ひと足先に選ぶ次世代のMVE : 樋口智裕
近年、『YouTube』や『ニコニコ動画』などの動画系Webサイトの隆盛が目覚ましい。サイト上にアップロードされた動画の中には、話題が話題を呼び、グローバルに驚異的なアクセス数を叩き出すものも少なくない。そんな中、Web上の動画コンテンツを一括検索できる検索サイトを開発し、注目されているエンジニアがいる。動画検索サイト『Fooooo』の開発者、バンク・オブ・イノベーション代表取締役CIOの樋口智裕だ。 『Fooooo』の「F」はFind(見つける)、「ooooo」は五大陸の意。このサイト名には、世界中の動画を世界中の人に検索してもらいたい、という壮大な構想が込められている。「職人気質で楽天的、新しいサービスを考えて開発し、リリースするのが好き」と自認する樋口だが、クールな表情の裏に驚くほどの熱さを隠し持つ。若きエンジニアの心に消えない炎を点じたのは、世界のHondaを創業した伝説の経営者・本田宗一郎だった。 高校時代はアインシュタインにあこがれ、「物理学者になりたい」と思っていた。そんな樋口に人生を変える出会いが訪れたのは、高2のことである。本田宗一郎の自伝を読み、心が震えるような感動を受けた。 「昔の日本人が持っていたモノづくりへのこだわり、1回やると決めたら最後までやり通すところが、すごくカッコいいと思いました。F1参入ではHonda全体の開発リソースの70%をF1に投じたほどのリスクテイカーでもあった。そんな破天荒なところにも共感しましたね」 就職はまったく考えず起業を志す 生粋のエンジニア魂による独創的なモノづくりで、Hondaを世界トップ企業に導いた本田宗一郎。その生き方に、樋口は心底シビれたという。「会社を作り、自らの手で何かを生み出すことの面白さ」を知り、樋口は起業を志す。 経営者を目指し、青山学院大学経営学部に進学。ゲームを開発してはWebで公開するように。折しも、ITバブル崩壊を経て、有力なインターネット系企業が本格的な成長曲線を描き始めていたころのことだ。「やるんだったらWeb、というのは大体決まっていましたね」。 |