面に立つかもしれないというリスクも抱えている。かつて外資系企業の専売特許だった合併や買収劇は国内でも急増。2004年のM&A件数は2211件と前年比28%増の史上最高を記録した。たとえば、今年4月に合併予定の山之内製薬と藤沢薬品や、10月に合併予定の大日本製薬と住友製薬のように大企業も決して例外ではない。企業にとって合併の最大の効果は、「重複する事業部門の整理と縮小による効率化であるが、目に見える最大のメリットは人員の削減による利益」(大手精密機器メーカー執行役員)にある。会社は存続しても、雇用が守られる保証はない。


Page 1 / 2

typeのおすすめサービス

サイトでは検索できない非公開求人をキャリアアドバイザーがご紹介。さらに、職務経歴書の書き方や、受かる面接のコツなど、転職ノウハウを伝授!
情報を登録しておくだけで、あなたに興味を持った企業の採用担当者から直接スカウトが届きます。
正社員で成長したい女性のための転職サイト!
「女性管理職がいる」、「働くママ歓迎」など、女性ならではのこだわり条件から求人を検索できる!