― そうした苦労を抱えてもあえて開発会社にいるメリットは?

田村氏:開発会社にいる強みとなると、やはり技術力? 自分はマネジメント志向が強いのですが堂々と主張できるスキルがなくて今の会社に落ち着いたようなところがあるんです。開発会社でも上流工程を担当できる、という点が魅力で。

吉川氏:やりがいを何に求めるかは人それぞれですね。自分はどちらかというとプライベートを重視して、仕事でストレスを抱えたくないタイプなんです。だから、業務の充実やスキルアップより、何の心配もなく勤め続けられることがなによりのやりがいになっています。不謹慎かな。

根津氏:いや、悪いことではないですよ。むしろ、上流を目指したいのに下請けにいる自分のほうが矛盾している(笑)。

山田氏:技術力を発揮できる点にやりがいを求める人でないと、開発会社は厳しいんじゃないですか? よく将来性を考えたキャリアプランを、と言われますけど、現場で仕事を続けたい人間からすれば余計なお世話ですよ。

根津氏:ずっとデスマーチでもいい?

山田氏:いや、実はデスマーチって経験したことないんですよ。先輩からは、そういう話をよく聞きますけど。

田村氏:自分も経験ないです。デスマーチって、ある意味、過去の遺物なんじゃないでしょうか。最近のシステム開発って、設計の段階でかなりしっかりした計画を立てますよね。

山田氏:ITバブルの頃のような、「現場=戦場」の図式は良い意味で崩壊している実感があります。下請けだからキツい、とは一概に言い切れませんね。

根津氏:ウチだけが古風なのか(苦笑)。

吉川氏:でもある程度の逆境がやりがいに繋がる、ということも言えますよ。自分のいる会社は悪く言えばヒマで退屈。仕事に刺激を求めるタイプの先輩などは、嫌気がさして辞めていきます。

根津氏:確かに。過酷なスケジュールで「こんな会社辞めてやる!」と息巻いている人って、たいてい辞めないんですよね(笑)。で、ヒマになると辞める。

吉田氏:エンジニアは冷めていると思われがちですが、熱意を内に秘めるタイプが多いだけだと感じます。だから、本人にとってのやりがいがなくなった時点で、その会社に勤め続ける意義を見出せなくなるんでしょうね。

田村氏:やっぱり年収や出世より、やりがい最重視な人が多いですね。


― とはいえ年収は無視できない要因だと思いませんか?

吉川氏:そうですね……。自分の会社は、確かに安定していますがその安定の水準が低くて、部長クラスでも年収が500万円台らしいんですよ。

田村氏:自分も親会社の社員と比べると、業務内容にはさほど差がないのに給与の差は歴然。せっかく仕事にやりがいを見出しても、そこで挫けてしまう。



― 年収がいくらあれば満足ですか?

山田氏:いまはスキルアップの期間だと思っているので、年収にはそんなにこだわっていないんですが、将来的なことを考えると、650万円くらいは欲しいです。

根津氏:私も、もし結婚して夫婦ふたりなら500万円。子どもがひとり増えるごとに100万円かなぁと考えています。どちらも予定はありませんが(笑)。

吉川氏:下請け会社の多くは役職がついてそのくらいの給与なので、さすがに先行き不安ですよね……。

田村氏:自分も「年収600万円の壁」は厚いなと感じます。

山田氏:確かに、業界構造で上に位置する会社と給与面で比較すると、ギャップは大きいです。が、彼らの給与が高いのは、プロジェクト全体の成功や、それによりもたらされる恩恵や利益にまで責任を持つ分が上乗せされているから。実力がそのまま年収に反映されるわけではない。そこを見落として金額だけを比べて嘆くのはナンセンスですよ。

吉川氏:開発会社にいる以上は、普通に生活できる年収500万円くらいを貰えれば御の字、くらいに割り切る必要があるのかもしれませんね。
― マネジメントや上流工程を担当して「上乗せ」分を貰おうとは思わない?

根津氏:でも上流工程やマネジメントを経験できさえすれば市場価値が上がって一次請けや発注元に良い条件で転職できるかというとそうでもない。会社ごとにマネジメントのスタイルが全然違うので、意外とツブシがきかないんじゃないかと思うこともあります。負け惜しみかな?

山田氏:いや、独立や転職を考えると、「技術には詳しくありませんがある程度マネジメント経験があります」というのはアピール材料として弱いですね。やはり、下流工程と呼ばれても、開発言語やインフラ構築といったどこででも通用するスキルを武器にしたほうが強い気がします。

根津氏:自分の元同僚で、Javaをやらせたら右に出るものはいないという域にまで技術を高めて、高待遇で外資系の大手ベンダーに転職した奴がいます。こんな大逆転があるのも、技術力という公正な評価基準を武器にしたからでしょう。

田村氏:それはずば抜けた力量だからこそ成立したレアケースじゃないですか? 一人前に仕事をこなせるという程度の技術力では、やはり若くて安い技術者にラブコールがかかりますよ。

山田氏:最終的には、覚悟の問題なんでしょうね。制約も多いなかで、自分のキャリアパスをどう描くか。何よりも本人のビジョンと努力がなければ、開発会社でのキャリアは生活の糧を得るためだけの時間の浪費に過ぎないと思います。


― みなさんありがとうございました。


業務内容とやりがいを重視しすぎて失敗 ×
技術志向の強い自分は、とにかくやりがい重視。そこへ先日、創業間もないある開発会社の存在を知り、社長の熱い想いと経営ビジョンに共感して転職。もともと二次請けの厳しさは知っているつもりでしたが、入社してすぐに転職を後悔しましたね。給料の未払いや経理の横領、社長による会社の私物化など制度面であまりに不備が多かったんです。仕事への情熱ばかりに気をとられて、冷静に職場を判断する視点を失っていたんですね。

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