“モノづくり”を実感したいソフトウエア技術者へ組み込みソフトウエア技術者orアプリケーション技術者
組み込みソフトウエア技術者か、アプリケーション技術者か。 どちらも“モノづくり”に関わることができるが、志向によって合う、合わないが違ってくる。 「ただモノづくりを実感したい」という気持ちだけでは、後になって後悔することにもなる。 ここで自分の志向性を見つめ直してみよう。 |
株式会社ネクスト・ディメンション
中根隆康 氏
Takayasu Nakane
取締役社長
特殊車両製造メーカー、流通業のシステム部門を経て、大手メーカー系のシステム会社に中途入社。データベース構築、通信プログラム開発など、多くのプロジェクトに関わる。現在は、組み込みシステムプロジェクトの支援を行うネクスト・ディメンションの代表取締役を務める。
中根隆康 氏
Takayasu Nakane
取締役社長
特殊車両製造メーカー、流通業のシステム部門を経て、大手メーカー系のシステム会社に中途入社。データベース構築、通信プログラム開発など、多くのプロジェクトに関わる。現在は、組み込みシステムプロジェクトの支援を行うネクスト・ディメンションの代表取締役を務める。
転職を成功させるには志向で選べ!
身近な製品の設計・開発の現場で組み込みソフト開発に携わるエンジニアが不足している。各メーカーも積極採用しており、特にIT業界からの転職を大いに歓迎している。
業界・製品・技術動向を調べてみれば分かるが、大手ITベンダも自動車業界や家電業界のリアルタイムOSやアプリケーション開発に進出しているのが現状だ。日本のメーカーは今、海外市場での売れ行きが好調で、開発期間が急速に短縮されている事情も大きい。
では、メーカーへの転職で活躍できる人材になるためにはどんな志向を持ったエンジニアが、どの分野に進むべきなのか?
「組み込みソフト」とは基盤となるマイコンからリアルタイムOS、ミドルウエア、アプリケーションのすべてが含まれる。どの業務に携わっても、とにかく特定の製品づくりを手掛けたいエンジニアなら“ソフトウエア開発全般”を選べばいい。後に機構設計や商品開発に興味や関心を抱いた場合も、容易にキャリアチェンジが実現できるはずだ。逆にIT業界やSIerでシステムや業務アプリケーション開発に取り組んできて、最新・最先端の技術を追求したいというエンジニアなら、アプリケーション開発の専業を目指そう。
メーカー間で魅力ある商品開発競争が激化している今、どこも積極的な設備投資や人材投入を進めている。有意義な開発経験が得られるはずだ。
ここで取り上げたのは自動車業界、家電業界、FA機器業界だが、他業界も含めればキャリアの幅を広げるフィールドは多彩だ。マイコンからリアルタイムOS、ミドルウエア、そしてアプリケーション。 いずれも日本は世界でも有数の技術力、製品開発力を有している。これらを有機的に統合して次世代のスタンダードとなる製品づくりに邁進し、キャリアアップを図る――。メーカーにはエンジニアとしてやりがい、醍醐味を体感できる環境があることは間違いないだろう。
ハード設計への理解を深め組み込みエンジニアとして深化する
組み込みソフトは単品では動かない。他のソフトウエアと連携したり、マイコンなどのハードウエアを制御したりすることで初めて、本来の機能や目的を達成する。「新商品のこのソフトは自分が作った」とモノづくりの醍醐味を味わうためには、アプリケーション開発に注力するだけでは不十分。担当領域を深化させ、ソフトウエア開発全般を手掛けるエンジニアでなければならないのだ。
特に「優秀なソフト開発エンジニアは、ハード技術者が作成した機能ブロック図や回路図をある程度読める」と組み込みソフト開発全般のコンサルティングを行うネクスト・ディメンションの中根隆康氏は指摘する。中根氏自身も、データベース関連のSEから組み込みエンジニアへの転身者である。
ハードへの理解を深めることは、後工程であるソフト開発の効率化を図り、商品性能の向上にも役立つ。他のソフトやハードと連動する組み込みソフトは、実際につないで動かしてみないと分からないことが多い。プログラムのソースコードのバグが、ハード設計の問題であることも珍しくない。
「16ビットの命令長で設計されているCPUで、メモリへは8ビットのバス幅で送るように設計されていたことがありました。1個の命令を送るのに2度の送信が必要になり、処理速度は半減します。我々ソフト技術者の指摘がなければ、見過ごされていたケアレスミスでした」
スピード開発とコスト削減が求められる現場では、開発の分業化と外注化が進んでいる。時間がない状態で開発に追われる結果、単純ミスの増加に加え、エンジニア間のコミュニケーション不足によるトラブルが頻発しているという。
「業務範囲を決めずに、ハードとソフトが連携して機能の最適化を図り、人のためになる商品を世に送り出すことが組み込み技術者の使命だと思っています。ぜひ自律したITエンジニアに挑戦してほしいですね」と中根氏はエールを贈る。
特に「優秀なソフト開発エンジニアは、ハード技術者が作成した機能ブロック図や回路図をある程度読める」と組み込みソフト開発全般のコンサルティングを行うネクスト・ディメンションの中根隆康氏は指摘する。中根氏自身も、データベース関連のSEから組み込みエンジニアへの転身者である。
ハードへの理解を深めることは、後工程であるソフト開発の効率化を図り、商品性能の向上にも役立つ。他のソフトやハードと連動する組み込みソフトは、実際につないで動かしてみないと分からないことが多い。プログラムのソースコードのバグが、ハード設計の問題であることも珍しくない。
「16ビットの命令長で設計されているCPUで、メモリへは8ビットのバス幅で送るように設計されていたことがありました。1個の命令を送るのに2度の送信が必要になり、処理速度は半減します。我々ソフト技術者の指摘がなければ、見過ごされていたケアレスミスでした」
スピード開発とコスト削減が求められる現場では、開発の分業化と外注化が進んでいる。時間がない状態で開発に追われる結果、単純ミスの増加に加え、エンジニア間のコミュニケーション不足によるトラブルが頻発しているという。
「業務範囲を決めずに、ハードとソフトが連携して機能の最適化を図り、人のためになる商品を世に送り出すことが組み込み技術者の使命だと思っています。ぜひ自律したITエンジニアに挑戦してほしいですね」と中根氏はエールを贈る。
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- ●完成車メーカーは現在、2010年のクルマ作りを進めている。先行開発に携わるなら今がチャンス
- ●ECUの開発は大手サプライヤーや電機メーカーとの協業が欠かせない。意外な穴場といえる
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- ●自動車業界と同じくキーデバイスやOEM供給を手掛けている有力サプライヤーも
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- ●自動車や家電など、分野や業界別にメーカーが存在。技術分野や動向で企業選びを
- ●画像・映像認識やセンサー開発の技術力は世界トップクラス。シェアトップ企業などが狙い目だ
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組み込みソフトウエア技術者の心得
● 自分の業務範囲を決めず、何でも挑戦する気持ちを持て
● 技術者として成功する感激を知り、失敗を恐れるな