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株式会社楽天野球団
岸田祐介氏(28歳) |
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大学に3日で見切りをつけ、当時アルバイト先であったカラオケボックスの営業時間外の営業権を譲りうけ、その経営に夢中になる。2年半事業を満喫し、百貨店へのアパレル卸に転職。個人的に始めたネットオークションで、ネットの魅力にハマり、2002年に楽天に転職。新規開拓営業から楽天デリバリー事業部などを経て、2004年11月、社内公募で楽天野球団に出向。 |
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自分の仕事を見つけるのが転職後、最優先した仕事
「・・・マジ?」寝起きの目も覚まさせるビッグニュースがテレビから流れていた、2004年9月15日の早朝。トップで報道されていたのは、自分が勤める楽天がプロ野球新規参入を表明するニュースだった。
楽天に入社したのは2002年。アパレル卸会社で、百貨店外商営業マンとして働いていた岸田祐介氏。それまでは業務で使う程度だったネットに本格的にはまったのは、バックヤードにあふれかえるブランドロゴ入り袋や箱が、あっさりと捨てられていく様を見たのがきっかけ。上司に了解を得、それらの「ゴミ」をネットオークションで売り始めたところ、その利益は本業の年収をあっさりと抜いてしまった。
それをきっかけにインターネットの可能性に興味を持ち、もっと本格的にビジネスとして追求したいと、転職先として選んだ楽天では、新規開拓営業の部署に配属された。
リアルの商店に楽天への出店を勧めることと、より売れるネット店舗になるための“楽天大学”という講座が二大サービス。入社1カ月で、楽天大学を60講座売り、今も楽天ギネスに記録が残っているという初打席・大ホームランを放ち、その月の新人賞を受賞した。
「入社後1週間は、店舗リストをもとに営業電話をかけているだけでした。だけど1週間たったら、次に何をやるのか、誰も何も言わなくなった。そこで“自分で探さないと仕事はない”ということに気づいたんです」
外商営業として成績も上げていたが、それはやはり“与えられた仕事”に過ぎなかった、と岸田氏。今ある店舗リストをあたり終わった後、自分で可能性のありそうなリストを探して電話を始めた。売り上げが思うように伸びていない店舗を見つけ出し、直接訪問しては「楽天大学」のメリットを説いた。その実績を認められ、1カ月で楽天デリバリー部門へ異動。インターネット上で注文した商品が、わずか30分後に自宅に「出前」される仕組みを提案する営業部門で2年間、ネットの可能性を思う存分追求していた矢先の出来事が“想定外”の「楽天、プロ野球参入表明」だった。
「もう、どんな業務でもいいから、何が何でもこの事業に噛もうと思いました。プロ野球チームを新しく作るなんて、これまで50年間、誰も経験したことのない事業。絶対やりたい、面白そうだ、とワクワクしました」
社内公募はたった2日間。かなりの激戦だったようだが、見事、楽天野球団への異動が決まったのは2004年11月。すぐさま仙台へ転勤し、プレイガイドへの繋ぎ作りなど、チケットをお客様の手元へ届けるための仕組みをいちから作り始めた。シーズンが開幕し、チケットが動き始めた今は、1人でも多くの観客を動員するための動員プロジェクト≠遂行中。父の日の“パパありがとうDay”、女性歓迎の“レディー☆Night”など、野球になじみの薄い人でも足を向けるきっかけ作りに邁進中だ。
違ったフィールドで自分のスキルや経験、可能性を生かせる、新規事業への参画を願う人は少なくない。しかしその中から実際に抜擢される要因は“幸運”でも“社内ネゴ”でもない。岸田氏が公募を勝ち抜き、現在の仕事を勝ち得たのは、やはりそれまでの成果を評価されたことが要因のひとつだが、最大の抜擢理由は、営業成績などの数字だけではなく、その仕事スタンスである。与えられた仕事や環境の枠内で成果を上げる優等生ではなく、枠外に目を配り、仕事を自ら作り出していく観察力と行動力が見込まれたからだろう。
「誰も仕事を与えてくれない環境」は、裏返せば「仕事は自分でいくらでも作り出せる環境」になる。環境の変化に応じてさっさとサラリーマン意識を脱ぎ捨て、まずは仕事作り≠自分の仕事とした岸田氏。楽天野球団を、野球を越えた地域のエンターテインメント産業に育てるのが“岸田商店社長”を自認する岸田氏の、現在の最優先スキームである。
「勝負強さ」も採用理由のひとつ能動的な人材が楽天で伸びる!
面接時の印象は、とにかくはきはきしていてとても好感触。「楽天が好きだ」と素直に言ってくれてこちらもうれしかったです。また、応募してきたのが25歳と若く、将来性を感じさせたことも採用理由のひとつ。さらに前職でトップセールスを記録するなど、実績も評価しましたが、その若さでこの結果を出すには、努力や実力のほかにも、「勝負強さ」を持っている人ではないかと感じました。ただ、特技の欄に「宴会の盛り上げ」と書いてあったのには笑いましたが(笑)。
弊社が採用の際にもっとも重視するのはコミュニケーション能力。営業だけでなく、開発職などの技術系も同様です。我々の仕事は一人では決してできない商売。顧客とも社員ともコミュニケーションを取りながら、しかも自分から仕事を見つけて能動的に動くことができる方が、岸田のように、弊社でぐんぐん伸びていける可能性のある人材といえるでしょう。
楽天株式会社 ぴーぷる部 木村嘉宏氏
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