国内系から外資系、外資系から国内系へ転職
先輩転職者に学ぶキャリアの選択基準 |
《2005年3月号より抜粋》 |
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■外資系企業 → 国内企業 |
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高収入を棄て選んだのは柔軟な組織、勉強できる環境 新卒の時は、最初に就職する会社でずっと働き続けようとは考えていなかった。理由は、「まだ自分自身のライフプランが定まっていないうちに、会社に人生を預けるのがもったいなく感じた」からだ。 そこで中田雅己氏は、外資系のコンサルティング会社を選んだ。すべてのビジネスの土台となる知識が得られると考えたためだ。もちろん、実力主義や風通しの良さ、成果に見合った報酬が得られるイメージも魅力だった。配属は、企業の組織や人事の変革をサポートするグループ。ここでキャリアを積むうち、自分が将来やりたいことの輪郭が、次第にはっきりしてきたという。 「当初は、B toCのビジネスモデルであるサービス業。中でも、外食産業やホテル、エンターテインメント業界に魅力を感じていました」と、中田氏。人材紹介会社に登録するなど転職活動を始めたのは、入社3年目くらいから。30歳になる前に、次の一歩を踏み出したかったからだ。 「将来、外食ビジネスを立ち上げたいとライフプランが明確になった時点で、転職先は外食産業一本に絞りました」 外食産業の中でも、既に固まっている大組織ではなく、スピーディーで変化に対応できる小さな組織。それが、中田氏の転職先選びの基準だった。そして入社を決めたのが、「牛角」などのフランチャイズ展開で知られるレインズインターナショナルだ。「小さな組織」では決してないが、「当社は変化に対応するスピードがあり、変化を自ら起こすエネルギーもある。さらに、立ち上がったばかりの部署で働ける点も魅力でした」と話す。 同部署のミッションは、FCオーナーに売れる「新業態」を生み出すこと。プランナーがコンセプト作りをした新業態の採算性分析・マーケティングを行い、店舗を立ち上げる。同時にFCオーナーへの販売戦略の立案をサポートする。未知の分野へ転職したばかりの昨年は、必死に学んだ1年だった。 その一方で、課題の見極め方や、考えを人に的確に伝えるコミュニケーション能力など、前職で養った経験は大いに役立っている。転職をして、収入は減ったが、「若いうちは収入が多少上下しても気にならない。将来、それ以上のリターンを得るために経験を積める環境があることの方が重要」だという。これが中田氏のキャリアデザインの在り方だ。 |
■外資系企業 → 国内企業 |
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アパレルという未知の領域でキャリアの差別化を図る 大学院に在学中は、日本企業へ就職しようと思っていた。 「実力だけがモノを言う外資で、自分はバリューを出せるのか」と、自問するが、自信が持てなかった。「当時は安定志向もありました」と、江口征男氏は話す。 そんな彼に外資系コンサルティング会社への就職を決意させたのは、「いつかは海外で働きたい」という夢だ。この会社で実務経験を積むうち、外資系でもやっていける自信がつき、夢を叶えるために米国へ。MBAを取得したが、そのころ米国の景気は減速。英語力も壁となり、現地での職探しは難航した。帰国し、別の戦略コンサルティングファームへ入社した。 頭で勝負できる仕事と収入の手応え。手にしたものは大きかったが、思いがけない誘いが来た。 「一緒に実業をやらないか」 声を掛けてくれたのは、MBA留学中に知り合ったナルミヤ・インターナショナルの重役。ベビーからティーンズ向けのアパレルを手がける同社は、江口氏にとって未知の分野だったが、自分がまだ手がけたことのないBto Cのビジネスモデルに携われることに魅力を感じた。しかし、迷いがなかったわけではない。収入を最優先するなら、前の会社に残る方がいい。別の外資系企業へ転職するという選択肢もあった。 「そのとき考えたのは、どの企業に入れば自分の価値が最大化するか。自分でなければ出せないバリューを提供できる環境を選ばないと、自分の相対的価値は上がりません。アパレル業界は感性や創造力に優れた人材が多い一方で、ビジネスとして合理性を発揮する人は他の業界より少ない。ここなら自分のような人間はユニークな存在になれると考えたのです」 同社に転職したのは昨年1月。現在は部門をまたぎ、商品企画、生産部門のマネジメントを担当している。 「まだ比較的小さい会社ですから、経営に近いところで経験が積めます。日本企業は部門間の壁が厚いイメージがありますが、当社は極端に言うと社長と社員という2階層。組織は外資に近いですね」 感性に頼りがちなビジネスに合理性を持ち込む――この挑戦は失敗する可能性もある。「安定志向」から日本企業を選ぼうとしていた学生時代なら足がすくんだかもしれない。だが今は、「まず行動すること」が人との違いを生み、結果として安全なことを、江口氏は知っている。 |
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