IT業界「技術TOPが語る2008年」事業と求める人材像
提供するサービスや求める人材像が多様化しているIT業界。2008年もその動きがさらに加速することは間違いない。業界をリードする各社の技術トップに、2008年の事業展望について聞いた。 |
エリクソン北東アジアCTO
工学博士 藤岡雅宣 氏 Toshikazu Nakamura 1978年、大阪大学大学院電子工学 修士課程修了後、通信事業者を経て、1998年に日本エリクソンに入社。事業開発本部長として新規事業の開拓、新技術分野を総括するなど活躍。2005年2月より現職に就任。工学博士。著書に『ワイヤレス・ブロードバンド教科書』(インプレスR&D刊、共編著)などがある 1985年に事務所を開設して以来、変化を続ける通信市場で、多彩な製品を提供してきた日本エリクソン
電話機の修理から事業をスタートさせたエリクソン。設立から約130年の歴史を誇る同社は、その後、電話機の開発やネットワークの設備などの通信インフラの提供へと徐々に事業を拡大させ、現在では、携帯電話向けのインフラ設備やそのオペレーションなど多岐にわたる事業を世界140カ国で展開している。通信業界の世界的なリーディングカンパニーである同社の日本市場における今後の事業展開について、エリクソン北東アジアCTOを務める藤岡雅宣氏は次のように語る。 「これまで当社の事業基盤は通信ネットワークを始めとしたインフラ設備の提供でした。しかし今日ではインフラの規模が巨大化・高機能化するにつれ、運用・保守などオペレーション業務も担うようになってきています。これは世界的なトレンドであり、ここ日本においても同様です。ベンダーの役割が拡大している現在、ニーズが高まっているオペレーション業務に注力していく予定です。当社のグローバルに事業展開しているスケールメリットを活かして、この分野での事業拡大を目指していきます」 拡大と同時に同社はマーケットを背景にグループ内でも特殊なミッションを担っていると藤岡氏は話す。 「おサイフケータイなどの新サービスは、世界中で日本が最も進んでいます。これらを実現するアプリケーションの開発も日本エリクソンの重要なミッションのひとつです。今や携帯電話の新サービスは日本で生まれ、世界に発信されることが多いのです。2008年は、通信事業者が2010年に商用化を目指す次世代通信のインフラ設備とアプリケーション開発の正念場といえる年になります。その開発の中心的な役割を果たすのが当社のエンジニアといっても過言ではありません。グローバル規模で最先端の技術を牽引することになるでしょう」 現在同社には、世界に先駆けた次世代インフラを開発するために、海外から高い技術力を有するエンジニアが数多く集まってきている。 通信事業者との連携が成功のカギ 最先端の通信網を生み出すためには、顧客である通信事業者との共同開発体制が必要不可欠である。そのため、同社のエンジニアには、技術力や知識だけに留まらず、調整能力やコミュニケーションスキルが欠かせない。 「通信インフラの開発には、通信事業者との意思疎通が非常に大切になります。そのため開発に関わるエンジニアにはコミュニケーションスキルが求められます。加えて当社は海外と共同作業なども頻繁に行われるため、英語力があると活躍しやすい環境でしょう。様々な人々と関わることで、携帯電話の進化を支えている醍醐味を間違いなく味わうことができる環境だと思いますよ。是非、多くの方に次世代のコミュニケーションを生み出す喜びを味わって欲しいですね」 |
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